道路(特に都市部の舗装道路)がかなり暑くなる原因は、夏場の都市の熱環境を悪化させる主因の一つです。人間の体感温度や周辺環境に大きな影響を与え、ヒートアイランド現象の加速要因にもなります。
以下では、道路が非常に暑くなる原因と構造的な問題点、そして効果的な対策を詳しく解説します。
■ 道路が「かなり暑くなる」主な原因
1. アスファルトが熱を吸収・蓄積しやすい
- 道路の舗装に使われるアスファルト(黒色)は太陽光を吸収しやすい素材です。
- 特に日射が強い夏季は、表面温度が60~70℃以上に達することもあります。
2. 熱の放出(輻射)により周囲も暑くなる
- アスファルトは吸収した熱を夜間や日陰でもじわじわと放出します。
- この熱(赤外線)が人や建物に影響し、「体感温度」を上げる原因に。
3. 保水性がなく、冷却効果がない
- 土や芝生と違い、アスファルトやコンクリートは水を保持せず、蒸発による冷却が起こらない。
- 雨が降ってもすぐに流れ、地表面の温度が下がりにくい。
4. 排熱・交通による加熱
- 車のタイヤ・エンジン・排気ガスなどの影響で、道路の表面温度はさらに上昇。
- 渋滞などが発生すると、排熱が集中的に道路に加わる。
5. 周囲の建物や街路の影響
- ビルやフェンスが風通しを妨げ、熱が逃げにくくなる。
- 「都市峡谷(アーバンキャニオン)現象」と呼ばれる状態で、道路に熱がこもりやすい環境が生まれる。
■ 道路の暑さを抑える対策(実例と解説)
【1. 表面温度を下げる舗装の導入】
● 遮熱性舗装(クールペイブメント)
- 白色または反射性の高い素材を道路表面に用いることで、太陽光の吸収を抑える。
- 表面温度を10〜15℃程度低下させる効果あり。
- デメリット:初期コストが高く、滑りやすさや景観問題が出る場合も。
● 保水性舗装(打ち水効果あり)
- 多孔質の舗装材を使用し、水を道路の内部に保持できる構造。
- 水分が気化する際に気化熱で温度が下がる(打ち水と同じ原理)。
- 主に歩道や自転車道などに採用されている。
【2. 道路への散水・打ち水】
- 夏季に実施される「打ち水プロジェクト」などが該当。
- 気化熱によって道路表面の温度を一時的に5〜10℃下げられる。
- 効果は短時間だが、人通りの多い場所では体感温度改善に有効。
【3. 緑化の推進と日陰の確保】
● 街路樹の整備
- 道路の両脇に樹木を植えることで日陰ができ、路面温度が下がる。
- 葉からの蒸散作用で周囲の空気も冷やされる。
- 例:東京都・大阪市などでは「都市緑化計画」の一環で整備中。
● 建物の日除け設計(民間協力)
- 民間の建物が軒先・植栽・オーニング(日よけ)を提供することで、歩道などの暑さ対策につながる。
【4. 交通・排熱の抑制】
- エンジン車のアイドリングストップ推進
- EV(電気自動車)の普及による排熱の減少
- 道路渋滞の緩和(都市交通計画・時差通勤の導入など)
【5. 都市設計レベルの対応】
- 道路の幅・配置・ビルの高さなどを工夫して風通しを確保。
- 「都市風配設計」と呼ばれる風の道づくりが近年注目されている。
- 高層ビルの建築規制や緑化義務との組み合わせも効果的。
■ まとめ:道路が暑い理由と対策の整理
項目 | 内容 |
---|---|
主な原因 | アスファルトの熱吸収・放射、排熱、風の遮断、保水性の欠如 |
短期対策 | 打ち水、日陰の確保、サーキュレーターの設置(仮設用) |
中期対策 | 遮熱性舗装・保水性舗装の導入、街路樹整備 |
長期対策 | 都市設計・交通構造の見直し、脱炭素・電動化推進 |
課題 | 初期コスト、メンテナンス、住民や行政の連携が必要 |
道路の暑さ対策は、「体感温度の低下」だけでなく、熱中症予防・都市全体の冷却・カーボンニュートラル化にもつながる重要なテーマです。
コメント