今回は「粉ミルクは100円均一には販売されていない、もしくは100円では買えない理由」を詳しく解説します。
① 原材料が非常に高品質で高価
粉ミルクの原材料は:
- 乳成分(脱脂粉乳、ホエイパウダー、全粉乳など)
- DHA・ARAなどの脂肪酸
- ビタミン・ミネラル類
- 乳糖・ガラクトオリゴ糖・ヌクレオチドなど
など、母乳に近づけるために非常に多種類・高品質の原料が配合されています。
これらの成分は:
- 輸入原料が多い(為替の影響も受ける)
- 医療用にも近い品質管理が必要
- 原料ごとの価格が高い
結果として、原材料費だけで数百円〜数千円規模になる場合もあります。
② 製造工程が非常に高度で専門的
粉ミルクは、
- 原料の調合
- 微細な粉末化(スプレードライ製法など)
- 雑菌混入防止の無菌製造
- 均一な成分分布を保つ撹拌技術
といった非常に精密で高度な製造技術が必要です。
一般的な食品と違い、少しの成分誤差が赤ちゃんの健康に影響を与えかねないため、設備投資・製造コストが高額になります。
③ 安全検査・品質検査が非常に厳しい
粉ミルクは法律上も厳格に規定されています:
- 食品衛生法
- 乳児用調製粉乳基準(厚生労働省所管)
- 微生物検査(サルモネラ・クロストリジウム・大腸菌群など)
- 重金属・残留農薬検査
- 栄養成分検査
これらの多重検査コストは製品価格に反映されます。
100円では検査費用すら賄えません。
④ 法規制により販売許可・許認可コストが高い
日本国内で粉ミルクを販売するには:
- 製造許可
- 規格適合証明
- 表示義務の遵守
- トレーサビリティ(製造履歴管理)
などの法的義務があり、参入障壁が非常に高いです。
その分製造・流通コストも高騰します。
⑤ 容器コスト・保存性コストも高い
粉ミルクは:
- 湿気に弱い ⇒ 密封容器・アルミ包装が必須
- 賞味期限管理 ⇒ 長期保存に対応
- 計量スプーン付属 ⇒ 使いやすさ配慮
これら包装資材コストも非常に高く、100円では提供できません。
⑥ 1回分が非常に小さい量でも高価
たとえば:
- 標準的な缶(800g前後):2,000〜4,000円
- スティックタイプ(使い切り1回分):100円前後
スティック1本でもほぼ100円前後。
原材料費・製造費・包装費の合計がどうしても100円を下回れない構造です。
⑦ 100均のビジネスモデルと相性が悪い
100均の特徴 | 粉ミルクが合わない理由 |
---|---|
安価・簡素・大量生産 | 高品質・高度管理が必要 |
単純包装 | 高度包装・衛生重視 |
安全検査が少ない | 厳格な法規制と多重検査 |
ワンサイズ大量流通 | 細かい月齢別調整が必要 |
100均の低価格大量販売モデルでは全く成立しません。
まとめ表
理由 | 内容 |
---|---|
原材料費 | 多成分・高品質原料が必要 |
製造工程 | 高度な調整・無菌製造 |
安全検査 | 多項目の厳格検査 |
法規制 | 許可・管理コストが高い |
包装費 | 密封容器・計量スプーン付属 |
実際の価格帯 | 1缶2,000円以上が一般的 |
一言まとめ
「粉ミルクは赤ちゃんの命を預かる製品であり、安全・品質・法規制・技術要求が極めて高く、100均の低価格販売モデルには全く適さない」
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