【今さら聞けない】一生懸命と一所懸命はどちらが正しいの?違いは?【誤用】

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「一生懸命(いっしょうけんめい)」と「一所懸命(いっしょけんめい)」は、どちらも現在では似た意味で使われていますが、本来の語源・意味の違いがあります。以下で詳しく解説します。




① 「一所懸命(いっしょけんめい)」の由来と本来の意味

● 語源

鎌倉時代の武士社会に由来します。

当時の武士は主君から「所領(領地)」を与えられており、その土地を守ることが生活の基盤でした。

つまり、「一所(=ひとつの土地)」を「懸命(=命をかけて)」守るという意味でした。
→ 「一所懸命」とは「自分の領地を命がけで守ること」を指します。


● 意味の変化

時代が下るにつれて、「土地を守る」という具体的な意味から離れ、
「自分の立場や仕事を命がけで守る・取り組む」という意味に転じました。




② 「一生懸命(いっしょうけんめい)」の成立と意味

● 成立の経緯

江戸時代以降、「一所懸命」の意味が変化する中で、
「一所(ひとつの場所)」よりも「一生(ひとつの人生)」にかける方が自然だと感じた人々が、
言い間違いや言い換えから「一生懸命」という形を作りました。

つまり、「一所懸命の派生語」です。


● 現在の意味

現代では、「命をかけて努力する・全力を尽くす」という意味で使われています。

学校教育・ビジネス文書・ニュースなどでは、ほとんどの場合「一生懸命」が使われます。





③ 現在の使い分け

表記 読み 本来の意味 現代の使われ方 ニュアンス

一所懸命 いっしょけんめい 一つの所(領地)を命がけで守る 歴史的・文学的な表現、または語源を意識した言い方 やや古風・重みがある
一生懸命 いっしょうけんめい 一生を懸けて努力する 一般的な日常語・標準語 純粋に努力・全力の意味





④ 例文で比較

✅ 一所懸命

「武士たちは、一所懸命に領地を守った。」

「父は一所懸命に家族を支えてきた。」
→ 土地・立場・生活基盤を守るような、地に足のついた努力のイメージ。


✅ 一生懸命

「彼は一生懸命勉強して合格した。」

「一生懸命働いて、ようやく夢を叶えた。」
→ 純粋に努力・頑張りを表す一般的な表現。






⑤ 結論:どちらが「正しい」のか

もともと正しいのは「一所懸命」(歴史的な本来の形)。

しかし、**現代の正しい・一般的な表記は「一生懸命」**です。

辞書(広辞苑・大辞林など)でも「一生懸命」を主項として扱い、「一所懸命」はその語源として説明されます。





✅ まとめ

観点 一所懸命 一生懸命

語源 鎌倉時代の武士の所領防衛 「一所懸命」から派生
意味 自分の立場・生活を命がけで守る 全力で努力する
現代の使用頻度 少ない(古風・文学的) 圧倒的に多い(日常語)
現代の「正しい」使い方 特別な文脈で使う 通常はこちらが正しい

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