モバイルバッテリーを**「充電しながら給電する」ことは、一般的に「パススルー充電(Pass-through charging)」と呼ばれます。見た目には便利な機能ですが、実は安全性・バッテリー寿命・発熱リスクの面で危険やデメリットが多い**使い方です。
以下で詳しく解説します。
1. そもそも「充電しながら給電」とは
- モバイルバッテリー本体をコンセントやUSBアダプタにつなぎ充電中に、同時にスマホやタブレットを給電する行為。
- バッテリーが「充電されつつ放電もしている」状態。
- 一部の製品は仕様として対応しているが、多くの製品は想定していない。
2. 危険性・問題点
(1) 発熱が増える
- 充電と放電を同時に行うため、回路が常にフル稼働状態になります。
- 内部でエネルギー変換が重複し、通常より大きな熱を発生。
- 特に布団の上や高温環境では、熱暴走 → 発火のリスクが増大。
(2) バッテリー寿命が縮む
- リチウムイオン電池は「充放電サイクル」で劣化します。
- パススルー充電では、充電しながら同時に放電しているため、常に無駄なサイクルが発生。
- これにより劣化スピードが加速し、膨張・発熱・容量低下を早めます。
(3) 内部回路への負担
- 保護回路(過充電・過放電防止)が複雑に動作するため、
誤作動 → 過熱や故障につながる場合があります。 - 安価なノーブランド品では、この制御が不十分なことが多く、事故報告の原因に。
(4) メーカー非推奨(保証対象外のことが多い)
- 多くのモバイルバッテリーの取扱説明書には、
**「充電しながらの給電はしないでください」**と明記されています。 - 万一事故が起きても保証や補償の対象外になるリスクがあります。
3. 「パススルー対応」を謳う製品について
- 中には「パススルー対応」と明記された製品があります。
- これらは専用回路を設け、発熱や劣化を抑える仕組みを備えている。
- ただし、対応品でも「通常よりは負担が大きい」ため、常用は推奨されません。
- 長時間使うとやはり寿命は縮みやすいです。
4. 実際に想定されるリスク例
- 夜、モバイルバッテリーを充電しつつスマホも接続 → 布団の中で発熱 → 火災リスク。
- 車内でナビ用にパススルー充電 → 直射日光+発熱で内部が膨張。
- 安物のパススルー非対応モバブで使用 → 内部回路がショートし発煙。
5. 安全な代替方法
- 使い分けるのが基本
- モバイルバッテリーを「充電する時間」と「給電する時間」を分ける。
- 家では壁コンセントから直接スマホを充電する。
- モバブは外出や緊急時のみに使用。
- どうしても必要なとき(災害・旅行など)
- 「パススルー対応」と明記された製品を使う
- 通気性の良い不燃面に置き、長時間の放置は避ける
- 充電が終わったらすぐケーブルを外す
6. まとめ
- 充電しながら給電(パススルー充電)は危険性が高い行為。
- 発熱増大
- バッテリー劣化加速
- 保護回路への過負荷
- メーカー保証対象外になることも多い
- 「パススルー対応」とある製品でも、常用は推奨されない。
- 安全のためには
- 家では壁コンセント直充電
- モバイルバッテリーは外出・緊急時に使用
- 充電と給電の同時使用は極力避ける
が基本です。
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