牧之原市(静岡県)で台風15号(ペイパー)に伴って発生した突風・竜巻について、被害が大きくなった主な要因を以下に丁寧に整理してお伝えします。
1. 竜巻としての強烈な突風の発生
- 気象庁は、9月5日12時50分頃、牧之原市静波(しずなみ)から吉田町大幡にかけて発生した突風を「竜巻」と認め、風速は約75 m/sと推定。これは改良藤田スケールで上から3番目の「JEF3」に相当し、国内で確認された竜巻としては「過去最強クラス」とされています
- また、掛川市でも竜巻の可能性が高く、風速約55 m/s、JEF4(上から4番目)にあたる強さと評価されています
2. 台風による大気の不安定化と突風発生のメカニズム
- 台風15号が東海地方に進んだ際、上空の気圧の谷と結びついて温帯低気圧的な性質を帯びつつ発達したことで、積乱雲が猛烈に発達しました。そして地上付近では南からの湿った風、上空では西風が強まり、鉛直シア(風の垂直方向の速度差)が増大したことから、竜巻やダウンバーストなどの局地的突風が発生したと考えられます
- このような「雨台風」でも、積乱雲による突風被害のリスクは高まるため、特に急激な竜巻発生に対しては普段以上の警戒が必要です
3. 突発性・局所性に伴う被害集中
- ウェザーニュースによれば、牧之原市や吉田町では突風被害が複数箇所で時間差を伴って発生した可能性があり、観測点では20 m/sほどしか記録されていないにも関わらず、実際には狭い範囲で極めて強い風が吹いたとされています
- このように、観測値だけでは被害の規模や強風の発達を把握しづらく、局地的な強風に対する備えの難しさが浮き彫りとなりました。
4. 建物の耐風性能を超えた風速と被害
- 日本の建築基準法では、各地域に応じた**基準風速(おおむね30–46 m/s)**が設定されており、住宅などはその程度の風速に耐える設計となっています 。
- 今回のように瞬間最大風速75 m/sという規格を大きく超える風が吹いた場合、住宅・インフラの多くが耐えられず、被害が拡大しやすくなります。
(注:ウェブ検索結果上に建築基準法の具体的な数値が記載されたソースは見つけられませんでしたが、一般的な耐風基準の概要として参考情報を紹介しています)
5. 気候変動と竜巻リスクの今後
- 気候変動により、台風や集中豪雨など極端な気象現象の頻度や強度の増加が懸念されています。
- 例えば、日本の年極端1時間降水量50 mm以上の回数は、1976〜2024年の間で10年あたり約28.2回増加しており、非常に統計的に有意な上昇傾向を示しています 。
- 竜巻に関しては、将来に向けて春から秋にかけて、強い竜巻の発生傾向が2〜3倍に増えるという計算結果もあり、気候変動がリスクを高める可能性を示唆しています 。
まとめ|被害が大きくなった要因一覧
要因 | 説明 |
---|---|
極めて強い竜巻(75 m/s、JEF3) | 国内最強クラスの突風が発生したため。 |
台風+気圧の谷による積乱雲の異常発達 | シアや上昇気流が強まり、突風が誘発された。 |
局地的・突発的現象 | 観測値では風速が記録されず、備えが間に合わなかった。 |
建物の耐風基準超過 | 設計上の基準風速を大きく超えたため、構造被害が拡大。 |
気候変動による極端気象の増加リスク | 今後も同様の災害が起こる可能性が高まっている。 |
結びに
牧之原市での被害拡大は、まさに「複数の気象・物理・社会的要因」が重なった結果です。防災・建築・気象行政の連携強化と、気候変動に応じた備えの見直しが喫緊の課題となります。
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