「eSIMにすると電波が悪くなるのでは?」という疑問を持つ方は多いですが、結論からいうと eSIMだからといって電波が悪くなることはありません。ただし、条件や環境によって「eSIMを使っているのに電波が弱い」と感じることはあり得ます。その理由と切り分け方を整理して解説します。
1. eSIMと物理SIMの違い(電波面)
- 物理SIM:ICチップがカード型になっており、端末のSIMスロットに挿入して使う方式
- eSIM:SIM情報を端末内の専用領域(eUICCチップ)にダウンロードして書き込む方式
▶ 両者は「SIM情報をどこに記録するか」の違いだけで、
電波を掴むアンテナ・モデムは同じ部品を使っています。
つまり、SIMの形状によって「電波の入りやすさ」が変わることはありません。
2. 「eSIMにすると電波が悪い」と感じやすいケース
(1) 初期設定や切り替え直後
- eSIMを有効化した直後は、キャリア設定やネットワークプロファイルの反映に時間がかかる場合があります。
- 数分~数十分で安定することが多いですが、その間は「圏外」「不安定」と表示されることがあります。
(2) APN設定が不完全
- 特にMVNO(格安SIM)では、eSIM導入後に APN(アクセスポイント名) を手動入力しないとデータ通信が安定しないことがあります。
- APNが合っていない → 電波は掴んでいるが、通信できない or 不安定に見える。
(3) キャリアのプロビジョニング未完了
- 契約情報(音声・SMS・データ利用可否)がキャリア側でまだ反映されていない場合、「電波は弱い/不安定」と見える。
- 特に新規契約やMNPでeSIMを有効化した直後に起こりやすい。
(4) デュアルSIM利用時の誤認
- eSIMと物理SIMを両方入れている端末では、
- 通話回線とデータ回線の設定が混在している
- 電波アイコンが2つ表示されていて混乱する
→「eSIMの方だけ電波が弱い」と感じることがあります。
(5) 端末・キャリアの相性
- 一部のAndroid端末では「特定キャリアのeSIMプロファイル」でVoLTEや5Gが有効にならない事例があります。
- その場合、「eSIMだと4G止まり」「通話中に圏外に落ちやすい」といった不具合が見られることがあります。
3. 実際に確認する方法
eSIMで「電波が悪い」と感じたら、次を試してみてください。
- 同じ場所で物理SIMと比較
→ 家族や友人の同キャリア物理SIM端末と電波状況を比べる
→ 同じなら環境要因、違うなら設定や端末の問題 - APN設定を確認
→ キャリア公式サイトのeSIM用APNを再入力 - 回線の再選択
- iPhone: 「設定 > モバイル通信 > ネットワーク選択」から自動/手動を切り替える
- Android: 「設定 > モバイルネットワーク > ネットワークを選択」
- 機内モードON/OFF → 再起動
- SIMステータス確認
- Android: 「設定 > 端末情報 > SIMステータス」でRSRP(電波強度)を数値で確認
- iPhone: 「フィールドテストモード」で電波強度をdBm単位で確認
4. まとめ
- eSIMだから電波が悪くなることはない(アンテナや通信モジュールは共通)
- ただし以下の要因で「eSIMのせいに見える」ケースがある
- 初期設定の不安定さ
- APN未設定
- 契約情報の反映遅れ
- デュアルSIMの設定ミス
- 端末とキャリアの対応状況
- → 基本的には 設定・契約・端末の相性問題 を解消すれば、物理SIMと同じ電波品質で使えます。
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