結論からいうと、飲酒後に意図的に嘔吐しても、呼気中のアルコールをすぐに減らしたり、なくしたりする方法としては有効ではありません。むしろ、無理に吐くことには危険があります。
特に「吐けば酒が抜けるから運転できる」という考え方は危険です。
嘔吐すると呼気中アルコールは減るのか
基本的には、大きく減るとは考えないほうがいいです。
飲んだアルコールは、胃にいる間は比較的ゆっくり吸収されますが、小腸に入ると速やかに吸収されます。吸収されたアルコールは血液を通じて全身に回り、その大部分が肝臓で代謝されます。([turn0search1])
そのため、
飲酒
↓
アルコールが胃・小腸から吸収される
↓
血液中に入る
↓
肺にも到達する
↓
呼気からアルコールが検出される
という状態になります。
この段階で嘔吐しても、すでに血液中に吸収されたアルコールを胃から吐き出すことはできません。
「飲んだ直後なら吐けばいい」は正しくない
ここは少し注意が必要です。
飲酒直後であれば、胃の中にまだ吸収されていないアルコールが残っている可能性はあります。
しかし、
「吐いたからアルコールがなくなった」
とは言えません。
胃から小腸へ移動して吸収されたアルコールは、嘔吐によって取り除けないからです。厚生労働省も、アルコールは大部分が小腸から吸収され、血液を通じて肝臓で分解されると説明しています。([turn0search25])
したがって、嘔吐によって一部のアルコール摂取量を減らせる可能性があることと、呼気中アルコールを安全に下げられることは別問題です。
嘔吐しても「肺から出てくるアルコール」は残る
呼気検査で問題になるのは、単に口の中に酒が残っているかどうかだけではありません。
血液中のアルコールは肺を通過する際に呼気へ移行します。
厚生労働省によると、体内に入ったアルコールの大部分は肝臓で代謝され、呼気・汗・尿から直接排出される割合は非常に小さいものです。([turn0search1])
つまり、
胃を空にすること ≠ 血液中のアルコールをなくすこと
です。
そして、
血液中のアルコールが残っている限り、呼気にもアルコールが出てくる可能性があります。
無理に吐くのは危険
ここが非常に重要です。
厚生労働省は、急性アルコール中毒の場合、酔いつぶれた人を無理に吐かせることは危険だとしています。
アルコールによって意識が低下している人が嘔吐すると、吐物が気道に入って窒息する危険があります。実際、急性アルコール中毒による死亡では、吐物による窒息が原因になる場合があります。([turn0search6])
したがって、
「酒を抜くために指を喉に入れて吐く」
「水を大量に飲んでから吐く」
「何度も吐けば呼気アルコールが下がる」
といった行為は避けるべきです。
「吐く=酔いが早く覚める」という考え方自体が危険です。
嘔吐すると一時的に「酒臭さ」が変わることはある
嘔吐した後に、
「酒の臭いが弱くなった気がする」
と感じる可能性はあります。
しかし、これは呼気中のアルコールが十分に減ったことを意味しません。
口の中の状態や胃の内容物が変化したことで、臭いの感じ方が変わることがあります。
重要なのは、
酒臭くない=アルコールが体内からなくなった
ではないということです。
これはミンティア、ガム、歯磨き、うがいなどでも同じです。
「酔いが覚めた感じ」と「アルコールが抜けた」は別
嘔吐すると、
- 胃の不快感が軽くなる
- 吐き気がなくなる
- 一時的に楽になったように感じる
ことがあります。
しかし、それは血液中のアルコールが消えたことを意味しません。
アルコールによる中枢神経への影響は血中アルコール濃度と関係しており、体内にアルコールが残っている状態では、本人が「もう大丈夫」と感じても運転能力などが低下している可能性があります。([turn0search4])
呼気アルコールを減らす方法を比較すると
| 方法 | 呼気アルコールをすぐ減らせる? | 注意点 |
|---|---|---|
| 嘔吐 | × | 誤嚥・窒息などの危険 |
| 水を飲む | × | 脱水対策にはなるが酒抜きにはならない |
| 炭酸水 | × | アルコール代謝を速めない |
| コーヒー | × | 眠気を感じにくくするだけの場合がある |
| ミンティア | × | 口の爽快感とアルコール濃度は別 |
| ガム | × | 口臭対策にとどまる |
| 歯磨き | × | 口腔内をきれいにしても血中アルコールは残る |
| サウナ | × | 脱水などの危険 |
| 運動 | × | アルコールを急速に分解できない |
| 時間の経過 | ○ | 体内で代謝されるのを待つ |
アルコールの代謝には個人差があり、飲酒量や体格、体質などによっても血中濃度の推移は変わります。([turn0search1])
飲酒運転を避けるためなら、嘔吐は絶対に当てにしない
もし質問の目的が、
「飲酒後、呼気検査でアルコールが出ない状態にするために吐く」
ということであれば、これはやめてください。
嘔吐によって呼気アルコールを確実に下げることはできませんし、検査をすり抜けるための方法としても使えません。
警察庁によると、呼気中アルコール濃度が0.15mg/L以上の場合は酒気帯び運転に該当します。また、0.15mg/L未満であっても、酒気を帯びて運転すること自体が禁止されています。([turn0search0])
さらに、夜遅くまで飲酒した場合には、翌朝にも体内にアルコールが残っている可能性があるため運転を控えるよう警察庁も注意喚起しています。([turn0search0])
もし今まさに吐きそうなら
「酒を抜くために吐く」のではなく、安全確保を優先してください。
意識がはっきりしているなら無理に吐こうとせず、飲酒をやめて安静にします。
強く酔っている人については、
- 一人にしない
- 仰向けに寝かせない
- 吐きそうなら横向きにする
- 意識や呼吸がおかしい場合は救急要請する
ことが重要です。厚生労働省も、吐物による窒息を防ぐため、酔いつぶれた人を横向きにするなどの対応を案内しています。([turn0search6])
まとめ
嘔吐は「呼気中アルコールをすぐ減らす方法」ではありません。
仮に胃に残っているアルコールの一部が出たとしても、すでに吸収されたアルコールは血液中に残ります。そして、それが肺を介して呼気にも出てきます。
したがって、
「吐けば酒が抜ける」
「吐けば呼気アルコールがなくなる」
「吐いたから運転できる」
という考え方は危険です。
アルコールが体内から減るのを待つことが基本で、飲酒後は運転しないことが最も確実な対策です。

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