いわき市(福島県)におけるクマ(ツキノワグマ)出没状況と対応策
1. クマはいるのか?
いわき市でもクマの目撃・通報が確認されていますが、**「生息(定着)している可能性は低い」**と市が発表しています。
- 市公式ページに「市内では農作物等の被害報告はありませんが、餌を求めて市域外から往来している可能性がある」と記載されています。
- 2025年7月31日、川前町下桶売(市北部・山間地域)でツキノワグマとみられる動物が目撃されたことを市が正式に発表しています。
- また、「浜通り地域(いわき市を含む)にはこれまでクマがいないとされてきたが、目撃情報が相次いでいる」という報道もあります。
要点まとめ:いわき市ではクマが「いる/出没している」可能性あり。ただし、山林に定住して多数いるという確証は現時点では低く、「通過・往来・餌を求めてやって来る個体」という可能性が高いです。
2. 出没が多い時期・傾向
いわき市域において観察される、クマ出没の時期・場所・条件の傾向を整理します。
多くなる時期
- 春(冬眠明け〜4〜6月):その年の気温推移・堅果(ドングリ類)の豊凶によって早めに活動再開することあり。県全体では「4月16日から注意報発令」という例もあります。
- 夏〜初秋(6〜9月):山の餌(木の実・果実・その他)が減少または採り尽くされると、人里・田畑・林縁部へ移動することがあります。県の説明でも「夏の時期に人里近くに出る可能性が高まる」とされています。 (福島県ホームページ)
- 秋(9〜11月):冬眠前の蓄えを求めて、特に人里近くの食べ物・果実・畑へ降りる個体が増える傾向があります。いわき市でも7月末目撃、8月・11月に複数通報例あり。
出没が起きやすい場所・時間
- 山間部・里山の林縁・田畑近く・道路沿いなど、人里と山地の境界部での出没が多い傾向。いわき市での目撃例も「県道を横断」「田んぼ横」などです。
- 夕方〜夜間・早朝:視界が悪く、人の活動が少ない時間帯がリスクが上がると県が注意喚起しています。
3. 危険なのか?
「潜在的に危険」です。以下、注意すべき点を整理します。
危険性が高まる状況
- クマを驚かせる・子グマ近く・母グマがいる可能性のある場面などでは、攻撃リスクが高まります。県・市とも「子グマを見たら母グマが近くにいる可能性があるので近づかないように」としています。 (いわき市公式サイト)
- 人里・畑・田んぼ・果樹園でクマが餌を探している場合、慣れてしまうと人間を恐れずに出てくる可能性もあります。
- 車道での出没・道路横断なども事故・遭遇のリスクを高めます(いわき市でも車両走行中目撃例あり)
ただし、「常に猛獣に遭遇する」わけではない
- いわき市の通報例では「クマの痕跡と思われたが、アライグマ・タヌキ等と確認された」ケースも多く、市も「定着して多数生息している可能性は低い」と表明しています。
- 適切な対策を取れば遭遇・被害のリスクをかなり下げることが可能です。
総合評価:いわき市では「出没可能性あり/条件次第で危険あり」と判断すべきであり、山林部・田畑近く・夕暮れ等の出没条件では特に警戒が必要です。
4. 駆除すべきか?(捕獲・除去の是非)
この点も慎重な判断が必要です。
駆除を検討する背景
- 鳥獣保護法・県の野生動物管理制度により、クマを含む野生動物の無秩序な駆除はできず、「有害鳥獣」として自治体・県が被害状況・個体の人里習慣化状況を評価して捕獲・駆除を行うケースがあります。
- いわき市では「市内に定着している証拠は乏しいが、餌を求めて往来している可能性がある」としており、駆除を“すぐに”実施という段階には至っていません。
結論として
- いわき市においては「安易に駆除すべき」というより「まずは予防・被害軽減」の観点から住民・行政が協力して対処すべきフェーズにあります。
- 駆除を実施するかどうかは、クマの出没頻度・人身・農作物被害の度合い・定着の有無などを基に自治体・県が判断すべきです。
5. 対策(個人・家庭・地域レベルでできること)
いわき市にお住まい・活動される方向けに、実践的な対策を整理します。
A. 誘引源を減らす(非常に重要)
- 生ごみ・果物・残飯・ペットフード・飼料を屋外に放置しない。特に夜間・早朝の屋外置きは危険です。いわき市公式でも呼びかけています。
- 果樹(柿・栗など)や畑の作物がある場合、早めの収穫・落果の片付けを。クマを人里に引き寄せる原因の一つです。
- 林縁・藪・草むらを放置せず、近くの住居や畑へクマが近づきにくい環境整備(草刈り・藪刈り)を検討。
B. 遭遇を避ける/人の気配を出す
- 山・里山・田畑近くに入る場合:複数人で行動し、鈴・ラジオ・音を出す装備を携行。静かな単独作業・散策は避けた方が良いです。市もこの点を指示しています。
- 夕方〜夜・早朝の入山・草むら散策・単独行動は避ける。視界が悪く、人の気配も薄くなりがちです。
- クマに出会ったら:背を向けず/慌てず/ゆっくり後退。子グマを見たら母グマが近くいる可能性が高いので近づかない。市の注意文もそれを伝えています。
C. 住宅・畑・農地周りの防護策
- 農地・果樹園では、防獣ネット・電気柵等を検討。クマが人里の畑・果樹を餌場と認識しないよう物理的な仕切りを設置。
- 住居近くでは、夜間照明を強化/倉庫・納屋・飼料置場への侵入経路をチェック・施錠を徹底。
- いわき市でも「餌となる物を放置しない」「草むらを藪状態にしない」など環境整備を呼びかけています。
D. 情報共有・通報・自治体との連携
- 「目撃・足跡・爪痕」などを見つけたら、速やかにいわき市の環境企画課・役場窓口・警察へ通報してください。市はスマホ市役所のLINE通報も案内しています。
- 出没マップ・県のクマ目撃情報を定期的に確認し、自分の近所・山林部・畑近くのリスク状況を把握しておく。県の目撃情報マップは有効です。
6. まとめ
- いわき市にはツキノワグマと思われる動物の出没・目撃が確認されており、「クマがまったくいない地域」とは言えません。
- 出没が多くなりやすい時期は「春〜秋(特に夏〜秋)」「山と人里の境界/田畑・道路沿い」「夕方〜夜・早朝」です。
- 潜在的に危険性はありますが、いわき市では「定着している証拠は乏しい」という自治体判断もあり、まずは「被害を出さない・遭遇しない環境作り」が現実的な対策となります。
- 駆除(捕獲)は、個人判断ではなく、自治体・県が被害状況を精査して実施するものであり、すぐに「駆除すべき」というわけではありません。
- 個人・家庭・地域レベルで行うべき優先対策は「餌源を消す」「人の気配を出す」「防護策を講じる」「通報・連携を強化する」です。


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