只見町(福島県南会津郡)におけるクマ(主に ツキノワグマ)事情
只見町は奥会津の深い山林・沢・畑・河川沿いの中山間地域を含んでおり、クマとの関わりを無視できない地域です。以下、「クマはいるのか」「多い時期」「危険性」「駆除の是非」「対策」を詳しく整理します。
1) クマはいるのか?
只見町にクマの目撃・出没の情報があります。
- 2025年7月10日、只見町大字布沢字白石畑地内で体長約1 mのクマ1頭の目撃が報じられています。
- 同じく2025年7月4日、只見町二軒在家字畑田で体長約70 cmの幼獣クマ1頭の目撃が確認されています。
- 福島県が公開している「ツキノワグマ目撃情報マップ」には只見町域も記録されており、県としても只見町を含む地域でクマ出没が「例年多数発生している地域」としています。
→ これにより、只見町は「クマが存在・活動している地域」であると言えます。
2) 多い時期(出没が活発化する時期)
只見町特有のデータが豊富ではありませんが、県全体の傾向・只見町の目撃時期から注意すべき時期を整理できます。
- 春(冬眠明け): 冬眠から覚めて餌を求め活動を開始する時期。
- 夏〜初秋(6〜9月頃): 只見町でも7月に目撃例が複数出ており、この時期に人里・畑・山林近くでの出没が見られています。
- 晩秋(9〜12月): 冬眠前に食料を蓄えようとして人里近くまで出るクマが増えるという県全体の傾向あり。只見でも「小学校近くやゴルフ場でも出没」の報道が過去にあります。
- 時間帯・環境: 早朝・夕方・薄暮・雨・霧など視界が悪い時、山林・藪・河川敷・林縁部では出没が多いとされています。
→ 結論として、只見町では 特に「夏~初秋(7月あたり)」「晩秋」「早朝・夕方・薄暗い時間帯」 がクマの出没・遭遇のリスクが高い時期と考えられます。
3) 危険なのか?(人に害をなす可能性)
はい、一定の危険性がありますが、必ず被害が出るわけではありません。状況によって大きく変わります。
- 只見町では目撃があり、しかも畑・人里近く・河川敷付近など、クマが人の活動圏に近づいている可能性がある場所での出没です(7月4日・7月10日例)。
- クマが人を襲う可能性が高い状況としては以下の例があります:
- 子グマを連れた母グマが近くにいる時
- 突然人と出会って驚いた時
- 人里近く(畑・果樹・ごみ・ペットフードなど餌がある)にクマが来ている時
- 早朝・夕方・視界の悪い藪・山林で単独行動している時
県も「朝・夕方や薄暗い時間帯には特に注意を」と明記しています。
- 過去の情報には、只見町でクマに襲われたという被害事例も紹介されています。例:2015年6月20日、林道で男性2人がクマに遭遇・負傷したという記事あり
したがって、只見町でも「クマによる遭遇・被害の可能性が現実にある」と理解して、予防を講じる必要があります。
4) 駆除すべきなのか?(行政・倫理的観点)
駆除(クマの捕獲・処分)については、単純に「はい、すぐ駆除すべき」という結論にはなりません。以下のような観点が重要です。
- 駆除は、自治体・都道府県が「人里への定着・頻繁な出没・実際の被害発生」などを確認した上で判断・実施されるものです。県の目撃情報ページには「まずは出没防止・誘引源除去・環境整備が優先」と記されています。 (福島県ホームページ)
- 只見町においても、駆除の公的発表・大規模な駆除実施という情報は私の調査時点では確認できていません。
- 個人で無断に罠を仕掛けたりクマを駆除することは、法律・安全・倫理の観点で大きなリスクを伴います。自治体・警察・猟友会などと連携することが必要です。
- 結論として、只見町でも 「駆除=最初の手段ではなく、最後の手段」 として考え、「クマが人里に近づかないようにする」「餌になるものを出さない」「出没情報を共有する」という対策をまず優先する姿勢が妥当です。
5) 只見町でできる具体的な対策
只見町特有の環境(深い山林、河川敷、畑・果樹・林縁・観光散策路など)を踏まえて、住民・農家・観光客・散策者それぞれが実践すべき対策を整理します。
山林・散策・観光・山菜採り・河川敷作業者向け
- 複数人で行動:単独で深山・藪・薄暗い時間・早朝・夕方・河川敷などに入るのはリスクが高まります。
- クマ鈴・ラジオ・音の出るものを携帯し、「人が来ている」ことをクマに知らせる。県では「音を出して人の存在を示す」ことを推奨しています。
- 朝・夕・雨・霧・薄暗い時間帯・視界が悪い山林・藪・林縁部・河川敷沿いには特に注意を。只見町で目撃例が昼・夕方と多いです。
- 山道・藪・旧道・河川敷・果樹林近くなどはクマの通り道になりやすいため、看板・目撃情報・通行状況を確認してから入る。
- 出かける前に県の「目撃情報マップ」や町の注意喚起を確認する。只見町でも「小学校近く・ゴルフ場・林道で出没」の報道あり。
農地・果樹・家庭・地域住民向け
- 果樹(ナシ・リンゴ・柿など)・畑・収穫後放置果実はクマを人里に誘引する要因となるので、収穫後の片付け・防護を検討。
- 生ごみ・ペットフード・屋外に放置された野菜・屋外での餌となるものを、クマの餌として屋外にそのまま置かない。
- 藪刈り・草刈り・林縁部の整備を行い、クマが人家・畑の近くに潜みやすい“見通しが悪い場所”を減らす。
- 地域で目撃・出没情報があれば、町役場・警察・農林課へ通報・共有し、住民の注意喚起を図る。
- 夜間・早朝の屋外作業(畑・収穫・雑木林・果樹回収など)は可能なら避けるか、鈴・複数人・携帯電話・照明・逃げ道確保などを徹底。
遭遇してしまった場合の対応
- クマを見かけたら、慌てて走って逃げず、背を向けず、ゆっくり距離をとって後ずさる。大声や石を投げるなど刺激行為は避ける。県ではそのように指導しています。
- 子グマを見たら、母グマが近くにいる可能性が非常に高いため、速やかにその場を離れる。
- 夜間・視界の悪い時間帯・藪・林縁・河川敷・畑近くでクマと遭遇したら、即安全な場所(建物・車)に避難できるルートを確保しておく。
- 被害が出たら速やかに通報・医療機関受診・地域対応(目撃報告・警察連絡)を行う。
6) 注意すべき点・まとめ
- 只見町では「クマが生息し、出没・目撃されている地域」です。安心して“クマはいない”とは言えません。
- 特に 夏〜初秋(7月あたり)/晩秋(9〜12月)、および 朝・夕方・薄暗い時間帯・林縁・河川敷・畑近く は出没リスクが高まる時期・場所です。
- 危険性は「どう人が行動しているか」「どう環境を整えているか」によって大きく変わるため、住民・作業者・観光客ともに備え・対策が鍵となります。
- 駆除は簡単な解決策ではなく、まずは「クマが人里近くに来にくい環境作り」「餌になりうるものを出さない」「目撃・出没情報を共有する」という予防が第一です。
- 地域・個人がしっかりと対策を講じることで、クマとのトラブル・被害のリスクをかなり低くできます。


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