「今まさに火が出ているときの緊急対応」から「火が消えた後の点検ポイント」「再発防止策」まで、除雪機火災に特化して非常に具体的にまとめます。
除雪機は“ガソリン+高負荷+雪による冷却不安定”という条件で使われるため、実は火災リスクが高い機械です。
◆【最優先】火が出た瞬間にすぐ行う行動(命を守る行動)
※とても重要です
1. 即座にエンジン停止
- キーを抜く、ストップスイッチを押す。
- 電動ハイブリッド式は主電源ごと切る。
2. 機体から離れる(2〜3m以上)
- ガソリンタンクに引火するリスクがある。
- 無理に触らない。転倒させようとしない。
3. 初期消火が可能なら行う(安全が確保できるときのみ)
おすすめの順番:
- 消火器(粉末ABC)
- 無ければ 雪を大量にかけて窒息消火
→ 雪は意外と有効。酸素を遮断できる。 - 水は電装部を傷めるが「燃え続けるよりは優先」してOK。
4. 燃え続ける場合は無理をせず退避 → 119通報
- ガソリン火災は一気に広がる可能性あり。
- 建物の近くなら特に危険。すぐ通報。
◆ 火が消えた後に絶対やってはいけないこと
■ 1. すぐ再始動しようとする
→ 再度発火の危険。電装のショートや燃料漏れの可能性がある。
■ 2. 焦げたまま使用を続ける
→ ベルトが溶けたり、燃料ホースが弱って再発火する。
■ 3. 燃料が漏れていないか確認せずに触る
→ ガソリン蒸気は非常に可燃性。
◆ 火が出る原因と「どこを見ればよいか」
(原因特定のための具体ポイント)
■ 1. ベルト焼け(最も多い)
● 原因
- ベルトが摩耗して滑る
- 詰まりで無理負荷 → 摩擦熱で発火
- ベルトがオーガケースに当たって熱を持つ
● 見るポイント
- ベルトが焦げて黒くなっていないか
- ベルトカバー内が焦げ臭い
- カス(黒い粉)が大量に出ている
● 対処
- ベルト交換必須
- プーリーのガタ・ワイヤー調整も点検
■ 2. 燃料ホースの劣化(滲み・漏れ)
● 原因
- ゴム劣化で微細な穴
- 振動でホース抜け
- ホースクランプ緩み
- 冷えて硬くなり割れ
● 見るポイント
- ホースに湿り気・ガソリン臭
- タンク下にシミ
- 始動すると匂いが強くなる
● 対処
- ホース交換(必須)
- クランプの締め直し
- タンクキャップのパッキンも確認
■ 3. 電装ショート(ハイブリッド式や電動機種)
● 原因
- 雪解け水の侵入
- コネクタ部の腐食
- 配線の断線・擦れ
● 見るポイント
- 焦げた配線・溶けたカプラー
- 付近のヒューズ切れ
- バッテリー端子の腐食
● 対処
- 焦げた配線を必ず交換
- ヒューズを新しいものに
- バッテリー端子清掃
■ 4. 異物(ビニール・布)が巻きついて発熱
● 原因
- 畑のネット、ロープ、ビニール袋などがオーガに巻きつく
- 摩擦熱で発煙 → 発火
● 見るポイント
- オーガ軸に異物が絡んでいないか
- 金属が異常に熱くなっていないか
● 対処
- 異物を除去
- 軸の曲がり・ベアリング損傷を点検
■ 5. マフラー付近への雪詰まり → 急乾燥 → 高熱 → 発火
● 原因
- 湿った雪がマフラー周りで固まる
- 作業中に急に雪が取れて高熱露出
- 油汚れが燃える
● 見るポイント
- マフラーに焦げ跡
- オイルや泥が付着していないか
● 対処
- マフラー清掃
- 付近の油汚れを落とす
◆ 火が消えた後の「点検チェックリスト」
自分で確認する場合は、以下の順番が確実。
- 燃料漏れが無いか(ホース・タンク・キャブ)
- ベルトカバーを外してベルトの焦げ・破断を確認
- ワイヤーの固着・異常張力をチェック
- 配線の焦げ跡を確認
- オーガハウジング内の異物確認
- オイル漏れやオイルに焦げ臭が無いか
- マフラー周りが焦げていないか
※ 少しでも焼損があれば使用停止。修理工場へ。
◆ 再発防止のための必須メンテナンス
● 毎回の作業後
- ベルト周りの雪・氷を完全に除去
- マフラー周りの雪もきれいにする
- ゴミ・油汚れを落とす
● シーズン中
- ベルトの張り調整
- 燃料ホースのひび割れ確認
- カバー内に雪が入り込んでいないか
- 配線への防錆剤散布(必要なら)
● シーズンオフ
- ホース類交換(劣化しやすい)
- ベルト・プラグ・ワイヤーを総点検
- 全体の油汚れを洗浄
◆ こんな時は必ず修理業者へ(危険度が高い)
- ベルトが完全に溶けて黒い粉が大量に出る
- 燃料ホースが焼けて変形
- 配線が溶けている
- 動かすと焦げ臭い
- 火災がオーガハウジング内で起きた
- 火が出た原因が分からない
素人修理で再発火 → 延焼という事故が実際にあります。


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