手術室が「異常に寒い」「凍えるほど冷える」のは偶然ではありません。医療安全・感染対策・設備仕様が重なった、意図的な環境です。ただし、対策や配慮を誤ると低体温・合併症・スタッフのミスにつながることもあります。
ここでは原因 → 現実的な対策 → その場での対処法 → 実際に起きやすい失敗談まで、患者側・医療者側の両面から詳しく解説します。
手術室が寒く設定されている主な原因
① 感染リスクを下げるための低温・強換気
手術室は
・空気中の細菌増殖抑制
・浮遊微粒子の管理
・清浄度維持
のため、低温+大量換気が基本。
➡ 一般的に**18〜22℃**に設定されることが多く、体感はさらに低い。
② 無影灯・医療機器の発熱対策
手術では
・無影灯
・内視鏡装置
・電気メス
などが大量の熱を発します。
➡ 室温を低くしないと、機器トラブルや術者の集中力低下につながる。
③ 医師・看護師は防護衣で暑くなる
術者側は
・ガウン
・手袋二重
・マスク・フェイスシールド
を着用。
➡ 患者ではなく医療者基準で空調が決まることが多い。
④ 患者は体温を失いやすい状態
患者側は
・麻酔で体温調節ができない
・皮膚露出が多い
・点滴や洗浄液が冷たい
➡ 何もしないと体温が下がる前提の環境。
⑤ 手術台・室内設備が金属中心
・ステンレス手術台
・器械台
・冷たい床
➡ 接触冷却で体温が奪われやすい。
手術室が寒いことによるリスク
- 低体温(シバリング)
- 出血量増加
- 創傷治癒遅延
- 術後感染リスク上昇
- 術後の強い悪寒・不快感
➡ 「寒い=不快」だけでなく、医学的リスクがある。
手術室で行われている基本的な対策(医療側)
① 体温管理(周術期体温管理)
- 温風加温装置(ブランケット型)
- 加温マット
- 加温輸液・加温洗浄液
➡ 現代手術では標準的対策。
② 露出は最小限に限定
- 手術部位以外は覆う
- 頭部・四肢を保温
③ 手術前から体温を下げない
- 病棟・前室での保温
- 冷えたまま手術室に入れない
患者側ができる現実的な対処法(事前・当日)
①「寒がり」を必ず事前申告する
- 麻酔科医
- 手術室看護師
に遠慮なく伝える。
➡ 体温管理レベルが変わることがある。
② 手術前の冷えを防ぐ
- 病室では靴下・羽織を使用
- 不要に薄着で待たない
- 移動時もブランケットを要求
③ 術後の悪寒は我慢しない
- シバリング(震え)はすぐ申告
- 保温・薬剤対応が可能
➡ 我慢は何のメリットもない。
医療スタッフ側の実践的対策
- 患者ごとの体温モニタリング
- 高齢者・低体重者への重点保温
- 長時間手術ほど加温を強化
- 室温調整のタイミング管理
よくある失敗談(実際に起きやすい)
❌「手術室は寒いのが普通だから」で放置
→ 術後に強いシバリング
→ 回復室で苦痛が長引く
❌ 高齢患者の保温が不十分
→ 低体温に気づくのが遅れ
→ 合併症リスク増大
❌ 患者が寒さを我慢して言わない
→ 医療側は気づけない
→ 「言えば対応できた」ケースが多い
❌ 点滴・洗浄液が冷たいまま
→ 体温が想定以上に低下
→ 術後回復が遅れる
特に注意が必要な人
- 高齢者
- 痩せ型
- 長時間手術
- 全身麻酔
- 小児
➡ 体温低下が急激。
まとめ(重要ポイント)
- 手術室が寒いのは医療安全上の必然
- ただし患者側は低体温リスクが高い
- 寒さは我慢せず、必ず申告する
- 体温管理は「治療の一部」
手術室の寒さは「仕方ないもの」ですが、対策できる寒さでもあります。
患者も医療者も、「寒い=当然」で済ませないことが、安全で回復の早い手術につながります。


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