ボーナス(賞与)から控除されるのは、「会社からもらう臨時収入だから全部自由に使えるお金」という扱いではなく、給与と同じく所得として扱われ、社会保険料や税金の計算対象になるためです。
日本のボーナス控除の仕組みを網羅的に解説します。
—
1. ボーナスから何が引かれるのか
一般的な会社員の場合、ボーナス明細には主に以下があります。
① 健康保険料
医療保険の財源になる保険料です。
使われるもの:
病院での自己負担以外の医療費
高額療養費制度
傷病手当金など
会社員は会社と折半して負担します。
—
② 厚生年金保険料
将来の年金だけではなく、現在の年金制度を支える財源です。
ボーナスからも徴収される理由は、
「毎月の給料だけでなく、賞与にも報酬性がある」
と考えられるためです。
—
③ 雇用保険料
失業した時の給付などの財源です。
例:
失業給付
育児休業給付
教育訓練給付
などに使われます。
—
④ 所得税
ボーナスにも所得税がかかります。
ただし、毎月の給料とは計算方法が少し違います。
ボーナスでは、
前月の給与額
扶養人数
所得税率
などを基準に「概算」で天引きされます。
その後、年末調整で最終的な税額が調整されます。
—
2. なぜボーナスまで社会保険料を取るのか
大きな理由は「公平性」と「制度維持」です。
昔の日本では、賞与から社会保険料を取らない時期がありました。
すると、
月給を低く設定
ボーナスを多く設定
することで、社会保険料を逃れる仕組みが可能でした。
例えば、
ケースA
月給50万円 ボーナスなし
ケースB
月給20万円 ボーナス360万円
だと、以前はBの方が社会保険料負担を抑えられる問題がありました。
そのため現在は、
「賞与も労働の対価なら負担してもらう」
という仕組みになっています。
—
3. ボーナスは「会社のご褒美」なのになぜ税金?
よくある疑問です。
理由は税法上、
給与・賞与など会社から受け取る労働の対価は所得
だからです。
つまり、
毎月の給料
夏・冬の賞与
決算賞与
などは基本的に給与所得として扱われます。
「ボーナス」という名前だから特別扱いされるわけではありません。
—
4. ボーナスから引かれる金額の目安
例:
ボーナス額:100万円
ざっくりの場合
健康保険:約5万円前後
厚生年金:約9万円前後
雇用保険:約数千円
所得税:数万円
などが引かれ、
手取りは70〜85万円程度になることがあります。
※年齢、地域、加入している健康保険、所得などで変わります。
—
5. 「二重取りでは?」と思われる理由
よくある疑問です。
毎月の給料からも社会保険料を払っているため、
「毎月払っているのに、ボーナスからも取るのは二重では?」
と思う人がいます。
しかし制度上は、
月給分
賞与分
それぞれに対して保険料を計算しています。
考え方としては、
「年間の収入全体に応じて負担する」
という仕組みです。
—
6. ボーナスから引かれないものもある
すべての税・保険が対象ではありません。
例えば、
住民税
通常、ボーナスから直接引かれません。
理由: 住民税は前年所得を基準に、翌年の給与から分割徴収する仕組みだからです。
例: 2025年の所得 → 2026年度の住民税
という形です。
—
7. ボーナス控除が増えたと感じる理由
近年、
「昔よりボーナスの手取りが少ない」
と感じる人がいます。
理由としては、
社会保険料率の変化
年金制度の財源問題
高齢化による社会保障費増加
税制度の変更
などがあります。
特に厚生年金や健康保険の負担感は大きくなっています。
—
8. ボーナス控除は悪い制度なのか
考え方は分かれます。
メリット
収入に応じて公平に負担できる
社会保障制度の財源になる
ボーナスだけ多くする節税的な給与設計を防げる
デメリット
頑張っても手取りが減った感覚になる
可処分所得が減る
企業が賞与を出しにくく感じる場合がある
という面があります。
—
9. 海外でもボーナス課税はあるのか
多くの国であります。
理由は同じで、
「名前ではなく所得として判断する」
からです。
ボーナスだけ非課税にすると、高所得者ほど有利になる可能性があります。
—
まとめ
ボーナスが控除される理由は、
1. ボーナスも給与所得だから
2. 社会保険制度を維持するため
3. 給料と賞与のバランスによる負担逃れを防ぐため
4. 所得に応じて公平に負担する考え方だから
です。
「せっかくもらったボーナスから引かれるのは損した気分になる」という感覚は自然ですが、制度上は年間の収入全体に対して税金・社会保険を計算する仕組みになっています。
ボーナスが控除されるのは何故?昔は満額もらえたのに!
お金について

コメント