黄金株の概要
**黄金株(Golden Share)とは、特定の株主(多くの場合は創業者や親会社、政府など)に対して、通常の株式にはない強力な拒否権(議決権)**を与える特別な株式のことです。
もともとはイギリスなどで国営企業を民営化するときに導入された制度で、政府が「黄金株」を保有することで、外資による買収や経営の方向性を制御できるようにしたのが始まりです。日本でも会社法に基づき「種類株式」として設計することが可能です。
黄金株の特徴
- 拒否権(拒否特権)がある
- 合併・会社分割・定款変更・新株発行・M&A など、企業の根幹に関わる重要事項について、他の株主が賛成しても「黄金株主が反対すれば成立しない」仕組みです。
- 発行数はごく少数
- 多くの場合、黄金株は「1株だけ」発行され、その1株に強大な権限が集中するケースが一般的です。
- 特定株主に限定される
- 創業者、親会社、政府などが保有し、経営の独立性を守るために使われます。
普通株との違い
項目 | 普通株 | 黄金株 |
---|---|---|
議決権 | 1株につき1票(基本) | 1株でも特定の重要決議を拒否できる強力な権利 |
配当 | 利益に応じて受け取れる | 普通株と同等(特別扱いは少ない) |
流通性 | 市場で売買可能 | 多くは譲渡制限あり、一般流通しない |
目的 | 出資に応じた権利付与 | 経営の独立性・防衛・支配権維持 |
黄金株が使われる目的
- 敵対的買収防止
- 外資やファンドに支配権を奪われないよう、黄金株で経営の方向を拒否できる。
- 創業者の理念維持
- 上場後も創業者が会社の方針を守るために保持する。
- 国家的利益の保護
- 重要インフラ企業(電力・通信・防衛産業など)の株式が海外勢に支配されることを防ぐ。
メリットとデメリット
メリット
- 経営の独立性を守れる。
- 敵対的買収から会社を防衛できる。
- 長期的な企業理念や国家戦略を維持できる。
デメリット
- 他の株主の権利が制限され、不公平感が出る。
- 投資家が敬遠し、株価や資金調達に悪影響が出ることもある。
- 経営者の責任が希薄化し、ガバナンスが効きにくくなるリスク。
まとめ
黄金株とは「会社の最終防衛権」を持つ特別な株式で、拒否権を通じて会社の根幹を守るための仕組みです。普通株は「出資に応じた平等な権利」ですが、黄金株は「特定株主の特別なコントロール手段」として設計されます。
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