クマ対策として「歌を歌う」場合が、逆にクマを引き寄せるかどうかについて詳しく解説します。ここでは日本で問題になる**ツキノワグマ(本州・四国・九州)とヒグマ(北海道)**を想定します。
1. 歌うことの基本的な効果
登山や山林で歌を歌う目的は、鈴やラジオと同じくクマに人間の存在を知らせることです。
- 人間の存在を知らせる
- クマは基本的に人間を避ける傾向があります。
- 声(歌声)によって「ここに人がいる」と認識させ、森の奥や遠くに移動することが多い。
- 静かな山道や早朝・夕方に効果的
- 薄明薄暮の時間帯に歌声で存在を知らせることで、遭遇リスクを減らせます。
2. 歌が逆にクマを引き寄せる可能性
原則として、歌声は避けさせる効果が大きいですが、状況によっては注意が必要です。
① 母グマと子グマが近くにいる場合
- 母グマは子グマを守る防衛本能が強く、突然の歌声で脅威を感じると、警戒して接近する場合があります。
- 特に子グマが視界に入る距離で歌うのは避けるべきです。
② 餌場や人里の近く
- クマが果実や魚、人間の食料を目当てにしている場合、歌声が「人間がいるけど食料がある」と認識されることがあります。
- 若い個体や好奇心の強い個体は、歌声に興味を示して近づく場合があります。
- ただし、山林や登山道での報告では、歌声が直接クマを引き寄せた例は少なく、基本的には避けさせる効果が優勢です。
③ 音量や声の質
- 大きすぎる歌声や突然の大声は、母グマの防衛反応を引き起こす可能性があります。
- 小声でリズミカルに歌う方が、自然に人間の存在を知らせられて安全です。
3. 歌う場合のポイント
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 音量 | 遠くまで届く必要はなく、周囲に人間がいることがわかる程度で十分 |
| 声の質 | 自然な声で、リズミカルに歌うと良い。突然大声は避ける |
| タイミング | 早朝・夕方に定期的に歌うと効果的 |
| 他の対策との併用 | 食料管理、距離確保、複数人行動と組み合わせる |
4. 歌声の効果と限界
- 効果
- クマに人間の存在を知らせ、接近を避けさせる
- 特に静かな森や登山道での遭遇リスクを下げる
- 限界
- 母グマや子グマが近くにいる場合、逆に警戒・接近される可能性
- 餌場や人里近くでは、歌声だけでは安全確保はできない
- 捕食型や好奇心の強い個体には効果が薄い
まとめ
- 基本的には歌声はクマを避けさせる効果がある
- 母グマや子グマ、餌場付近では逆効果になる可能性がある
- 音量は自然でリズミカルに、突然大声を出さないのが安全
- 食料管理・距離確保・複数人での行動と組み合わせることで、遭遇リスクを大幅に減らせる


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