屋内プールが寒く感じやすいのは「設備が弱いから」ではなく、屋内プール特有の物理現象と安全運用が重なっているからです。
ここでは現場目線で、
①寒くなる原因 → ②すぐできる対策 → ③暖房を使っても暖まらない時の対処法 → ④ありがちな失敗談 → ⑤本当に効く考え方
まで、実践的に解説します。
① 屋内プールが寒く気温が低い主な原因
1. 水面からの「蒸発冷却」が圧倒的
- 水が蒸発するたびに大量の熱を奪う
- 室内でも水面が常に“冷却装置”になる
- 濡れた体に風が当たると体感温度は一気に低下
👉 最大の原因はこれ
2. 結露・カビ対策による強制換気
- 天井・壁の結露防止が最優先
- そのため換気量が非常に多い
- 冬は冷たい外気が大量に入る
=
暖房ON → 暖気をすぐ排気という構造
3. 天井が高く、暖気が人の位置に来ない
- 開放感・音対策で天井が高い
- 暖かい空気は上へ
- 人がいる床付近は冷えたまま
4. 床が冷たく、常に濡れている
- タイル・コンクリート床
- 足裏から熱を奪われ続ける
- 立っているだけで体温が下がる
5. 暖房方式がプール向きでない
- 温風式は風=冷えになることも
- 空気を暖めても蒸発冷却に負ける
② すぐできる対策(利用者・監視員・スタッフ共通)
1. 水から上がったら「即・乾かす・覆う」
- タオルドライを徹底
- バスローブ・ポンチョ・タオルケープ
- 濡れたまま立ち話は最悪
2. 足元対策を最優先
- 断熱性のあるサンダル
- 厚底・滑り止め付き
- 直立時間を減らす
3. 風を避ける位置取り
- 空調吹き出し口の下に立たない
- 出入口・通路脇を避ける
4. 体を止めない
- 軽く足踏み・腕を動かす
- じっとすると急激に冷える
③ 暖房を使っても暖まらない時の原因と対処法
原因① 換気が暖房能力を上回っている
暖めても即排気
対処法
- 熱交換型換気設備
- 使用時・混雑時のみ換気強化
- プールエリアと観覧席の空調ゾーン分離
原因② 暖気が天井に溜まっている
床は寒い、天井だけ暖かい
対処法
- 大型シーリングファンで撹拌
- 壁面からの下向き送風
- 低位置設置の暖房
原因③ 蒸発冷却が勝っている
水が冷却装置状態
対処法
- 未使用時間帯は水面カバー
- 水温と室温の差を適正に
👉 室温は水温+1〜2℃が目安
原因④ 床冷えが支配的
足元が冷える=全身が冷える
対処法
- 部分的な床暖房
- 断熱・滑り止めマット
- 排水改善で「濡れ時間」を減らす
原因⑤ 暖房方式の選択ミス
温風=効かない or 逆効果
対処法
- 輻射式(パネル)暖房
- ベンチ・監視員位置の局所暖房
- 人感センサーで過不足を防ぐ
④ 屋内プールで本当によくある失敗談
失敗談①「暖房を強くしたら余計寒い」
- 風量が増える
- 濡れた体に風直撃
- 利用者の震え・クレーム増加
教訓:プールは風を出さない暖房が基本
失敗談②「換気を弱めたら結露地獄」
- 一時的に暖かい
- 天井・梁・壁が水滴だらけ
- カビ・腐食・修繕費増大
教訓:換気は止めない。熱交換で制御
失敗談③「水温を上げれば解決と思った」
- 入水中は快適
- 上がった瞬間に激寒
- 体調不良者が出る
教訓:水温と室温はセット管理
失敗談④「床暖房だけ入れて満足」
- 足元は快適
- 上半身・濡れ肌は寒いまま
教訓:床+輻射暖房の組み合わせが必須
⑤ 結論:屋内プールの寒さ対策で一番大事な考え方
- 屋内プールの寒さは
蒸発冷却 × 強制換気 × 高天井が原因 - 「空気を暖める」だけでは負ける
- 効果が出るのは
蒸発を抑える・風を減らす・体を覆う - 成功する施設は
熱交換換気+輻射暖房+床対策を組み合わせている


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