クマから逃げるときの「走るべきか」「ゆっくり逃げるべきか」という疑問は非常に重要で、正しい行動を知らないと危険が大幅に増します。ここでは科学的・専門家の見地から詳しく解説します。
1. 基本結論
クマからは絶対に走って逃げてはいけません。
- 正しい行動は 「ゆっくり、落ち着いて後退する」 です。
理由:
- クマは短距離で人間より圧倒的に速く走れます。
- ツキノワグマ:約50 km/h
- ヒグマ:約55 km/h
- 人間:全力疾走で約20~30 km/h程度
→ 全力で逃げても簡単に追いつかれます。
- 人が走ると、クマの本能が刺激され「獲物を追いかける」という行動に変わることがあります。
- パニック走行は安全距離を失うだけでなく、転倒や不意の接近を招きやすい。
2. ゆっくり逃げるとはどういうことか
- 姿勢を落ち着ける
- 大声を出さず、手を振り回さない。
- 背を丸めず、しかし挑発しないよう体を落ち着ける。
- 後退の仕方
- クマを半分視界に入れつつ、ゆっくりと斜め後方へ下がる。
- 足を大きく踏み出さず、転倒しないよう慎重に。
- 距離を保つ
- できるだけクマとの距離を確保し、周囲の障害物(木や岩など)を利用して安全を確保する。
3. 遭遇状況ごとの注意点
| 状況 | 適切な逃げ方 |
|---|---|
| ツキノワグマ単体 | ゆっくり後退。大声・大きな動作は避ける。 |
| 子グマ+母グマ | 子グマだけに注意せず、母グマの位置を確認。距離を十分にとる。ゆっくり後退。 |
| ヒグマ(攻撃性が高い可能性) | ゆっくり後退しつつ、ベアスプレーの準備。無理に走らない。 |
| 道路や林道で急接近 | クマを刺激せず、障害物で距離を作りながら落ち着いて退避。 |
4. 専門家の推奨行動まとめ
- 走らない
- 追跡・捕食本能を刺激するため絶対に全力疾走しない。
- ゆっくり後退
- 半視界でクマを確認しつつ、落ち着いた姿勢で距離を取る。
- 周囲を利用
- 木や岩、建物など障害物でクマと自分の間に距離を作る。
- 音で刺激しない
- 大声や急な動作は避け、穏やかに状況確認。
- 必要に応じて防御
- ベアスプレーの準備。やむを得ず攻撃された場合に備える。
💡ポイント:
- クマは短距離で人より速く、追いかける本能を持つ
- 走る=追いかけられるリスク大
- ゆっくり後退=安全距離を維持し、刺激を最小化できる


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