「物理SIMを廃止すればバッテリーが大きくなる」とよく言われますが、実際には意外と大きくできない理由があります。順を追って詳しく解説します。
1. 物理SIMスロットが占めるスペースは意外と小さい
- nanoSIMスロットのサイズは 約12×8 mm、厚さは0.67 mm程度。
- iPhoneや高性能Androidの筐体内部で見ると、バッテリーのサイズに与える影響はごくわずかです。
- 例えば、iPhone 14(日本版)は物理SIMなしですが、バッテリー容量はiPhone 13と比較してわずか数%しか増えていません。
2. バッテリー容量を増やす制約は他にある
物理SIMスロットを廃止しても、バッテリーサイズは以下の制約で大幅に増やせません:
- 筐体の厚み・重量制限
- スマホは手に持ったときの感触や重さが重要
- バッテリーを大きくすると厚み・重量が増え、操作性や携帯性が悪化
- 内部部品の配置
- SoC(プロセッサ)、カメラモジュール、スピーカー、アンテナなどが多くのスペースを占有
- SIMスロットをなくしただけでは、他の部品の配置が優先され、バッテリースペースを大きくできない
- 熱設計の制約
- 大容量バッテリーは発熱量が増える
- 高性能SoCや5Gモデムとの間で熱管理が必要
- スロットをなくしても放熱構造を確保する必要があり、バッテリーを無制限に大きくできない
3. 実際のiPhoneでの変化
- iPhone 14(日本版)では物理SIMが廃止されました
- バッテリー容量は iPhone 13より約3〜5%増加
- 物理SIM廃止による効果はほとんど目に見えないレベル
- バッテリー駆動時間の向上は主に SoCの省電力化・ソフトウェア最適化 によるもの
4. まとめ
- 物理SIM廃止 = 大幅バッテリー増加 ではない
- SIMスロットの占めるスペースは微小で、バッテリーサイズ増加にはほとんど寄与しない
- バッテリー容量を大きくする制約は、
- 筐体の厚み・重量
- 内部部品配置
- 熱設計
などが支配的
- 実際の端末では、物理SIM廃止によるバッテリー増加は微小で、駆動時間改善は主に省電力技術に依存
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