マンションが夏に「外より暑い」「熱がこもる」と感じられるのは、建物の構造・階数・設備設計などが複雑に関係しています。特に**鉄筋コンクリート造(RC・SRC)**のマンションでは、熱がこもりやすく、冷めにくいという性質があります。
以下に、マンションが暑くなる原因と、それぞれに適した対策を詳しく解説します。
■ マンションが暑くなる主な原因
1. 鉄筋コンクリート構造による蓄熱性
特徴:
- マンションの多くは**RC造(鉄筋コンクリート)**で、壁・床・天井が分厚く熱をためやすい。
- 昼間に受けた熱を夜まで放出し続け、室温が下がりにくい。
- 最上階や南西向きの部屋は特に蓄熱が強い傾向。
2. 窓からの直射日光(特に西日)
特徴:
- 大きな窓(特に南・西向き)から太陽光と熱(赤外線)が侵入。
- ペアガラスでない単板ガラスでは、日射熱がダイレクトに伝わる。
3. 最上階の屋根直下による影響
特徴:
- 屋上が直接日射を受け、最上階の天井が熱くなる。
- 夜になってもコンクリートが熱を放出し、寝苦しい環境に。
4. 通気性・気密性の高さ
特徴:
- 高気密・高断熱な分、一度こもった熱が逃げにくい。
- 自然通風が取りにくい間取り(窓が片側のみ、内廊下型)も多い。
5. 周辺環境とヒートアイランド現象
特徴:
- アスファルト舗装、建物密集、排熱(エアコン室外機)などにより、周辺も温まりやすい。
- 特に都市部の中高層マンションで影響が顕著。
■ マンションの暑さ対策(段階別に解説)
【1】窓からの熱対策(最重要)
室内側の対策:
- 遮光・遮熱カーテンの設置(遮光1級+断熱効果付きが理想)
- 窓ガラスに断熱フィルムや遮熱シートを貼る
- 赤外線・紫外線をカットしながら採光も確保
- アルミブラインドやハニカム構造のシェードで空気の層を作る
室外側の対策:
- バルコニーにすだれや遮光ネットを吊るす
- グリーンカーテン(ゴーヤやアサガオ)で自然遮光
- 高層階でも設置できるベランダ用日よけパネルもおすすめ
【2】室内の空気循環・冷房効率の向上
● 扇風機・サーキュレーターの活用:
- エアコンと併用して冷気を部屋全体に行き渡らせる
- 上向き首振りで部屋の上部にたまった熱気を混ぜて冷却効率UP
● エアコンの設定:
- フィルター清掃をこまめに(ホコリで冷房効率が20〜30%落ちる)
- 室外機の周囲を日陰にする(直射日光対策)
- 室外機の前に物を置かない(排気の妨げを防ぐ)
【3】天井・床・壁の断熱(最上階に有効)
- 天井に断熱シートやアルミ保温材を貼る(軽量・賃貸OKな製品多数)
- 床にコルクマットやジョイントマットを敷くことで体感温度を下げる
- 壁にスタイロフォームや段ボール+布クロスで簡易断熱も可能
【4】通気と排熱の工夫
- 朝晩に窓を開けて換気(対角線上の窓がある場合はベスト)
- 窓が片側しかない場合は、扇風機で排気を強制的に作る
- 玄関側とバルコニー側の窓を同時に開けて空気の流れを作る
【5】生活面の工夫
- 調理を電子レンジ・電気圧力鍋に切り替える → 室温上昇を防ぐ
- 照明をLEDに変更 → 白熱球は発熱が多い
- 冷感寝具・接触冷感シーツ・ジェル枕を活用して就寝時の暑さ対策
【6】中長期的な選択肢(分譲・持ち家の場合)
- 二重窓(内窓)の設置:防音・断熱効果が抜群。DIYも可能。
- 天井裏・壁の断熱リフォーム(工事を伴うが効果大)
- 屋上に遮熱塗装や断熱材を追加(最上階住戸で強力)
■ マンションの階層別アドバイス
層 | 特有の暑さ | 対策のポイント |
---|---|---|
最上階 | 屋根からの蓄熱 | 天井断熱、遮熱マット、空気循環 |
中層階 | 気温上昇+熱のこもり | 通風・遮熱カーテン・換気 |
低層階 | 地面や駐車場からの照り返し | 窓外遮熱、風通し強化 |
■ まとめ
暑さの原因 | 具体的対策 |
---|---|
コンクリートの蓄熱 | 天井・壁の断熱シート、冷気循環 |
窓からの日射 | 遮熱カーテン、遮熱フィルム、すだれ |
気密性の高さ | サーキュレーターで通気補助、換気 |
最上階の熱 | 天井断熱、夜間冷却の工夫 |
室外機の効率低下 | 日除け、フィルター清掃、通気確保 |
✔ 賃貸マンションでもできる暑さ対策の特徴
- 工事不要で原状回復可能
- 設置が簡単な貼る・掛ける・敷くタイプの断熱用品が豊富
- 数千円程度の出費で室温が2〜3℃下がる効果が期待できる場合も
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