【今さら聞けない】後発地震とは?どういう仕組み?【青森県】

当サイトではプロモーションを利用しています。
地震 疑問

後発地震(こうはつじしん)とは — 概要と詳しい解説

端的に言うと、後発地震とは「ある地震(先発地震)の後に発生する地震」の総称です。
重要なのは「後発地震」には先の地震より規模が小さいもの(余震)だけでなく、より大きな地震が続く可能性も含まれる点で、気象庁や防災当局はこの点を踏まえて「後発地震注意情報」を出すことがあります。





1) 用語と「余震」との違い

  • 余震(よしん):一般に先発地震より規模が小さい地震を指すことが多い(但し学術定義で厳密に決まっているわけではない)。
  • 後発地震:先発地震の後に起きる地震全体を指す語で、先発地震より大きな地震も含むという点で余震より広い概念。気象庁も防災上は「余震」ではなく「地震」という言葉を使って注意喚起する方針を示しています。

(例:2011年東北地方太平洋沖地震の前に起きたM7クラスの地震→その後のM9クラスの本震、というような連続性が「先発/後発」の関係の典型例です。)


2) 後発地震が起きるメカニズム(科学的な背景)

後発地震は単一の原因ではなく、複数の物理的プロセスが関係します。代表的なものは:

  1. 静的応力伝達(static stress transfer)
    ある断層でずれると周囲の応力分布が変わり、応力が増す領域ではその後に地震が起きやすくなります。これが“ある地震が別の断層の破壊を誘発する”要因になります。
  2. 動的誘発(dynamic triggering)
    遠方へ伝わる地震波が到達した際の一時的な応力変化や液体の動きの変化が、準備状態にある断層を誘発して短期間後に地震を起こすことがあります(大きな地震の“ショック”で遠隔地の地震活動が活性化する例が報告されています)。
  3. ゆっくり滑り・地殻変動の促進
    本震が周辺でのゆっくり滑り(SSE: slow slip event)や地殻応力の変化を早め、その結果として後発の地震が誘発されることがあります。
  4. 流体圧の変化や人為的要因
    地下流体圧の変化(地下水・ガスなど)も断層の安定性に影響を与えることがあり、場合によっては誘発要因になります(人為的な地震誘発の研究も多数)。

これらは互いに複合して働くことが多く、「どのメカニズムがどの程度寄与したか」を後から明確にするのは専門的な解析が必要です。





3) 実務上の扱い — 気象庁・内閣府の対応

  • 日本では、北海道〜三陸沖(日本海溝・千島海溝周辺)などでM7級の地震が起きた場合に、後発地震(さらに大きな地震が来る可能性)に備える目的で「後発地震注意情報」を出す制度が導入されています(運用開始:2022年12月16日)。
  • 気象庁のFAQや内閣府の解説では、後発地震情報は「警戒を呼びかけるための情報」であり、具体的な発生確率を短時間で高精度に示すものではない、としています。防災行動(家具の固定、避難準備、海岸付近の退避など)を早めに行う指針を提供する役割が大きいです。

4) 具体例(過去の事例)

  • 東日本大震災(2011年)前後:2011年3月9日のM7.3クラスの地震が“先発”となり、3月11日のM9.0が“後発(より大きい地震)”と見なされる文脈で語られることがある(「短期間に大きな地震が連続した例」)。
  • その他、過去の海溝型地震では「比較的大きな地震が連続して発生」する事例が知られており、これが後発地震概念導入の背景になっています。気象庁の解説資料に事例図が掲載されています

(学術研究でも「大地震の後に遠隔地や周辺で動的に誘発された地震群」が観測され、その解析が進められています。)





5) 「後発地震注意情報」が出たときに取るべき行動(防災上の実務)

後発地震注意情報や「大きな地震が連続する可能性がある」と示されたら、以下を優先してください。

  1. まず身の安全の確保:揺れがある場合は倒れ物や落下物から身を守る(低い姿勢・頭を守る)。
  2. 津波に注意:海岸や河口付近の人は高台へ避難する。最初の揺れの後も津波が発生する可能性があるので、油断しない。
  3. 避難準備:持ち出し袋や避難経路、家族の安否連絡手段を確認。燃えやすい物の元栓を閉める等の対策。
  4. 最新情報の取得:ラジオ・防災アプリ・自治体の広報で気象庁・自治体の指示を確認する。
  5. 余震対策の継続:大きな揺れが続く可能性があるため、しばらくは屋内外ともに警戒を続ける。

6) 科学的な限界とリスク理解

  • 「後発地震が必ず来る」と断言することはできませんし、いつ・どこで・どのくらいの規模で起きるかを正確に予測することは現在の地震学でも困難です。
  • そのため、後発地震情報は**“可能性が高まった”**ことの警告と受け取り、個人・地域の被害軽減行動に活かすことが重要です。




 


最後に(要点まとめ)

  • 後発地震 = 先発地震の後に起きる地震全体(余震だけでなく、それより大きな地震も含む)
  • 気象庁・内閣府は特に「海溝沿いのM7級地震の後」に備えるための「後発地震注意情報」を運用している(運用開始:2022年12月)。
  • 科学的メカニズムは静的応力・動的誘発・ゆっくり滑りなど複合的で、正確な個別予測は難しい。発表されたら早めの防災行動が鍵です。




コメント

タイトルとURLをコピーしました