南三陸町(宮城県本吉郡)におけるクマ(ツキノワグマ)の出没状況と対策
「いるのか」「多い時期」「危険かどうか」「駆除すべきか」「対策」という観点で、南三陸町の状況をできるだけ詳しく整理します。
1) 南三陸町にクマはいるのか?
南三陸町ではツキノワグマの出没・目撃情報が実際に確認されています:
- 南三陸町役場ウェブサイトで「クマに関する注意喚起」が出されており、令和7年6月10日付で「黒崎付近(農林水産課撮影)にてクマの目撃あり」と明記されています。
- さらに、令和7年8月6日午後5時頃、南三陸町入谷桜沢地区にクマが出没したというニュースがあります
- また、南三陸町内で「クマの目撃情報が増えている」という観光ポータルサイトの記事もあります。
- 県の公式でも「宮城県内市町村(南三陸町を含む)でツキノワグマ目撃情報を受け付けている」というページがあります。
これらを総合すると、南三陸町は 「クマがまったくいない」地域ではなく、実際に出没・目撃されている地域 と言えます。
2) 多い時期・出没しやすい時期はいつか?
南三陸町および宮城県全体のデータから、クマが人里・住宅地近くに出やすい時期を整理します。
- 宮城県では、令和6年度に「クマ出没シーズン予報(春季~秋季)」を発出しており、令和7年4月から12月にかけて「平年より出没が多い見込み」です。
- 春(冬眠明け4~6月)に餌を求めて山中・里山を動き回る時期、夏~晩夏(7~9月)に活動範囲を広げること、そして秋(9~11月)に木の実等が少なくなり人里近くへ下りる可能性が高いという生態的傾向があります。南三陸町の案内にも「果樹や野菜の収穫は早めに」「クマを人里に引き寄せないようにしましょう」と記されています。
- 実際の目撃報告として、南三陸町では「8月6日」「8月27日」など夏~晩夏に出没情報が出ています
→ 結論として、南三陸町では 「春~初夏」「夏~晩夏」「秋(冬眠前)」 の時期に特に出没リスクが高まると思われます。住居・農地・山林近くに居住・通行する方は、この期間に警戒を強めておくと良いでしょう。
3) 危険なのか?
一定の危険性があります。以下の理由があります:
- ツキノワグマは大きくなると体重50kg以上になる個体もおり、人間にとって無視できない野生動物です。南三陸町の案内でもその特徴が説明されています(例:「視力があまり良くないので聴覚・嗅覚で行動」「人より速く走れる場合も」)。
- 南三陸町では人里近く、農地近く、住宅・道路付近での出没情報があるため、“山の奥だけ”の問題ではなく生活圏に近づいてくる可能性があります。
- クマとの遭遇で特に危険となるのは、母グマ+子グマを連れたとき/夜間・薄暮時・人通りの少ない道/刺激されたとき、などが挙げられ、南三陸町の案内も「親子連れのクマに注意!!」としています。
- ただし、南三陸町で「度重なる人身被害」が公表されているという明確なデータまでは確認できません。市町村レベルで目撃・出没情報が多く出ているという段階です。
→ よって、「危険が無い」とは言えず、「遭遇したら危険になり得る」という前提で備えるべきです。
4) 駆除すべきなのか?
駆除については以下のように整理できます。
- 個人が勝手にクマを駆除(例えば射撃・罠設置)するのは、法律(野生鳥獣保護法など)・安全・専門性の観点から原則として適切ではないとされています。
- 南三陸町の案内にも、「クマを見かけたら、町役場農林水産課、警察署へご連絡ください」と明記されています。
- 駆除が検討されるのは、「同一個体が何度も人里に出て被害を繰り返している」「人身被害が発生している」など、対応が必要な段階に至った時です。多くの場合、自治体・県が調査・捕獲・移送・場合によって駆除という手順を踏んでいます。
→ したがって、南三陸町においても 「個人で駆除をすべき」というよりも、まずは“出没予防・遭遇しない対策・自治体と連携”を優先すべきです。
5) 対策(南三陸町で住民・地域としてできること)
南三陸町という地域特性(沿岸部・山間部・農地・林地が混在)を踏まえて、住まいや地域でできる具体的な対策を以下に列挙します。
・住居・住宅地近くでできること
- 生ごみ・残飯・屋外に放置された果実・肥料などをクマの誘引源としないよう、屋内保管・回収の徹底を行う。南三陸町案内でも「果樹・野菜の収穫は早めに」「生ごみの管理を徹底」などの指示があります。
- 果樹(柿・栗・梅・イチジクなど)を庭で育てている場合、熟した実を放置せず早めに収穫・回収する。クマが果実を求めて人里に下りてくる可能性があります。
- 家の周囲の藪・低木・雑草・草刈りの未実施エリア・人の通りが少ない場所など、クマの“隠れ場”となりうる場所を整理・見通しを良くする。
- 夜・早朝・薄暮時間帯の屋外作業や散歩・通勤時には、複数人で行動する、鈴やラジオなど音を出す、犬の散歩時など“人の気配を出す”工夫をする。
- 屋外照明・防犯カメラの設置により、クマが住宅近くに出た際に“気づく”環境を整える。
・山林・農地・通行路近くでの対応
- 森林・林道・農道・田んぼ・山の斜面など、クマが出やすい移動ルート近くを通る際は、単独行動を避ける・鈴・ラジオを携行して“人の存在を知らせる”ことが推奨されています。南三陸町案内でも同様の行動が推奨されています。
- 朝・夕方・薄暮時(クマが活動しやすい時間帯)での山林・林道・農作業・通勤・通学路を避ける、または警戒を強める。
- 足跡・フン・食痕(木の実の殻・爪痕など)を見かけたら、その近辺を避ける。
- 農地・果樹園を運営している方は、防獣柵・電気柵・防獣ネットの導入検討とともに、誘引源(果実・野菜・残飯)を除去する施策を実施する。
・自治体・地域連携
- 南三陸町農林水産課(電話 0226-46-1378)および南三陸警察署(電話 0226-46-3131)への目撃・痕跡の通報窓口を把握しておくこと。
- 町内の見回り・自治会・地区掲示板・安全安心メールなどで「クマ出没情報」「注意喚起」を共有するネットワークを整備しておく。
- 農地・果樹園・山林近隣の住民が合同で「ごみ・果実管理強化」「藪刈り・草刈り」「侵入防止柵設置支援」などを協力して行うと効果的です。
6) まとめ
- 南三陸町には、実際にツキノワグマの出没・目撃が確認されており、住宅地・道路付近・農地・山林への接近の可能性があります。
- 出没が増えやすいとされる時期は、春~初夏/夏~晩夏/秋(冬眠前) であり、特に令和7年度は「4月から12月」にかけて出没が平年より多い見込みとされています。
- 危険性は無視できず、「遭遇したら重大な被害につながる可能性がある」という認識で、住民・地域として備えるべきです。
- 駆除は最初の手段ではなく、まずは「予防・誘引源除去・遭遇回避・自治体との連携」が優先されるべきです。状況が深刻化した場合にのみ、自治体・県による駆除・捕獲対応が取られます。
- 住民・地域としてできる具体的な対策を日常的に実践することで、クマとのトラブル・遭遇リスクを大きく減らせます。


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