茨城県・大洗町(海辺/平野部)におけるクマ(ツキノワグマ)リスクについて、現時点で公表されているデータや県の管理方針を基に、「いるか」「時期」「危険性」「駆除のすべきか」「対策」を整理して解説します。
1) 大洗町にクマはいるのか? — 現状の見立て
- 茨城県の ツキノワグマ管理計画(2025〜2029年) では、県全域を計画対象にしているものの、警戒・監視体制を整備する主な重点地域は 県北など山間部に限られている。
- 同管理計画には「恒常的な生息域でない状況を維持する」という基本方針が示されており、大洗町のような沿岸・平野部まで定着している個体群がいるかは不確実。
- 「クママップ(熊出没マップ)」によれば、茨城県全体で直近のクマ出没報告は “最近の出没情報なし” とされており、大洗町周辺でも現在のところ目撃例が非常に少ないか報告されていない。
- 歴史資料(茨城県内の調査報告など)には、大洗町がかつて分布圏として言及された例もある(古い報告)ものの、現代の定着を示す明確な頻出データは乏しい。
→ 結論:大洗町に「完全にクマがいない」とは断言できないが、「日常的に定住する地域」という証拠は現在のところ弱く、リスクは低め。
2) 多く出る時期(クマの行動パターン)
茨城県(ツキノワグマ)の行動傾向から予想される、大洗町でも注意すべき季節は以下の通り:
- 春(冬眠明け):餌を求めて山から移動を始める可能性。
- 夏:活動が活発になる時期。
- 秋(9〜11月):最警戒期。冬眠前に餌(果実や木の実)を大量に探し、人里に下りてくるリスクが増える。
- 冬:深冬期は冬眠している個体も多いため、人里出没は減少傾向が予想される。
3) 危険性(大洗町・人へのリスク評価)
- ツキノワグマは大型かつ力が強いため、遭遇時の危険性はゼロではない。特に子グマ・母グマの時期や驚かせてしまったケースでは注意が必要。
- ただし、大洗町のような海沿いや平野部ではクマによる人的被害が頻繁に発生しているという報告は少なく、「常態的な危険地域」として市民が強く警戒すべきというレベルでは、県の重点監視地域よりはリスクが低い。
- 茨城県自体は被害防止策を公表しており、農作業者や地域住民に注意を呼びかけている。
4) 駆除(捕獲)はすべきか?
- 個人でのクマ駆除(射撃・罠設置)は原則として適切ではない。鳥獣保護管理や県の管理計画により、捕獲・駆除は行政(県や関係機関)が判断・実施すべきもの。
- 茨城県の管理計画では、「普及啓発・注意喚起・モニタリング」が重視されており、捕獲中心の政策ではなく“共存と被害防止”を基本方針としている。
- したがって、クマを見かけた場合は 個人で勝手に駆除を実施するのではなく、まず通報 → 行政対応を求めるべき。
5) 対策(大洗町民・地域としてできる現実的な防護策)
以下は、リスクは低くても念のために取っておいた方がよい対策です。
A)誘因(餌)を減らす
- 生ゴミ・食べ物残渣の管理
- 家庭ごみや残飯を夜間に外に出さない。
- 果実が庭にあれば、落果を定期的に回収。
- 果樹があれば収穫・落果処理
- 庭の柿・栗などがあれば、熟す前に収穫やネットを使った防護を検討。
B)安全な行動習慣
- 林や藪に入る際は注意
- 単独で深夜・早朝に林縁を歩くのは避ける。
- 鈴を鳴らす・ラジオを持って行くなど、自分の存在を知らせる。
- 夜間の外出を控える
- 特に人里近くの山道や暗い道を通る場合は注意。
C)通報・情報共有
- 出没を見たら行政に通報
- 茨城県や市町村の窓口に、目撃情報(日時・場所・特徴)を連絡。県はモニタリング強化をしている。
- 地域で情報ネットワークを作る
- 自治体、町内会で「熊が出たら共有」ルールを作っておく。
- 子ども、住民向けに注意喚起チラシを配布。
D)緊急時の対応準備
- 遭遇時の対応を知っておく
- 距離を取る、刺激しない、ゆっくり後退など基本動作を学ぶ。
- スマホで通報先をあらかじめメモ(県・市の野生鳥獣担当・警察など)。
6) 結論(大洗町住民が知っておくべきポイント)
- 大洗町はクマ(ツキノワグマ)の定常生息域とは見なされていないが、県全体としてはモニタリングと被害防止を進めている。
- 秋(9〜11月)などは特に注意が必要な時期で、果実やゴミ管理などリスク低減は有効。
- 駆除は個人でやるべきではなく、見かけたら行政(県や市)に通報するのが正しい。
- **日常的な防護策(誘因管理・行動注意・通報体制整備)**を自治体・住民で協力すると良い。


コメント