寝ている間にモバイルバッテリー(以下モバブ)を充電していて発火したら非常に危険です。下に「なぜ危ないか」「何が起きるか」「寝る前にできる対策」「異常時の即時対応」「製品選び・廃棄の注意点」をできるだけ具体的にまとめます。寝ている間は気づきが遅れるため予防が最重要です。
なぜ充電中にモバブが発火するのか(原因)
- 多くはリチウムイオン電池:内部短絡、セルの損傷、過充電、製造不良、過熱などで**サーマルランアウェイ(熱暴走)**を起こし、急激な発熱・発火に至る。
- 「パススルー充電(充電しながら別機器を同時に給電)」や過度の急速充電、安価な互換アダプタ・ケーブルの使用、製品の劣化(水濡れや落下ダメージ)でリスクが高まる。
- 密閉・布団の中・直射日光下など熱がこもる場所で充電すると放熱できず発熱→発火に至りやすい。
寝ている間に発火したら何が危険か(被害の深刻さ)
- 火災の急速拡大:布団・枕・カーテン等の可燃物に燃え移り、短時間で家全体に広がる可能性。
- 有毒ガス・濃煙:燃焼で有害ガス(フッ化物など)が発生する恐れがあり、吸引で重篤になる場合がある。
- 爆発・飛散:セル破裂により破片や火の玉が飛ぶことがある。
- 発見が遅れる:睡眠中は臭いや異音に気づかず被害が拡大する。
発火の前兆(寝る前にチェックすべき項目)
これらがあれば充電しない/直ちに中止する:
- 本体が異常に熱い(触れないほど)
- 膨らみ・変形・液漏れの兆候(バッテリー膨張)
- 焦げ臭い・化学臭がする
- ケーブルに断線・焦げ跡がある/コネクタが熱い
- 新品でない安価な無名製品、仕様不明の充電器を使用している
寝ている間に充電するのを避けられない場合の最低限の安全対策
※理想は「就寝中は充電しない」。不可避なら以下を必ず守る。
- 不燃・放熱しやすい場所で充電:布団やソファの上は絶対NG。タイル・石・金属トレイ・ガラス・金属テーブルなど、熱が逃げやすい硬い面に置く。
- 通気を良くする:密閉した引き出しやクローゼット内で充電しない。風通しの良い場所で。
- 信頼できる機器とケーブルを使う:PSE(日本)やUL/CE等の認証のある製品、過充電・過電流・温度保護回路が明記されたメーカー品を選ぶ。
- パススルー充電は避ける:充電しながら他機器を給電する機能は熱が増えやすいので就寝時は使わない。
- 急速充電/高出力アダプタに注意:規格が合わない急速充電は発熱源になる。純正/推奨アダプタを使う。
- 充電完了後は電源を外す:満充電になったらコンセントから抜く(可能なら)。
- 劣化品は使わない:膨らんだ、落とした、水濡れしたモバブは即使用中止。
- 寝室に煙感知器を設置:就寝中の初期発見に有効。
異常を発見したとき(即時行動) — 最優先は「人の安全」
- すぐに避難:自分と家族を屋外の安全な場所へ。煙は上に溜まるので低い姿勢で。
- 119(消防)へ通報:火災や発火疑いがある場合はすぐ通報。住所・状況(煙の有無、発火しているか)を伝える。
- 消火は「安全にできる場合のみ」:小さくて十分安全に扱える場合、電気火災対応の消火器(CO₂またはABC粉末)が使える。だが爆発の危険がある場合や煙が多い場合は無理に消火しようとせず避難を優先。
- 水をかけることは家庭での対処として推奨しない(状況により逆効果や感電・飛散の危険がある)。消火方法は消防の指示に従うのが安全。
- 電源を切るのは危険を確認してから:コンセントを抜くなど通電を止められるなら有効だが、触って火傷や感電の恐れがあるときはやらない。
- 健康被害の疑いがあれば救急受診:煙吸引で呼吸困難・めまい・吐き気があるときは医療機関へ。
製品選び・購入時のチェックポイント
- PSEマーク(日本)やUL/CE/FCC等の安全認証がある製品を選ぶ。
- 過充電保護・短絡保護・温度保護など明記があるか確認。
- 大手ブランドや正規販売店で買い、安価な中華無名品は避ける。
- レビューや故障報告を確認。中古・膨らみのあるものは買わない。
- 「パススルー対応か」「動作温度範囲」を説明書で確認する。
廃棄・処分の注意
- 劣化(膨張・変形)があるバッテリーは普通ゴミに捨てない。自治体の電池回収や家電量販店のリサイクル窓口に持ち込む。
- 事前にメーカーの廃棄指示を確認する。
寝る前の簡単チェックリスト(30秒)
- モバブは充電中か? → 就寝前に終わらせる or コンセントから抜く。
- モバブに膨らみ・異臭・過度発熱はないか? → あれば使用中止。
- 充電場所は布団・枕・カーテンから離れているか? → 不燃面へ移す。
- ケーブル・アダプタに破損や焦げ跡はないか? → 問題あれば交換。
- モバブは信頼できるメーカー品か? → 不明なら使用を控える。
万一の怪我(簡単な応急処置)
- 火傷:流水(ぬるま湯)で少なくとも10分以上冷やす → 清潔な布で覆い、医療機関へ(広範囲は救急)。
- 煙吸引:新鮮な空気を吸わせ、呼吸困難や意識の低下があれば救急要請。
最後に(要点まとめ)
- 就寝中の充電は可能な限り避けるのが最も安全。
- どうしても充電するなら「信頼できる製品を使う」「不燃面で通気良く」「パススルー・急速充電は避ける」「充電完了で抜く」「煙感知器設置」を徹底してください。
- 異常を感じたら即避難・119通報。人の安全を最優先に行動してください。
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