パチンコ店が不正をしていると思って通報した場合でも、名誉毀損になる可能性はあります。ただし、通報の仕方やその内容、事実関係によっては「名誉毀損にならない」ケースも多くあります。以下で詳しく解説します。
◆ 名誉毀損とは?
名誉毀損(めいよきそん)とは、
他人の社会的評価を害するような事実を、他人に伝えることによって成立する犯罪や民事上の不法行為です。
▶ 主な構成要件(刑法230条)
- 公然と(複数人に知れる状況で)
- 事実を摘示し
- 他人の名誉を毀損する
◆ 通報が名誉毀損になるケース
通報が名誉毀損に該当するのは、以下のような場合です。
1. 根拠のない悪意ある通報
- 「不正してるに違いない」と決めつけて、証拠もないのに虚偽の情報を流す
- 故意に悪評を流す目的で通報する
※このようなケースでは、「虚偽告訴罪」「名誉毀損罪」が成立する可能性があります。
2. 通報内容が事実であっても、必要性を逸脱して他人に広めた場合
- 店や個人を特定できる形でSNSに投稿し、その内容が社会的評価を大きく下げるものだった
- 本来、警察に報告すべき内容を公然の場で流布した
◆ 通報が名誉毀損にならないケース
以下の場合は違法性が阻却(免除)されるため、名誉毀損にはなりません。
1. 真実であり、公共性・公益性がある場合
- 店の不正を正当な目的で、正確な情報に基づいて通報した場合
- 社会的に通報の必要性があると判断される場合
2. 真実でなくても「真実と信じる相当な理由」がある場合
- 明らかな挙動や不正の証拠があった(と判断できる)
- 一般人が見て「不正と疑っても仕方がない」状況だった
このような場合は、違法性がないとされる判例もあります(最高裁判例あり)。
◆ 実務上の注意点
- 通報先は警察や行政機関など、正規の機関に限る(SNSや掲示板はリスクあり)
- 憶測だけで断定せず、事実に基づいて冷静に伝える
- 「不正かもしれないと思ったので、調査してほしい」といった表現にとどめる
◆ まとめ
通報内容 | 名誉毀損の可能性 | 補足 |
---|---|---|
根拠なく悪意ある通報 | あり | 虚偽告訴や侮辱と併せて訴えられる可能性あり |
公共性があり真実 | 基本的になし | 社会的通報として正当 |
真実でないが正当な理由がある | 基本的になし | 判例上、違法性阻却されることが多い |
SNSで拡散・店舗名を晒す | あり | 特に名誉毀損や営業妨害として訴訟のリスク高い |
正当な通報であれば、名誉毀損には基本的に当たりません。
**「冷静に、根拠を持ち、正しい機関に伝える」**ことが重要です。
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