船室(フェリー・旅客船・作業船・漁船など)が寒いのは、陸上建物とはまったく違う条件が重なって起きます。
「暖房を入れているのに寒い」のはよくある話で、原因を外すと何をしても効きません。
原因 → 船特有の事情 → 実行可能な対策 → 暖房が効かない時の割り切り、の順で詳しく解説します。
船室が寒く、気温が低くなりやすい主な原因
① 海水による冷却(最大要因)
- 船体は常に冷たい海水に接している
- 船底・舷側・床が冷える
- 冷えが下から・横から伝わる
👉 建物と違い「外気温以上に冷える」。
② 金属構造による放熱
- 船体は鋼・アルミ
- 断熱層が薄い/劣化
- 熱橋(ヒートブリッジ)が多い
👉 暖めてもすぐ逃げる。
③ 換気・給気が止められない
- 船舶安全基準
- エンジン・機関室連動換気
- 冷たい外気が常時流入
④ 出入口・ハッチの気密性不足
- ドア・ハッチの隙間
- 波・揺れ対応で密閉しきれない
⑤ 天井が低くても暖気が偏る
- 暖房吹出口が上部
- 足元が冷たいまま
⑥ 早朝・夜間航行
- 海上は陸上より冷える
- 風速が体感温度を下げる
暖房を使っても暖まらない理由
- 船体からの放熱量 > 暖房能力
- 冷たい床・壁が体温を奪う
- 換気で暖気が排出される
- 揺れで暖気が偏る
👉 暖房が構造的に負けている。
船室で現実的にできる対策(安全第一)
① 床・下半身対策(最優先)
効果:★★★★★
- 厚手マット・断熱マット
- 防寒ブーツ・インソール
- 座席下にも断熱材
👉 足元が暖まるだけで体感が激変。
② 冷えやすい面を遮断
効果:★★★★☆
- 舷側・窓に断熱シート
- カーテン・内張り追加
- 金属露出部にカバー
③ 暖気の循環
効果:★★★★☆
- 小型サーキュレーター
- 吹出口の向きを足元へ
- デッドゾーン解消
④ 局所暖房(規定内)
効果:★★★☆☆
- 遠赤外線ヒーター
- 座席下ヒーター
※火気・電力・転倒対策必須
⑤ 出入口の隙間対策
効果:★★★☆☆
- ガスケット交換
- 隙間テープ(耐海水)
暖房が効かない時の「割り切り運用」
● 全体暖房は諦める
船室全体を暖めるのは非効率。
人がいる範囲を集中的に守る。
● 服装・装備での自己防衛
- 防寒インナー
- ネックウォーマー
- 手袋(作業規定内)
● 休憩導線を短く
- 暖かい区画へすぐ戻れる配置
- 体温回復の時間確保
放置した場合のリスク
- 低体温・体力低下
- 集中力低下による事故
- 船酔い悪化
- 作業効率低下
👉 寒さ対策は安全対策。
管理側に伝える時の現実的な言い方
❌「寒いです」
⭕
「船体からの放熱と床冷えで体温低下が早く、安全面に影響が出そうです。
床断熱や局所暖房の検討をお願いできますか。」


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