「今すぐできる応急処置」→「原因別の対処」→「壊れた後に絶対やるべきこと」→「故障を防ぐ予防策」**の流れで、除雪機トラブルに強い内容をまとめます。
(家庭用ロータリー式/ハイブリッド式でも共通になるように書いています。)
◆ まず最優先:安全確保
除雪機は高速回転するオーガ(刃)と投雪インペラーがあり、停止していても内部に残留トルクがかかっていることがあります。
以下は必ず守る:
- エンジンを完全停止 → キーを抜く(電動は電源オフ+バッテリー外す)
- 手をオーガ内部に絶対入れない
- スコップや棒で作業(素手禁止)
◆ 1. 今すぐできる「最初のチェック 5 項目」
除雪機が急に動かなくなった時の基本の確認です。
① 燃料切れ・燃料劣化
- 1年以上前のガソリンは劣化し、始動不能の大半の原因になります。
- タンク内を空にして新しいガソリンに交換すると復旧することがあります。
② チョーク・スロットルの位置
- 寒冷時はチョーク ON で始動 → 暖まったら徐々に戻す。
- スロットルが低すぎると回転不足で投雪できない。
③ セーフティスイッチ・デッドマンスイッチ
- ハンドルの安全クラッチが離れていると駆動しません。
- ケーブルが凍結・張りすぎ・緩みで機能しないことも。
④ ベルト(オーガ/走行)
- 切れ・外れ・摩耗は故障の超定番原因。
- 外れているだけなら掛け直せば復旧。
⑤ 詰まり(雪詰まり・氷詰まり)
- 特に湿った雪・重い雪で詰まりやすい。
- 棒で詰まりを取り除くと回転が戻ることがある。
◆ 2. 状況別の「原因と対処法」
以下ではどんな壊れ方をしたのかごとに、考えられる原因と対処を詳しく示します。
■ A. エンジンがかからない(最も多いトラブル)
● 原因
- ガソリンの劣化
- プラグの汚れ・湿り
- キャブレター詰まり
- チョークの使い方が逆
- バッテリー上がり(セル始動のみ)
● 対処
- 古いガソリンを抜いて入れ替える(これだけで直ることが多い)
- プラグを外して乾拭き → 隙間(ギャップ)を確認
- 冬の長期放置後はキャブクリーナーを吹き込み清掃
- セルが回らない場合はバッテリー充電・交換
■ B. エンジンはかかるが「前に進まない」
● 原因
- 走行ベルト切れ/外れ
- デフ解除レバーの誤操作
- 走行クラッチワイヤーの伸び
- 摩擦ディスク(フリクションホイール)の摩耗
● 対処
- 走行ベルトを確認 → 交換または掛け直し
- デフの切替が「走行側」になっているか確認
- ワイヤーのテンション調整
- 摩擦ディスクが磨耗している場合は交換(部品代3,000〜5,000円ほど)
■ C. オーガ(刃)が回らない・雪を飛ばせない
● 原因
- オーガベルト切れ
- せん断ボルト(安全ボルト)破断
- 雪詰まり
- オーガ軸の固着・ベアリング損傷
● 対処
- まず雪詰まりを除去
- ベルトの状態を確認 → 交換または掛け直し
- せん断ボルトが折れている場合は純正ボルトを交換
- ※普通のネジを代用品にすると危険(ギア破損の原因)
- 異音が続く場合はオーガハウジング内のベアリング点検(整備工場推奨)
■ D. エンジン回転は上がるのに雪が飛ばない
● 原因
- インペラ詰まり
- ベルトの滑り
- 湿った重い雪の固着
- エンジン出力低下(プラグ・キャブ不調)
● 対処
- インペラ内部の雪塊を棒で除去
- ベルトを新品に交換(摩耗ベルトは滑りやすい)
- 吸気系清掃・プラグ点検
- 投雪角度が低いと飛ばないので上げて試す
■ E. 操作レバー・ワイヤーが動かない(凍結する)
● 原因
- 夜間の雪解け水がワイヤー内で凍結
- ワイヤーの劣化
- グリス不足
● 対処
- 本体を暖かい場所に置きワイヤーを解凍
- スプレー式のシリコン・グリスをワイヤー内に注入
- それでも動かない場合はワイヤー交換
■ F. 異音がする(ガリガリ・ギー・金属音)
● 原因
- 巻き込み(石・氷塊)
- オーガ軸のベアリング摩耗
- ギアケースの潤滑不足
- ボルト緩み
● 対処
- 巻き込み物を棒で除去
- ベアリング・ギアケースを点検
- ボルトを締め付け(特にオーガ周辺)
- 継続して異音が出る場合は使用を中止 → 整備へ
◆ 3. 「完全に壊れた」と判断したらやるべきこと
① メーカー機種・年式を確認
- 本体の銘板(プレート)に記載あり
- HONDA / ヤマハ / 和同などは部品供給が安定している
② 症状・経緯をメモ
- “〇〇のあと急に止まった”
- “異音がしてから回らなくなった”
→ 修理店が原因を特定しやすくなる。
③ 無理に動かさない
- ベルト切れ → 無理運転するとギアまで壊れる
- せん断ボルト破断 → 代用品のボルトは絶対NG
④ 修理依頼のタイミング
雪シーズンは修理業者が混むので、なるべく早めに連絡。
◆ 4. 故障を防ぐための予防策(超重要)
これをやるだけで故障率が大きく下がります。
● 毎回の使用後
- 雪を溶かす → 完全に乾かしてから収納
- ベルト周りの雪・氷を徹底除去
- 錆びやすい部分に軽くオイルスプレーを塗布
● シーズン中
- ガソリンはこまめに使い切り、新しいものを入れる
- ベルトの張りを月1で確認
- せん断ボルトの予備を必ず携帯
- ワイヤーへ防錆剤(薄め)
● シーズンオフ(春〜夏)
- キャブ内部のガソリンを抜く
- プラグ交換または清掃
- ベルト・ワイヤーの交換を「早期」に行う
- 直射日光を避け、湿気の少ない場所で保管
◆ 5. よくある質問
Q. せん断ボルトが頻繁に折れる
A. 異物(石・氷塊)を噛んで機体を守っている証拠なので正常。予備を常備。
※折れないほうが危険で、ギアが破壊される可能性があります。
Q. 湿った雪で毎回詰まる
- ベルト張りの弱さ
- エンジン回転不足
- 投雪角度が低い
が原因のことが多い。
走行速度を遅くして、少しずつ雪を取るのも効果的。
Q. バッテリー式/ハイブリッドはどう?
- メンテは楽だが寒冷地ではバッテリー性能低下が起きやすい。
- 充電は暖かい場所で行う。



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