暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)と気温は、どちらも「暑さ」を示す指標ですが、意味・目的・測定方法がまったく異なります。以下に詳しく解説します。
🔶 1. 暑さ指数(WBGT)とは?
**WBGT(湿球黒球温度)**とは、
「人間の熱ストレス(=熱中症のなりやすさ)」を評価するための指標で、
気温・湿度・日射・風の影響などを総合的に取り入れて算出されます。
✅ WBGTは「熱中症の危険度」を示すための実用的な指標です。
🔷 2. WBGTと気温の違い【一覧比較】
指標 | WBGT(暑さ指数) | 気温(気象庁で見る気温) |
---|---|---|
測定目的 | 熱中症リスクの評価 | 単なる空気の温度 |
測定要素 | 気温+湿度+日射+風 | 空気中の温度のみ |
測定環境 | 人の体感に近い条件(風通しの悪い場所など) | 風通しの良い百葉箱内 |
表示単位 | ℃(ただし擬似的) | ℃(実際の温度) |
活用場所 | 学校・スポーツ・建設現場・イベント中止判断 | 気象情報・天気予報など |
🔶 3. WBGTの計算要素(簡略)
WBGTは下記のように3つの温度を用いて計算されます:
- ☁️ 湿球温度(湿度の影響)
- ☀️ 黒球温度(日射の影響)
- 🌬️ 乾球温度(気温)
【屋外の場合の式】
WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 気温
→ 湿度が高いとWBGTが上昇し、日差しや風の有無も影響します。
🔷 4. なぜWBGTの方が重要?
🌡️ 気温だけでは見落とす「隠れたリスク」
例:気温が28℃でも、湿度が80%を超えていたらWBGTは30℃近くになり、「厳重警戒」レベルになります。
- 人間の汗は蒸発しなければ冷却効果がないため、湿度が高い方が危険。
- 気温が低くても、直射日光・無風だと体温がどんどん上がる。
🔶 5. WBGTの危険レベル(目安)
WBGT値 | 危険レベル | 推奨される行動 |
---|---|---|
31℃以上 | 危険 | 運動中止、屋内退避 |
28〜31℃ | 厳重警戒 | 激しい運動は原則中止 |
25〜28℃ | 警戒 | 激しい運動は控える |
21〜25℃ | 注意 | 長時間の活動は注意 |
~21℃ | 安全 | 一般的には問題なし |
🔷 6. よくある誤解
❌「今日は気温30℃だから大丈夫だろう」
→ 実はWBGTが33℃を超えていて、屋外スポーツや作業は危険なことも。
❌「WBGTって気温の言い換えでしょ?」
→ 気温が高くても湿度や風があればWBGTは下がるし、逆もある。
🔶 7. まとめ
項目 | 気温 | WBGT |
---|---|---|
役割 | 空気の温度を測る | 熱中症リスクを測る |
内容 | 気温のみ | 気温+湿度+日射+風 |
判断力 | 低い(危険の見逃し) | 高い(熱中症対策に最適) |
🔸 気温が高くなくてもWBGTが高い=危険!
🔸 暑さの体感と命の危険性はWBGTを見て判断しましょう。
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