「無言の帰宅」という表現は、報道の中でよく目にしますが、慣れていない人にとっては分かりにくく、誤解を招きやすい言い回しです。詳しく整理します。
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1. 「無言の帰宅」の意味
報道における「無言の帰宅」とは、
事件や事故、スポーツや芸能などで注目された人物が取材陣に対して何も語らず、自宅に戻った様子を表現する言葉です。
例:
逮捕後に保釈された芸能人が、報道陣に囲まれながらも一言も発せずに自宅へ戻った。
試合で敗れた選手が、報道陣の質問に答えずに自宅に帰った。
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2. なぜ分かりにくいのか
1. 日常的な言葉ではない
普段の会話で「無言の帰宅」という表現は使いません。あくまでマスメディア特有の言い回しであり、新聞やニュース原稿の「定型句」に近いものです。
2. 「帰宅」と言いつつ実際には自宅でなくても使われる
空港に帰ってきた芸能人や、クラブハウスに戻るスポーツ選手に対しても「無言の帰宅」と報じられることがあります。このため、必ずしも「家に帰る」場面に限定されず、文脈によって意味がぶれるのです。
3. 「無言」が強調されるニュアンス
あえて「無言」と報じることで、
- 「本来なら何か語る場面だが、口を閉ざした」
- 「説明責任を果たさなかった」
という印象を視聴者に与える効果があります。
しかしその分、報道側のバイアス(意図的な強調)が混じるため、客観的事実以上のニュアンスを含んでしまいます。
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3. 報道上の背景
短くインパクトを出すための表現
ニュース原稿では限られた文字数で印象的に伝える必要があるため、簡潔で強い言葉が選ばれやすい。
視聴者の興味を引く狙い
「帰宅した」だけでは平凡ですが、「無言の帰宅」と言えば「何も語らなかった」という余韻を残せます。
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4. 誤解や批判もある
「ただ帰宅しただけ」なのに、あたかも悪いことをしたように聞こえる。
プライベートな行動に過度な意味づけをしている。
メディアの決まり文句にすぎないのに、深刻なニュース用語のように見える。
こうした理由から、「無言の帰宅」は分かりにくく、時に不適切とも指摘されます。
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✅まとめると:
「無言の帰宅」は、報道が作り出した独特の言い回しで、日常語ではなく「取材に応じなかった」という事実を強調するための表現です。分かりにくいのは、①日常で使われない②実際の帰宅に限定されない③余計なニュアンスを含む──この3点が大きな理由です。
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