「部活中は水を飲んではいけない」という指導方針は、過去に多くの学校や運動部で見られた慣習ですが、現在では医学的にも教育的にも否定されています。この方針が生まれた背景や問題点、そして現代の正しい水分補給の考え方について詳しく解説します。
🕰 1. 「水を飲んではいけない」指導が生まれた背景
戦前〜昭和時代に根付いた「精神主義」「我慢教育」
- 軍隊文化の影響を受けた学校体育では、「我慢・根性」が重視されました。
- 「喉が渇いても耐えろ」「飲みたいと思うのは甘え」とされ、水分補給を弱さとみなす風潮がありました。
「飲むとバテる」「胃が痛くなる」といった誤解も
- 昔は科学的知識が乏しく、「水を飲むと内臓に負担がかかる」「余計に疲れる」などの誤認が広まりました。
- その結果、誤った伝承的な指導として定着してしまいました。
❌ 2. 水を飲まないことで起きる危険な問題
✅ 脱水症状・熱中症
- 人は運動中に大量の汗をかき、水分と塩分が失われます。
- 補給せずに運動を続けると、体温が異常に上昇し、命に関わる熱中症を引き起こす危険があります。
✅ パフォーマンスの低下
- 水分不足は筋肉の動きを鈍らせ、集中力も下がります。
- その結果、ケガのリスクも高まる上に、部活動の成果にも悪影響が出ます。
✅ 命を落とす事故の実例も
- 「水を飲ませてもらえなかった」ために熱中症で死亡した高校生の事例(実際に過去複数件あり)。
- このような悲劇が繰り返されたことで、文部科学省やスポーツ庁が注意喚起を行うようになりました。
📚 3. 現代の正しい指導と科学的根拠
スポーツ医学に基づく常識:
- 喉が渇いたと感じる前に水を飲むことが重要
- 15〜20分ごとに水分を補給するのが理想的
- 塩分・ミネラル(ナトリウムなど)も補う必要があるため、スポーツドリンクも有効
👉 これは、プロスポーツ選手や部活動の全国大会でも常識です。
🧑🏫 4. 現在は指導方針として明確に「水分補給は必須」
- 文部科学省・日本体育協会などは「水分補給を積極的に指導せよ」と明示
- 部活動ガイドラインや安全対策マニュアルでも、水分補給タイムの設置が推奨されています
例:
「熱中症予防のため、定期的な水分補給の時間を必ず設けること。特に夏季は15分に1回を目安に」
(出典:日本スポーツ協会・熱中症予防ガイド)
🔄 5. なぜいまだに「水を飲むな」と言う指導者がいるのか?
- 昔の指導をそのまま受け継いでいる年配の監督・顧問がいる
- 成績重視や過度な規律を求めるあまり、科学より精神論を優先する風土
- 「自分が昔そうされたから」という、負の連鎖・指導のアップデート不足
👉 これは明確に教育・安全上の問題であり、改善が必要です。
✅ 6. まとめ:なぜ水を飲むことが大事なのか
項目 | 内容 |
---|---|
❌「飲まない」方針の背景 | 精神主義・誤解・旧式指導の名残 |
❗起こりうるリスク | 熱中症、脱水、意識障害、死亡事故 |
✅ 現代の常識 | 15〜20分ごとに水分補給が必要 |
🧪 科学的根拠 | 汗とともに失われる水分と電解質を補う |
🧑🏫 教育の責任 | 正しい知識で命を守る指導が求められる |
💬 補足:もし「水を飲ませない」顧問がいたら…
- 保護者や学校に相談する
- 学校の健康担当教員(養護教諭)に事実を伝える
- 文部科学省の「スポーツ事故報告窓口」なども活用できる
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