自転車でその場から一生懸命逃げるのは安全とは言えません。
クマは短距離で非常に速く走れるため追い付かれる可能性が高く、また「走る/自転車で逃げる」行為は追跡(chase)反応を引き起こしてしまうことがあります。代わりに「止まって降りる/自転車を防御に使う/ベアスプレーを準備する」など公的機関が推奨する対応を取るのが安全です。
なぜ自転車で逃げるのは危険なのか
- 速度差:クマは短距離で時速50 km 前後(約30 mph)に達することがあり、人間や自転車で確実に逃げ切れる速度ではありません。
- 追跡反応:走って逃げる・急に走り去るように見える行為は、犬と同様に「追う」行動を引き起こす可能性があり、かえって危険を高めます。自転車で勢いよく走り去るのはその典型。
- 反応時間の短縮:自転車に乗っていると周囲音が聞こえにくかったり、制動・対応の猶予が少なくなり、結果的に接近遭遇で適切な対処が取りにくくなります(イヤホンの使用は特に危険)。
自転車で熊に遭遇したときの推奨行動(要点)
- 止まる・すぐに降りる(バイクを降りる)。動いていると「逃げている」と見なされやすい。
- 自転車を自分とクマの間に置く(バリアとして使う) — 自転車は視覚的・物理的な障壁になります。落ち着いて自転車を持って立ち、穏やかに声を出して人間であることを示します
- 落ち着いた低めの声で話す、突然大声で叫んだり走ったりしない(近距離での叫びは逆効果のことがある)
- ゆっくり後退して距離を取る(可能なら斜めに/後退しながら)。クマが攻撃的な行動を示したらベアスプレーを使用する準備を。
- 複数で行動しているなら集合して「大きく見せる」(グループはクマを退けやすい)。
(上のポイントは REI、州当局やNPS/IGBC の自転車向けガイダンスに一致します。)
種類・状況による注意点(黒クマ vs ヒグマ 等)
- 黒クマ(Black bear):多くは怖がって逃げる個体が多いが、慣れている個体や捕食的行動をとる個体もいる。状況を見て「反撃(fight back)」が推奨される場面もあるが、自転車で走って逃げるのは勧められません。
- ヒグマ/グリズリー:母熊の防御的行動などでは非常に攻撃的になりやすい。近距離での突然の動作(走る)は危険。種別に応じた行動指針に従うべきです(伏せる/抵抗する判断などは状況依存)。
もし自転車で追われたら(緊急時の対応)
- ベアスプレーを使える距離(一般に数メートル〜10メートル以内)なら迷わず使う。正しく使えば攻撃を止められる確率が高い。
- ベアスプレーがない/使えない場合:自転車を捨てて「止まる→降りる→自転車を盾にして後退」する。走って逃げるのは最悪の選択。
- もし噛みつき・倒された場合:種や状況によって対処が違う(ヒグマなら伏せて首を守る、黒クマなら反撃するケースが多い) — ただし自転車での接近遭遇は判断が難しいので、事前に地域ガイドを確認しておくこと。
事前準備(自転車で熊生息域を走るなら最低限)
- ベアスプレーを携行し、すぐ取り出せる場所に装着して練習する(ホルスター等)。
- イヤホンは使わない/音を出す手段を用意(ベル・声)。視界や聴覚が悪い場所では特にゆっくり走る。
- グループで走る・日没前に行程を終える。単独で薄暗い時間帯の走行はリスクが高い。
- 食べ物を露出しない(バックパック内の封入・匂い対策)。人里・キャンプ場付近では特に注意。
例外・補足(“絶対に逃げ切れない”ではないが現実的でない理由)
- 極端に長い先行距離があり、ロードのタイムトライアル級の速度で走れる環境(舗装路・直線)なら一時的に振り切れる可能性は理論上ありますが、実用的ではありません。普通の山道やMTBではまず不可能で、挑戦すべき手段でもありません。
最後に(まとめ)
- 自転車で遭遇したときは**「走って逃げる」ではなく「止まって降りる/自転車を盾にする/落ち着いて後退・ベアスプレー準備」**が基本。
- 事前にベアスプレーを携行し、イヤホンを使わず、群れで走り、昼間に行動するなどの予防が最も重要です
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