「フレネミー(frenemy)」は、**「友達(friend)なのに、敵(enemy)のような存在」**を表す言葉です。
日本語では特に、**「友達のふりをした敵」「表面上は仲がいいが、実際には嫉妬・競争心・敵意を持っている人」**という意味で使われます。英語の friend と enemy を組み合わせた造語です。小学館の『デジタル大辞泉』も「友人のふりをする敵対者」と説明しています。
フレネミーの意味とは?「友達」と「敵」が同居する関係
フレネミーを一言で表すなら、
「仲間の顔をしているけれど、実は自分と競い合ったり、足を引っ張ったりする人」
です。
例えば、
- 普段は仲良く話している
- 一緒に遊んでいる
- SNSではお互いに「いいね」をする
- 周囲からも友達だと思われている
のに、
- 自分が成功すると面白くなさそうにする
- 失敗すると嬉しそうにする
- 人前では褒めるのに、裏では悪口を言う
- 重要な情報をわざと教えない
- 何かと比較して優位に立とうとする
- こちらの弱点や秘密を利用する
という関係なら、「フレネミー」という言葉がよく当てはまります。
ただし、単に仲が悪い人や、意見が合わない人を何でもフレネミーと呼ぶわけではありません。
フレネミーの語源は「friend+enemy」
英語では、
friend(友達)+enemy(敵)=frenemy
という構造です。
つまり、
friend
友達
+
enemy
敵
↓
frenemy
フレネミー
という混成語です。
英語では frenemy のほか、frienemy という表記もあります。
フレネミーの最大の特徴は「敵なのに近い」こと
普通の敵なら、比較的分かりやすいです。
例えば、
「私はあなたが嫌いです」
と露骨に敵対してくる人なら、こちらも距離を取れます。
ところがフレネミーは、
「味方なのか敵なのか分かりにくい」
ところが厄介です。
例えば、
「すごいじゃん。でも、まあ○○さんなら誰でもできるよね」
など、一見すると褒めているようで、実際には相手を下げる。
あるいは、
「あなたのためを思って言ってるんだけど……」
と言いながら、相手の自信を削る。
このような友好的な態度と敵対的な態度が混在することが、フレネミーの大きな特徴です。
「ただのライバル」とフレネミーは違う
これはかなり重要です。
例えば会社で、
「同期のAさんより先に昇進したい」
と思っている人がいたとしても、それだけでフレネミーとは限りません。
正々堂々と競争しているなら、単なるライバルです。
ライバル
あなた
↑
競争
↓
相手
お互いに競争相手だと認識している
フレネミー
表面
あなた ←「友達だよ」
↓
フレネミー
裏側
あなた ←「負けたくない・邪魔したい」
つまり、
「競争すること」そのものより、「友好的な関係を装いながら敵対する」という部分が重要です。
「フェイクフレンド」との違い
フレネミーとよく似ているのが、
fake friend(偽の友達)
です。
fake friend
「そもそも本当の友達ではないのに、友達のように振る舞っている人」
というニュアンスが強いです。
一方、フレネミーには、
「友情・親しさ」と「敵意・競争心」が同時に存在する
というニュアンスがあります。
したがって、
利用するためだけに近づいてきた
なら「fake friend」のほうが近く、
仲良しではあるけれど、強烈なライバル心も持っている
なら「frenemy」が近いでしょう。
フレネミーと「裏表のある人」は同じなのか
完全に同じではありません。
「裏表がある人」は、表と裏で態度が違う人全般を指します。
一方、フレネミーは、
友好的な関係を維持しながら、敵対・競争・嫉妬などが存在する関係
に重点があります。
そのため、
人によって態度を変える
だけではフレネミーとは限りません。
フレネミーによくある特徴
ここからは、日常生活で「フレネミー」と呼ばれやすい人物の典型例を見てみましょう。
① 成功を素直に喜ばない
あなたが、
「昇進した!」
「資格に合格した!」
「ブログのアクセスが増えた!」
などと報告したとします。
普通の友人なら、
「おめでとう!」
と喜んでくれるでしょう。
ところが、
「へえ。でもその程度なら普通じゃない?」
などと反応する。
あるいは、
「でも○○さんのほうがすごいよね」
と別の人と比較する。
こうした行動が繰り返されるなら、フレネミー的な関係を疑う材料になります。
② 失敗すると妙に嬉しそう
逆に、
「仕事でミスした」
「試験に落ちた」
「計画がうまくいかなかった」
と話したとき、
普段より相手の機嫌がよくなる。
そして、
「だから言ったじゃん」
「やっぱり無理だったんだね」
などと追い打ちをかける。
こうしたパターンも典型的です。
ただし、一度だけ嬉しそうに見えたからといってフレネミーと断定するのは早計です。
人間は誰でも、嫉妬したり複雑な感情を抱いたりします。
重要なのは継続的なパターンです。
③ 褒めながら相手を下げる
例えば、
「その服いいね。あなたにしては珍しく似合ってる」
という言葉。
一見褒めていますが、
「あなたにしては」
が余計です。
こういう、
褒め言葉+小さな攻撃
を繰り返す人は、フレネミー的な特徴を持つ可能性があります。
④ マウントを取ってくる
例えば、
「それ買ったんだ」
に対して、
「私ならもっと高いやつ買うかな」
などと毎回張り合ってくる。
あるいは、
「その旅行、楽しかった?」
と聞いてきた後、
「私は去年もっといいところ行ったけどね」
などと自分の優位性を強調する。
これも競争意識が強い関係でよく見られます。
⑤ 秘密を他人に漏らす
これはかなり危険なタイプです。
あなたが、
「これは他の人には言わないで」
と伝えた話を、
後日別の人から、
「○○さんから聞いたよ」
と言われる。
こうしたことが繰り返されるなら、その相手を友人として信用する必要はありません。
フレネミーかどうかという名称よりも、
「秘密を預ける相手ではない」
と判断することのほうが重要です。
⑥ 重要な情報をわざと教えない
例えば職場で、
「明日の会議、時間変更になったよ」
という情報を、他の人には教えているのに自分には教えない。
そして、
「え?知らなかったの?」
と笑う。
こうした行動が意図的に繰り返されるなら、敵対的な意図を疑う理由になります。
⑦ 人前と二人きりで態度が違う
例えば、
人前
「○○さんとは本当に仲良しです!」
二人きり
「正直、あの人って大したことないよね」
というような態度。
これも典型的な「二面性」です。
ただし、これだけでフレネミーとは限りません。
単なる人付き合いの苦手さや、社交辞令の場合もあるため、他の行動と合わせて判断することが重要です。
⑧ あなたの弱点をやたら知りたがる
フレネミー的な人物は、
「それ誰にも言ってないの?」
「会社では誰と仲悪いの?」
「給料いくら?」
「家族は?」
など、妙にプライベートな情報を聞きたがることがあります。
そして、その情報を後から攻撃材料にする場合があります。
もちろん、単純に興味があるだけの人もいます。
したがって、
「質問が多い=フレネミー」ではありません。
重要なのは、知った情報をどう扱うかです。
フレネミーは職場にも存在する
フレネミーは友人関係だけの話ではありません。
職場では、
- 昇進競争
- 人事評価
- 成績
- 営業成績
- 給料
- 社内での評判
- 上司からの評価
- プロジェクトの主導権
などが絡むため、発生しやすい関係です。
例えば、
「同期だから仲良くしよう」
と言いながら、
「あいつより自分が評価されたい」
という競争意識を持っているケースです。
三菱総合研究所も、職場におけるフレネミー関係について、昇進や評価をめぐる競争、情報共有の抑制、相手の成果への対抗意識などを例として挙げています。
SNSではフレネミーが分かりにくくなる
SNSでは特に厄介です。
例えば、
「○○ちゃん最高!」
「大好き!」
などと投稿している一方で、裏では悪口を言っている。
SNSでは表面上の情報しか見えないため、
本当に仲がいいのか、単なる社交辞令なのか、敵意があるのか
が分かりにくくなります。
逆に、SNS上の「いいね」「コメント」だけを根拠に、
「この人はフレネミーだ」
と判断するのも危険です。
フレネミー=必ず悪人、とは限らない
ここは非常に重要です。
フレネミーという言葉は、かなりネガティブな言葉です。
しかし、
人間関係の中で競争心や嫉妬が発生すること自体は珍しくありません。
例えば、
「友達が自分より先に昇進して羨ましい」
と思うこと自体は、人間として自然な感情です。
それを、
「おめでとう。自分も頑張ろう」
と処理できるなら問題はありません。
一方、
「あいつの昇進を邪魔してやろう」
となれば話が変わります。
つまり、
感情の存在と、相手への実際の加害行動は分けて考えるべきです。
フレネミーを見分けるときに「一回の行動」で判断しない
これはかなり大切です。
例えば友達が、
「その資格、取るの難しくないんじゃない?」
と言った。
これだけで、
「フレネミーだ!」
と決めつけるのは危険です。
単なる冗談かもしれません。
本人に悪意がないかもしれません。
言い方が下手なだけかもしれません。
見るべきなのは、
「同じことが何度も起こっているか」
です。
フレネミーを判断する5つのポイント
次の5項目を見ると比較的判断しやすくなります。
① あなたの成功を喜ぶか
② あなたの失敗を必要以上に喜ばないか
③ あなたの秘密を守るか
④ あなたを陰で攻撃していないか
⑤ あなたとの関係を利用して得をしようとしていないか
これらが複数かつ継続的に当てはまるなら、距離を置くことを検討していいでしょう。
フレネミーへの対処法
一番重要なのは、
「フレネミーを論破すること」ではありません。
むしろ、
「相手に利用される情報や機会を減らすこと」
です。
① 個人的な情報を話しすぎない
これが最も簡単です。
- お金
- 恋愛
- 家族
- 職場の人間関係
- 将来の計画
- コンプレックス
- 秘密
などを必要以上に話さない。
「この人には知られても困らない情報だけ話す」
という状態にします。
② 反応を薄くする
マウントを取ってくる相手に、
「すごいですね!」
「そうなんですね」
程度で終わらせる。
相手の競争に参加しないことです。
③ 成功をいちいち報告しない
フレネミーが、
あなたの成功 → 不機嫌
という反応を繰り返すなら、
成功を報告する必要そのものをなくす
のも有効です。
④ 秘密を預けない
これはかなり重要です。
一度秘密を漏らした相手には、
「次は大丈夫だろう」と期待しない
ほうがいいでしょう。
⑤ 物理的・心理的に距離を取る
完全に絶縁する必要がない場合は、
「知人」
くらいの距離まで戻せばいいのです。
友達と敵の二択ではありません。
「親しくしない」という第三の選択肢があります。
フレネミーと無理に縁を切る必要はない
特に職場ではそうです。
例えば同じ部署の同僚なら、
「今日から絶交します」
などとする必要はありません。
むしろ、
仕事上は普通に接するが、私生活では距離を置く
ほうが現実的です。
仕事
↓
普通に協力する
プライベート
↓
深く関わらない
秘密
↓
話さない
競争
↓
参加しない
これだけでもかなり楽になります。
「フレネミーかも」と思ったときにやってはいけないこと
① いきなり本人を「フレネミー」と呼ぶ
これはおすすめしません。
「あなたは私のフレネミーだ!」
と言われても、ほぼ確実に人間関係が悪化します。
② SNSで匂わせる
「友達だと思ってた人に裏切られました」
などと投稿する。
これは状況をさらに複雑にします。
③ 共通の友人に言いふらす
これも避けたほうがいいでしょう。
結果的に自分自身が人間関係のトラブルメーカーになってしまう可能性があります。
フレネミーと「本当の友達」の違い
かなり分かりやすく比較できます。
| 本当の友達 | フレネミー |
|---|---|
| 成功を喜ぶ | 成功すると不機嫌になる |
| 失敗を心配する | 失敗を喜ぶ |
| 秘密を守る | 秘密を漏らす |
| 注意するときも相手を尊重する | 注意を装って傷つける |
| 健全に競争する | 相手を引きずり下ろそうとする |
| お互いを尊重する | 優劣をつけたがる |
| 相手の成長を喜ぶ | 相手の成長を脅威に感じる |
| 必要なとき助ける | 必要なとき邪魔する |
もちろん、人間関係はこんなに白黒はっきりしているものではありません。
だからこそ、「一つ当てはまったからフレネミー」と判断しないことが重要です。
フレネミーと「嫌いな人」の違い
これも似ていますが違います。
嫌いな人
単純に、
「この人とは性格が合わない」
という関係。
敵
明確に敵対している。
ライバル
競争相手。
フレネミー
友好的な関係を維持しているように見える一方、競争・敵意・嫉妬などが入り込んでいる。
この「友達と敵の中間」のような曖昧さがポイントです。
「フレネミー」は人以外にも使える
英語では、冗談として、
My alarm clock is my frenemy.
「目覚まし時計は私のフレネミーだ」
のように、人間関係以外にも使われることがあります。
つまり、
「必要だけど、嫌い」
という対象を面白く表現する場合にも使えます。
ただし、日本語の日常会話では基本的に人間関係を指す言葉として理解したほうが自然です。
フレネミーという言葉を使うときの注意
「フレネミー」はかなり強い表現です。
単に、
「ちょっと性格が合わない友達」
という程度で使うと、大げさになる可能性があります。
特に、
「あの人、フレネミーだから」
と本人がいないところで断定すると、相手に対するかなり強い評価になります。
したがって、
「最近ちょっと競争意識を感じる」
くらいの状況なら、いきなり「フレネミー」と決めつけないほうが無難です。
フレネミーは「心理学上の正式な病名」ではない
これも重要です。
フレネミーは、人間関係を説明する一般的な言葉・スラングであって、医学的な診断名や正式な心理学的診断カテゴリーではありません。
したがって、
「あの人はフレネミーだから○○という人格障害だ」
などと結びつけるのは不適切です。
「フレネミー」という言葉だけで相手の人格や精神状態を診断することはできません。
フレネミーの本質は「友情と敵対心の同居」
結局、この言葉の本質はここです。
普通の友達
友情 ██████████
敵意 ░░░░░░░░░░
普通の敵
友情 ░░░░░░░░░░
敵意 ██████████
フレネミー
友情 ██████░░░░
敵意 ░░░░██████
もちろん実際の人間関係を数値化できるわけではありません。
重要なのは、
「好きか嫌いか」という単純な二択ではなく、親密さと敵対心が同時に存在する関係
だということです。
まとめ
フレネミー(frenemy)とは、friend(友達)+enemy(敵)から作られた言葉で、「友達のように接しているが、同時にライバル心や敵意を持つ人」「友達のふりをした敵」という意味です。
特に、
- 表面上は仲がいい
- 競争意識が強い
- 相手の成功を素直に喜ばない
- 失敗を喜ぶ
- マウントを取る
- 陰で悪口を言う
- 秘密を漏らす
- 情報を利用して足を引っ張る
といった行動が継続的に組み合わさっている場合に、「フレネミー」という表現がしっくりきます。
ただし、一度嫌なことを言われただけ、意見が対立しただけ、友達同士で競争しただけでフレネミーと決めつけるのは早いです。
そして実際に「この人、フレネミーかもしれない」と感じる場合、相手を悪者にすることより、秘密を話さない・競争に乗らない・必要以上に反応しない・適度な距離を取るという対応のほうが効果的です。
要するに、フレネミーは**「敵なのに友達の位置にいるから厄介な人」**と考えると、非常に分かりやすい言葉です。


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