退職代行サービスは近年急速に普及し、「もう会社に行きたくない」「直接言いづらい」といった人にとって強い味方になっています。
しかし一方で、仕組みを理解せずに利用するとトラブルや法的リスクを抱えることもあるのです。
以下で、退職代行の主なリスク・デメリットを詳しく解説します。
🔍 1. 法的トラブルのリスク(非弁行為との関係)
退職代行で最も問題視されるのが、**「非弁行為(ひべんこうい)」**にあたる可能性です。
◾ 非弁行為とは?
弁護士でない人や業者が「報酬を得て法律事務を行う」こと。
たとえば次のような行為です:
- 会社と「有給を使いたい」「退職日を延ばしたい」など条件交渉をする
- 未払い賃金や退職金などお金の請求や交渉を代行する
これらを非弁業者(弁護士資格のない退職代行)が行うと、**違法(弁護士法72条違反)**になります。
その結果、依頼者も巻き込まれてトラブルになる可能性があります。
✅ 対策
- 弁護士が運営している退職代行(例:弁護士法人が対応)を選ぶと安全。
- 労働組合が行う「団体交渉」は合法(労働組合法で認められている)。
💼 2. 会社との関係悪化・評判への影響
退職代行を使うと、会社側には「直接話すことを避けた」と受け取られることがあります。
◾ 起こりうること
- 上司や人事が不快感を持つ
- 退職書類の手続きが遅れる
- 社内で「退職代行を使った人」と噂になる
- 将来、再就職先への推薦や紹介を頼みにくくなる
特に同業界で転職する場合、悪い印象が残ることもあります。
📄 3. 有給休暇や退職日の調整ができない場合
弁護士でない代行業者は交渉ができないため、
「有給を使ってすぐ辞めたい」「退職日を延ばしてほしい」といった要望が通らないことも。
結果的に、
- 有給を消化できず損をする
- 退職日を一方的に決められる
- 給料や書類の受け取りが遅れる
などの不利益を受ける可能性があります。
💰 4. 費用が高く、返金されない場合もある
退職代行の相場は2〜5万円前後ですが、
弁護士法人に依頼する場合は5〜8万円程度になることもあります。
また、依頼後に会社が連絡を無視して退職手続きが進まなかった場合でも、
「代行自体は実施した」として返金されないケースも。
🧾 5. 会社から連絡が来ることもある
退職代行業者を通しても、会社が
「本人と確認を取りたい」
「会社支給物を返してもらいたい」
などの理由で、本人に直接連絡をしてくる場合があります。
業者によってはその後のフォローが不十分で、利用者が困ることも。
🧠 6. 自分の意思を正確に伝えられないリスク
退職理由や希望条件をすべて代行業者に任せると、
自分の本当の希望が伝わらない場合があります。
たとえば:
- 「有給を使いたかったのに、伝わっていなかった」
- 「退職届の提出日が意図と違った」
- 「会社に貸していたものが返ってこない」
こうした齟齬(そご)が起きると、後でトラブルになることもあります。
🚫 7. 「退職できない」ケースもまれにある
法律上は**退職の意思表示から2週間で辞められる(民法627条)**のですが、
現実には会社が書類を出さなかったり、無視したりして時間がかかることも。
弁護士以外の業者では、強制力をもって対応できないため、
最終的に弁護士へ依頼し直す必要が出るケースもあります。
✅ 安全に使うためのポイント
チェック項目 | 説明 |
---|---|
弁護士または労働組合が運営 | 非弁行為のリスクがない |
料金体系が明確 | 追加費用・返金条件を確認 |
口コミ・実績がある | 対応の信頼性を確認 |
退職後のフォローがある | 書類・有給・残業代請求まで対応可能 |
🧭 まとめ
リスク・デメリット | 内容 |
---|---|
法的リスク | 非弁行為の可能性(違法リスク) |
人間関係の悪化 | 会社に悪印象を与える |
有給などの交渉不可 | 弁護士でない業者は交渉できない |
費用と返金リスク | 成果保証が曖昧な場合もある |
意思伝達ミス | 希望条件が正確に伝わらない |
🗝️ 結論
退職代行は「精神的な負担を減らす」便利な手段ですが、
法的な限界と信頼できる業者選びが非常に重要です。
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