寝ている間にモバイルバッテリー(以下「モバブ」)を使ったり充電したりしていて「燃える」リスクは無視できません。ここではなぜ危ないのか(どう燃えるか)/寝ている間に燃えたら何が危険か/発火の兆候/発火時の安全な行動(即時対応)/日常の予防策を分かりやすくまとめます。寝ているときは判断や対応が遅れがちなので、特に予防が大切です。
1) なぜモバブが燃えるのか(ざっくりメカニズム)
- 多くのモバブはリチウムイオン電池を使っています。内部で短絡(ショート)やセルの損傷、過充電、過熱が起きると「サーマルランアウェイ(熱暴走)」が起こり、セルが急激に発熱 → 発火・爆裂・有毒ガス放出につながることがあります。
- 安価・非正規・破損・水濡れ・高温下での使用、または「通電しながら充放電(パススルー)」する製品はリスクが高くなりがちです。
2) 寝ている間に燃えると何が危険か(被害の深刻さ)
- 煙・有毒ガス:燃焼でフッ化水素など有害なガスが発生する可能性があるため、吸い込むと命に関わる。
- 素早い火の拡大:布団・枕・カーテンなど可燃物に燃え移り、短時間で大きな火災に発展する。
- 高温・爆発:セルが破裂して破片や火炎を飛ばすことがある。近くにいると火傷や窒息の危険。
- 気づきにくい:寝ていると発火の初期兆候(異臭・発熱音)に気づかず、被害が拡大しやすい。
3) 発火の前に見られる早期の兆候(寝る前・就寝中にチェックできるもの)
- 異臭(焦げたにおい)、不快な化学臭
- 本体(モバブ・スマホ・充電器)が異常に熱い(触れないほど)
- 膨らみ(電池の膨張)や変形、変色、液漏れ
- 発煙(白煙・黒煙)や小さな火花、ビープ音や異音
→ これらがあれば絶対に寝かせず即対応(下の「発火・異常時の行動」参照)。
4) 寝ている最中にモバブが発火した場合:安全に取るべき行動(優先順位)
最優先は「自分と同居者の安全(避難)」。財産は二次的。
- すぐに避難
- 火・煙が出たらためらわずに寝室から全員を安全な屋外へ避難。
- 煙は上に溜まるので、低い姿勢(床スレスレ)で移動する。
- 119へ通報(日本)
- 火災が疑われる場合は即通報。状況(燃えているか、煙の有無、住所)を伝える。
- 消火は「安全にできる場合のみ」
- 小さな発火で安全に取り扱える・消火器が近くにあり使い方に自信がある場合:**電気火災対応の消火器(CO₂またはABC粉末)**を使う。
- 火が大きい・爆裂の危険がある場合や煙が多い場合は消火を試みずすぐ避難。
- 電源が取れるなら電源を切る(可能で安全なら)
- 壁のコンセントからプラグを抜くなどで通電を止められればベター。ただし触れて感電や火傷の危険があるならやらない。
- 窓を開けて換気は慎重に
- 換気で一時的に煙を逃がせるが、酸素が増えると燃焼が激しくなる恐れもあるため、消防到着前の大きな操作はおすすめしません。
- 直後の注意
- 有毒ガスを吸い込んだ疑いがある・気分が悪い・咳が止まらない等あれば救急受診。
- 家屋が煙で汚染されたら、消防・専門業者の現地点検を受ける。
重要:燃えているリチウムイオン電池を素手でつかんだり水をかけたりするのは危険な場合があります(感電や反応の拡大)。消火しようと無理をしないでください。
5) 「小さく煙が出ている」などの初期対応(寝室で気づいた場合)
- できれば窓から外へ金属製トレイや金属バケツなど不燃の上に移す(素手で持たない、厚手の手袋やトングで)。
- 移せない・熱くて手が出せない場合は速やかに避難→119。
- 小さな煙だけで近くに小型消火器(ABC粉末・CO₂)があり、かつ安全に扱えるなら消火を検討。
- ※水をかけるかどうかは状況と器具次第でリスクがあるため、一般には「まず避難・通報」を推奨します。
6) 寝ている間の発火を防ぐ:具体的な予防策(必ず守る)
- 充電/給電を寝室の布団・枕の上では絶対に行わない。
- 理想:充電・使用中はタイル、金属、石(不燃面)など熱が逃げやすい床やテーブルで。
- 就寝中は充電・給電を止める(可能なら夜間はモバブを使わない/抜く)。
- 安価すぎる無名メーカーは避ける。信頼できるメーカー品を選ぶ。
- 製品のPSE(日本)・UL(米)・CE(欧)等の認証があるものを選ぶ。
- パススルー(モバブを充電しつつ別機器を充電)機能は避ける:一部機種で発熱・劣化を招きやすい。
- ケーブル・アダプタは純正または信頼できる規格品(過電流保護あり)を使う。
- モバブが膨らんでいる・変形・異臭・発熱があれば直ちに使用中止・廃棄(専門回収)する。
- 充電中は風通しの良い場所で、直射日光や暖房の近くを避ける。
- モバブを布団の下や衣類の中に入れて充電しない。
- 就寝時には煙感知器(寝室)を設置しておく(早期発見に有効)。
7) 製品選びのポイント(信頼できるモバブの条件)
- PSEマーク(日本での電気用品安全法適合)やUL/CE/FCCなどの安全規格マーク。
- 過充電・過放電・過電流・短絡・温度保護回路の明記。
- 大手ブランドや正規代理店で購入(模造品は避ける)。
- 取扱説明書の注意事項を守る(特に動作温度範囲)。
8) 廃棄・処分の注意
- 電池が劣化・膨張した製品は自治体の電子機器回収か家電量販店の回収窓口で適正に処理する。
- 普通ゴミに出すのは危険(発火・環境問題)。自治体ルールに従う。
9) 万一、燃焼で負傷した場合の応急処置(簡潔)
- 火傷:流水(ぬるま湯)で少なくとも10分以上冷却 → 清潔な布で覆う → 医療機関受診(広範囲・深い火傷はすぐ救急)。
- 煙吸引:新鮮な空気を吸わせる → 呼吸困難や意識障害がある場合は救急搬送。
- 異物・化学物質接触:目や皮膚に付着したら大量の水で洗い、医療機関へ。
10) 寝る前の簡単チェックリスト(3分でできる)
- モバブは充電中か? → 就寝前に終わらせる or コンセントから抜く。
- モバブ/スマホに膨らみ/異臭/過度な発熱はないか? → あれば使用中止。
- 充電中の場所は布団・枕・カーテンから離れているか? → 不燃面へ移す。
- ケーブルやアダプタに断線・焦げ跡はないか? → 問題あれば交換。
- 部屋に煙感知器はあるか? → 未設置なら設置を検討。
最後に(要点まとめ)
- 寝ている間にモバブが発火すると「気づかずに被害が拡大」「有毒ガスの吸入」「火災・爆発による大ケガ・死亡」につながる危険があるため、寝ている間は充電・使用を極力しない/安全な場所で行う/信頼できる製品を使うことが最も重要です。
- 異常を感じたら迷わず避難・119通報。自分を守ることを最優先にしてください。
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