遊佐町(山形県飽海郡)におけるクマ出没状況
1. クマはいるのか?
遊佐町にはクマ(主に ツキノワグマ)の出没が確認されています。
- 町の公式「令和7年度クマ目撃等情報」には、9/22~10月にかけて複数の目撃報告が町内各地で挙がっています。
- また、「クマにご注意ください!」という注意喚起が10月21日に町公式サイトで出され、「10月に入り、町内全域でクマによる柿への食害や目撃情報が非常に多く発生しています。」と明記されています。
- 更に、町の観光・登山情報でも「山麓から山頂域までクマ出没の可能性あり」と警告されています。
→ したがって、遊佐町は「クマがいない地域」ではなく、むしろ出没の可能性が比較的高い地域と判断できます。
2. 多い時期はいつなのか?
遊佐町のデータおよび県全体の傾向から、以下のような時期にクマ出没リスクが高まると考えられます:
- 夏~初秋(7月〜9月):遊佐町の目撃情報では、7月下旬から8月にかけて複数件報告されています。例:7/25日・8/2日付で集落付近でクマ1頭の目撃。 秋(9月〜10月):特に目撃件数が増えており、町が「10月に入り…非常に多く発生しています」と発表しています。
- 夕方〜夜間:目撃時間帯を見ると、「19時〜21時」「夜間5時前」など、薄暮・夜・早朝にも出没している記録があります。
→ 結論として、遊佐町では 夏から秋にかけて、特に秋の収穫期などでクマの出没・食害リスクが高まると見るのが妥当です。
3. 人にとって危険なのか?
一定の危険性がありますが、状況によりリスクの程度は変わります。
- クマは一般的には人を避ける傾向がありますが、餌となる果実・農作物・残飯などがある人里近くでは接触機会が増え、母グマ+子グマの存在・突然遭遇・見通しの悪い場所などでは危険が高まります。
- 遊佐町でも「住宅街・集落近くで目撃」「柿の木・果実の食害」が報告されており、人の生活圏に近づいているという実例があります。
- ただし、遊佐町の公表情報では現時点で「人的被害(人が襲われた等)」が頻繁に出ているという明確なデータは確認できません。例えば、2024年6月27日には道路横断しているクマの目撃があり「これまでに人や物への被害は確認されていません」という報道があります。
→ よって、「遭遇・接触の可能性あり。万が一の接近では危険になりうる」という認識が適切です。
4. 駆除すべきか?
駆除については次のように整理できます:
- 個人が勝手に罠を仕掛けたり銃で駆除を行ったりするのは法律・安全面両方で問題があります。野生動物としてのクマは、自治体・県・専門機関が管理・対応する対象です。
- 遊佐町では、クマ目撃情報が出ている旨を町が公表し、住民に注意を呼びかけるとともに、「不要な柿の実の撤去」等の予防策を案内しています。町が補助制度を案内していることからも、「まず予防と共存・管理」が焦点となっています。
- 駆除が必要かどうかは「その個体の行動(人里を頻繁に徘徊/人に危害を加える可能性ありかどうか)」「自治体の判断」「専門機関の有無」など複数の要因次第です。
→ 結論として、遊佐町においても 「個人判断で駆除すべき」ではなく、自治体と協議・専門機関に対応を依頼すべきです。
5. 対策(家庭・地域レベル・個人レベル)
遊佐町・山形県の情報を踏まえた、実践的な対策を以下に整理します。
【家庭・農地・果樹・畑レベル】
- 生ごみ・家庭の残飯を屋外に放置しない。特に夕方以降は屋内保管または密閉容器を使用。
- 果樹(柿・栗・リンゴなど)や落果果実を放置せず、早期に回収・撤去。遊佐町でも「不要な柿の実は撤去してください」と案内が出ています。
- 農地・果樹地付近の下草・藪を除去し、見通しを良くする。クマが隠れられる藪・雑木があると遭遇リスクが高まります。
- 倉庫・農機具小屋・車庫などの屋外施設を整理・施錠し、クマの侵入を防ぐ。
- 電気柵・金網・センサーライト等の物理的防御を検討。遊佐町でも補助制度が案内されている可能性がありますので、町産業課などに確認を。
【山林・山麓・田畑・外作業時】
- 単独で山林・山麓・田畑近くでの作業・散策を行わない。できれば2人以上で行動。
- 鈴・ラジオ・拡声器など“音のでるもの”を携帯して人の存在を知らせる。遊佐町観光・登山情報でも「山麓部では鈴の携行を」と案内があります。
- 早朝・夕方・夜間・薄暮時・見通しの悪い場所(林道・沢沿い・藪)では特に注意。
- 山麓や集落近くを通る際は、草刈り・整備されていない林縁を避け、常に周囲を確認。
【目撃・遭遇時の対応】
- クマを見かけたら、近づかず、静かに距離をとってその場を立ち去る。走って逃げるのは避ける。
- 背を向けず、ゆっくり後退しながら、可能であれば木・岩などを障害物にして距離をとる。
- 子グマを見た場合は母グマが近くにいる可能性が高いため、特に慎重に。
- クマの食害痕・足跡・爪痕・落果した果実などを見つけたら、遊佐町役場「防災(その他)」ページで案内された連絡先へ通報してください。
6. 背景・なぜ遊佐町で出没するのか?
- 遊佐町は 鳥海山(標高2,000 m級)山麓から海岸線まで変化に富んだ地形を持ち、クマの生息域・移動域として適した森林・山麓部が多くあります。観光・登山・山林近くの集落もその境界に存在します。
- 果樹・山林近くの集落・落果した野生の実・人里近くにある残飯などがクマを誘引する要因となります。遊佐町でも「柿の実の食害」が明記されています。
- また、山形県全体で木の実・ドングリ・クリなどの量が少ない年では、クマが餌を求めて人里近くまで出向くという報告があります。
→ そのため、遊佐町のような「山林・山麓+集落・果樹・海岸近く」の立地では、クマ出没のリスクが比較的高めと捉えられます。
7. まとめ
- 遊佐町には確実にクマが出没しており、住民・登山者・果樹/農地所有者が注意するべき地域です。
- 特に 夏~秋(7月〜10月)、また 夕方〜夜間/早朝には注意が必要です。
- 人にとっての危険性は「遭遇すればリスクあり」ですが、頻繁に人が襲われているというデータは少なく、「準備・対策をしっかりすれば被害を防げる」状況です。
- 駆除を個人判断で行うべきではなく、自治体・県・専門機関と連携して適切な管理を行うべきです。
- 家庭・農地・地域・山林で取れる対策(ゴミ管理・果樹管理・藪除去・音の出る装備・目撃時の正しい行動)は非常に有効です。
- 背景として、地理的環境(山・森林・果樹地・人里近接)や餌源の変化・山林環境・人の生活圏との近接が、クマ出没を促す要因となっています。


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