結論から言うと、**日本でもレアアースは「存在」し、条件付きで「採掘・精製は可能」**です。
ただし、経済性・環境規制・立地条件・社会的合意の壁が非常に高く、現時点では「大規模な商業生産は成立していない」というのが実情です。以下、理由を体系的に解説します。
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1. 日本にレアアースは存在するのか
■ 陸上資源:量が少なく条件が悪い
日本列島は火山帯
鉱床が小規模・分散型
採算に合う高品位鉱床がほぼない
「掘れるが、掘っても割に合わない」
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■ 海底資源:世界有数のポテンシャル
日本近海のレアアース泥
南鳥島周辺の深海
水深約5,000〜6,000m
重レアアースを豊富に含有
特徴:
中国の鉱床より高品位な元素も存在
特にジスプロシウム、テルビウムが多い
資源量だけなら世界トップクラス
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2. なぜ日本で採掘が進まないのか(最大の理由)
① 技術的ハードル(特に海底)
超深海での安定採泥
パイプによる揚泥
荒天時の作業リスク
実験レベルでは成功
商業化レベルでは未達
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② コストが高すぎる
深海作業船
専用採掘装置
膨大なエネルギー消費
中国・豪州と比べて
圧倒的にコスト不利
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③ 環境規制が極めて厳しい
日本では:
海洋汚染防止法
環境影響評価(アセスメント)
漁業権・生態系保全
深海生態系は未知な部分が多く
慎重すぎるほど慎重
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④ 精製工程の問題(日本の弱点)
実は日本は:
磁石・材料技術:世界トップクラス
分離・精製工程:ほぼ海外依存
理由:
強酸・有機溶剤を大量使用
放射性廃棄物処理
住民合意が得にくい
「精製工場を国内に建てにくい」
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3. 技術的に「できない」のか?
■ 答え:できる(研究レベルでは成功)
JOGMEC
海洋研究開発機構(JAMSTEC)
大学・民間企業
が:
採泥試験
揚泥実験
分離プロセスの実証
を実施済み。
技術的不可ではない
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4. 日本が選んだ現実的戦略
① 採掘より「分散調達」
豪州
ベトナム
インド
アフリカ
② リサイクル(都市鉱山)
使用済み家電
EVモーター
HDD
高効率回収技術で
事実上の国内鉱山
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③ 使用量削減・代替技術
ジスプロシウム使用量削減磁石
レアアースフリー磁石研究
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④ 精製の一部国内回帰(慎重)
小規模・高付加価値
閉鎖循環型プロセス
環境負荷最小化
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5. なぜ「今すぐやるべき」とも言えないのか
国際価格が安定している限り赤字
巨額投資の回収に数十年
深海生態系破壊リスク
国民合意が必要
安全保障上重要だが、政治判断が難しい
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6. 将来の可能性
条件が揃えば:
中国の供給制限
レアアース価格高騰
深海技術革新
環境影響評価の進展
南鳥島資源が切り札になる可能性
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7. まとめ
観点 日本の現状
資源量 海底に大量
採掘技術 実証レベル
精製 技術はあるが国内困難
課題 コスト・環境・社会合意
現実策 分散調達+リサイクル
将来 条件次第で商業化
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一言でまとめると
**「日本はレアアースを持っているが、掘らない・掘れないのではなく、あえて“今は掘らない”国」**です。
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必要であれば、
南鳥島レアアース泥の最新研究動向
日本の都市鉱山はどれほど有効か
精製工程がどれほど危険・困難か
中国が供給を止めた場合の日本
【AI】日本産のレアアースは存在しないの?【中国依存脱却】
疑問

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