山林作業(林業、測量、建設、送電線工事など)は長時間にわたり山中に滞在するため、サバゲーや山菜採り以上に クマと遭遇するリスクが高い活動 です。
さらに、チェーンソーや重機の音で一時的にクマが遠ざかっても、作業員が休憩中や移動中に遭遇するケースも少なくありません。ここでは 事前準備 → 作業中の注意点 → 遭遇時の行動 → 作業現場特有の対策 に分けて詳しく解説します。
1. 事前準備(山に入る前)
- 出没情報を確認する
自治体・猟友会・林業組合などが発信する「クマ出没マップ」「注意情報」を必ずチェック。 - 時間帯を選ぶ
クマは早朝・夕方に活動が活発。可能であれば日中に作業を集中させる。 - 装備を整える
- 熊鈴、ホイッスル
- 熊撃退スプレー(すぐ手に取れる位置に装着)
- 無線・携帯電話(万一の連絡用)
- 明るい色のヘルメット・ベスト(視認性を高め、人間の存在を知らせやすい)
- 複数人で作業
単独作業を避け、声を掛け合いながら進める。
2. 作業中の注意(遭遇を避ける行動)
- 人の存在を知らせる
- 移動時は熊鈴や笛を使用。
- 作業中も時折声を出す。
- チェーンソー・重機の停止後は特に注意(音がなくなるとクマが近づく可能性)。
- 食べ物管理
- 甘い飲料や弁当の匂いに惹かれることがある。
- ゴミや食べ残しは密閉し、現場に残さない。
- 痕跡を見逃さない
- 新しい糞(草や果実の繊維が混じる)
- 爪痕(樹皮に深い傷)
- 大きな足跡や毛
→ 見つけた場合はその周辺を避ける。
- 見通しの悪い場所に注意
- 藪や沢沿い、斜面などは出会い頭のリスクが高い。
- こうした場所では声を出しながら進む。
3. 遭遇してしまった場合の行動
クマが遠くにいる場合
- 走らず、慌てずにゆっくり後退する。
- 大声で人間の存在を知らせ、距離を取る。
クマがこちらに気づいていない場合
- 静かにその場を離れる。
- 無理に追い払おうとせず、視界から外れる方向に移動。
クマが近づいてきた場合
- 手を広げて体を大きく見せる。
- 大きな声を出して威嚇する。
- 最後の手段として熊撃退スプレーを使用。
襲われた場合
- ツキノワグマ(本州): 威嚇が多い。攻撃されたら首・顔を守り、防御姿勢を取りつつ隙を見て離脱。
- ヒグマ(北海道): 非常に危険。死んだふりは通用しないため、全力で抵抗・撃退を試みる。
4. 山仕事特有の追加対策
- セーフティエリアを確保
作業小屋や休憩場所は食べ物を出しっぱなしにせず、扉を閉める。 - 資材置き場の管理
休憩時に飲食物やゴミを放置するとクマを誘引する。 - 無線や合図を活用
現場全体で声を掛け合うことで、人間の活動音がクマへの抑止力になる。 - 季節ごとの注意
- 春:山菜や若葉を食べに低地へ下りてくる。
- 秋:ドングリの不作年は特に出没が増える。
- 冬眠前後は行動が活発で警戒心も薄い。
✅ まとめ
山の仕事中にクマと遭わないためには、
- 事前に出没情報を確認する
- 音や声で常に人の存在を知らせる
- 食べ物管理を徹底する
- 痕跡を見逃さず、危険を察知したら退避する
が基本。
遭遇しても慌てず冷静に対応し、最悪の事態に備えて熊撃退スプレーを常に携帯することが重要です。
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