光岳(てかりだけ)周辺にはツキノワグマが確実に生息しており、山麓〜樹林帯での出没や痕跡報告が複数あります。稜線や山頂付近での遭遇は稀ですが、アプローチの長い森林帯を歩く場合は「クマがいる前提」での準備が必須です。
以下、詳細な解説です。
1) 光岳のクマはどの種類か
- 光岳に生息するのは**ツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)**です。
- ヒグマ(北海道固有)はいません。ツキノワグマは基本的に臆病ですが、子連れや驚かせた場合、餌不足の状況では攻撃的になることもあります。
2) 「いる」と言える根拠
- 光岳は南アルプス南部の静岡県・長野県境に位置し、ツキノワグマの安定分布域です。
- 山行記録や登山ブログ、光岳登山口周辺の情報には足跡・糞・掘り返し痕・目撃報告が複数あります。
- 光岳小屋や登山口でも「クマ出没注意」の掲示やアナウンスがあるため、現地での遭遇は現実的に存在することが確認できます。
3) 出没しやすい場所
- 便ヶ島登山口〜光岳小屋周辺の林道・樹林帯:目撃・痕跡報告が多い。
- 沢沿いや谷筋の広葉樹林帯:ドングリや木の実が豊富な採餌場所。
- テン場・小屋付近:食べ物の匂いで寄ってくることがあります。
- 稜線・山頂付近:餌が少なく、通常は出没しないため遭遇リスクは低い。
4) 出没の頻度
- 「毎回クマに遭遇するほど多い」わけではありませんが、南アルプス南部では個体密度が比較的高めです。
- 出没は季節による変動があります。
- 春(4–6月):冬眠明けで低標高帯に出やすい
- 夏(7–8月):樹林帯で採食・移動
- 秋(9–11月):冬眠前の食い溜め期で活動範囲が広がる
5) 登山者にとっての危険度
- 遭遇の可能性:中〜やや高(特に樹林帯・テン場・小屋周辺)。
- 稜線や山頂:低(餌が乏しいため行動圏外)。
- 人的被害:稀だがゼロではない。登山者の行動次第でリスクは大きく変わります。
6) なぜ出没するのか
- 光岳周辺は谷沿いや樹林帯が豊富で、ドングリや山の実、昆虫などの食料が豊富です。
- 山小屋やテン場、登山道に残る食べ物や匂いを覚えた個体が繰り返し出没することがあります。
- 木の実の不作年や食料不足時には、人里近くや登山道に降りてくることもあります。
7) 登山者が取るべき具体的対策
- 常に「クマがいる前提」で行動する。静かに単独で歩くのは危険。
- 音を出す:クマ鈴・ラジオ・会話。樹林帯では必須。
- 食料・ゴミ管理を徹底:テント泊なら食料は密封・ザック内保管。ゴミは必ず持ち帰る。小屋の指示に従う。
- 行動時間の工夫:早朝や夕方(夜明け前・日没前)は避ける。日中行動を推奨。
- 痕跡を見たら近づかない:糞・爪痕・掘り返しは「近くにいるサイン」。
- 複数で行動する:グループなら声が出やすく遭遇率が下がる。
- クマスプレーを検討:携行・使用ルールを事前に確認。
- 出発前に最新情報を確認:静岡県や小屋掲示、SNSや山行記録で直近の出没情報を確認。
8) 遭遇時の対応
- 遠距離で発見:静かに距離を取り退避。近づかない。
- 中〜近距離で鉢合わせ:大声で威嚇し、ゆっくり後退。背を向けて走らない。
- 子グマを見た場合:母グマが近い可能性が高く、最優先で退避。
9) まとめ
- 光岳はツキノワグマ生息域の中心部であり、特に登山口〜光岳小屋・樹林帯・谷筋での遭遇リスクは現実的です。
- 稜線・山頂は比較的安全ですが、音出し・食料管理・行動時間・情報確認を徹底することで遭遇リスクを大幅に下げられます。
コメント