ガソリン税について日本の制度を中心に、歴史的な成り立ち・仕組み・問題点まで詳しく解説します。
1. ガソリン税とは?
- ガソリン税とは、自動車用の燃料(ガソリン)に課される税金。
- 正式名称は 「揮発油税」 および 「地方揮発油税」。
- ガソリンを1リットル購入すると、一定額の税金が価格に上乗せされます。
つまり、ガソリンスタンドで表示される「ガソリンの価格」には、原油代や精製費用だけでなく、この税金が大きく含まれています。
2. ガソリン税の税率
- 揮発油税:1リットルあたり48.6円
- 地方揮発油税:1リットルあたり5.2円
➡ 合計で 1リットルあたり53.8円 が課税されています。
さらに、ガソリン税にも 消費税(10%)が上乗せされるため、「二重課税」だと批判されることもあります。
例:ガソリン1L=170円の場合
- 本体価格:約106円
- ガソリン税:53.8円
- 消費税:約15円(税にも課税される)
3. 成り立ち(歴史)
- 1937年(昭和12年):戦費調達を目的に「揮発油税」創設
- 1950年代以降:道路整備財源として位置づけられる
- 1970年代:自動車社会の拡大に伴い安定的な税収源に
- 2009年:道路特定財源制度が廃止され、現在は一般財源化
4. 税収の使い道
- かつては「道路特定財源」として道路建設・整備に使われていた
- 現在は 一般財源化され、医療・教育・社会保障など幅広く利用可能
- ただし、「車を利用する人から集めた税金は道路に使うべきだ」という議論が根強い
5. ガソリン税の特徴と問題点
メリット
- 自動車利用者から安定して税収を確保できる
- 道路整備や社会保障など公共サービスの財源になる
- 燃料価格に含まれる形で徴収されるため、徴税コストが低い
デメリット・問題点
- 二重課税問題
- ガソリン税にさらに消費税が課されるため、「税に税をかけている」と批判される
- 環境政策との矛盾
- 自動車利用を抑制するために課税する意味はあるが、地方では自家用車が生活必需品であり負担が重い
- 暫定税率の恒久化
- 本来「暫定」とされた上乗せ部分が長年維持されている
- 電気自動車(EV)時代の税収減問題
- ガソリン消費が減少すれば、税収も減り、道路整備財源が不足する懸念がある
6. 国際比較
- 日本のガソリン税(約54円/L)は、先進国の中でも比較的高い水準。
- 欧州はさらに高く、環境負担の観点からガソリン1Lあたり100円以上が税金の国もある。
- アメリカは比較的安く、連邦+州税を合わせても日本の半分程度のケースが多い。
まとめ
- ガソリン税は1Lあたり53.8円(+消費税)
- 元々は道路整備の財源、現在は一般財源化
- 「二重課税」「暫定税率」「地方の負担」など課題も多い
- EV普及で税収が減少する未来にどう対応するかが今後の大きな論点
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