レアアースで中国産の割合が圧倒的に多い理由は、単に「資源が多いから」ではありません。
地質・国家戦略・環境規制・産業構造・国際政治が複合的に絡んだ結果です。以下、段階的に詳しく解説します。
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1. 中国は「資源量」そのものが多い
■ 世界最大級の鉱床を保有
中国は以下のような巨大レアアース鉱床を持っています。
内モンゴル自治区・包頭(バオトウ)鉱床
世界最大級の軽レアアース鉱床
江西省・広東省
重レアアース(特にジスプロシウムなど)が豊富
👉 特に重レアアースを安定的に産出できる国は非常に少ないため、中国の価値は突出しています。
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2. 「採掘」より重要な精製・分離を中国が制覇した
■ レアアースの本当の難関は精製
レアアースは:
複数元素が混ざって産出
化学的性質が非常に似ている
そのため、
高度な分離技術
膨大な工程
大量の薬品
が必要です。
■ 中国は精製工程を国内に集中
採掘 → 分離 → 精製 → 磁石・部品製造まで一貫体制
他国は「掘るだけ」「原鉱輸出」に留まった
👉 結果として
「レアアース=中国で精製しないと使えない」構造が完成しました。
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3. 環境規制を事実上「度外視」できた時代があった
■ レアアース精製の環境負荷
強酸・有機溶剤を大量使用
放射性物質(トリウムなど)を含む廃棄物
深刻な土壌・水質汚染
■ 中国の強み(かつ問題点)
1990〜2000年代、環境規制が緩かった
地方政府が経済成長を優先
健康被害・汚染を事実上黙認
👉 欧米・日本では採算が合わず撤退
👉 中国だけが「続けられた」
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4. 国家戦略としての早期集中投資
■ 鄧小平の有名な言葉
> 「中東に石油あり、中国にレアアースあり」
これは単なる比喩ではなく、国家戦略宣言でした。
■ 中国政府の具体策
国営・準国営企業を育成
補助金・税制優遇
外資に技術移転を要求
価格を意図的に低く設定(ダンピング)
👉 世界市場を価格破壊で制圧
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5. 他国の「自滅」に近い撤退
■ アメリカの例
カリフォルニアのマウンテンパス鉱山
環境規制・コスト増で操業停止
中国産が安すぎて競争不能
■ 日本・欧州
精製工程を中国に委託
国内技術・人材が空洞化
👉 中国一強を「許容してしまった」
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6. 需要国が「安さ」を優先し続けた
EV
スマホ
風力発電
半導体
これらはコスト競争が激しい産業です。
👉
短期的には「安い中国産」が正解
長期的には「依存リスク」が拡大
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7. 違法採掘とグレーゾーンの存在
特に重レアアースでは:
無許可採掘
密輸
環境破壊を伴う採取
が横行してきました。
👉 表向きの統計以上に
中国が供給していた実態があったとされます。
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8. 現在の中国:支配から「管理」へ
近年の中国は:
環境規制を強化
企業統合(国営大手に集約)
輸出管理の厳格化
目的は:
価格安定
戦略資源としての統制
外交カードとしての利用
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9. まとめ(構造的に見た理由)
要因 内容
地質 軽・重レアアース両方が豊富
技術 精製・分離技術を独占
環境 規制が緩い時代に拡大
国家戦略 早期から集中投資
国際要因 他国が撤退・依存
結果 世界供給の6〜7割を支配
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一言で言うと
「中国が強い」のではなく、「他国が撤退し、中国だけが残った」結果です。
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もし興味があれば、
なぜ「重レアアース」は中国とミャンマーしか出ないのか
日本が進める「中国依存脱却」の現状
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といったテーマも深掘りできます。
レアアースが中国産・中国製ばかりなのは何故?日本では採れないの?
疑問

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