2025年の夏、韓国が「かなり暑い」状態となっている原因と、国・自治体・個人レベルでの対策について、気象学的・社会的な視点から詳しく解説します。
■ 韓国がかなり暑い原因
韓国の猛暑は地球規模の気候変動と韓国独自の地理的・気象的要因の組み合わせによるものです。
1. 太平洋高気圧の勢力拡大
- 夏の韓国は、太平洋高気圧の北上と停滞によって高温状態になりやすくなります。
- 2025年は、太平洋高気圧が例年よりも強く・広範囲に張り出しており、韓国全域がその影響下に長期間置かれています。
- この結果、晴天が続き、強い日射と高温が持続する状態に。
2. チベット高気圧と重なった“ダブル高気圧”現象
- 韓国付近では、チベット高気圧と太平洋高気圧のダブル支配が起こると、下降気流によって大気が安定し、雲ができずに猛暑が続く状況になります。
- この構造が長引くと、**「熱のドーム」**のように熱が滞留し、気温が40℃近くまで上がることも。
3. 地球温暖化による基礎気温の上昇
- 韓国の年平均気温は、1970年代以降約1.8℃上昇しており、これは地球平均を上回るペース。
- 暖冬・酷暑の頻度が年々増加しており、2025年もその流れの中にあります。
4. 都市化とヒートアイランド現象
- ソウル・釜山・大邱などの大都市では、コンクリート建築の密集・交通量の多さ・緑地の減少によってヒートアイランド現象が顕著。
- 日中の熱が夜になっても逃げず、夜間熱中症や睡眠障害のリスクが増大しています。
5. 偏西風の蛇行による高気圧の滞留
- 2025年の夏は、上空の偏西風が蛇行し、高気圧が韓国上空に固定されやすい状況が続いています。
- これにより、“猛暑の閉じ込め”現象が発生しやすくなっており、気温が下がらないまま長期間の高温が続いています。
■ 韓国での暑さ対策
暑さ対策は、個人・家庭・地域・政府レベルでの複合的な取り組みが必要です。
【1】個人・家庭レベルの暑さ対策
▶ 熱中症予防
- 水分・塩分のこまめな補給(特に高齢者・子ども)
- 日中(午前11時~午後4時)は外出を避ける
- 冷却グッズの活用(保冷タオル・冷感スプレー・冷却ベスト)
▶ 室内の対策
- エアコンと扇風機の併用で効率よく冷却
- 遮光カーテンや断熱フィルムで日射をカット
- 高温時は無理をせず涼しい場所へ避難(冷房のあるカフェ・図書館など)
【2】地域・自治体レベルの対策
▶ ソウル市・釜山市などの取り組み
- **クールシェルター(무더위 쉼터)**の設置
- 公民館・福祉施設・区庁舎などを避暑スペースとして無料開放
- SMS・アプリを通じた高温警報の配信
- 打ち水活動(쿨링로드)や屋根・道路の遮熱塗装の実施
- 交通機関では地下鉄駅構内の空調強化や暑さ対策啓発ポスターの掲出
▶ 教育機関
- 幼稚園・学校ではWBGT(暑さ指数)に基づく体育や部活動の中止判断
- 冷房のある教室での授業運営の徹底
【3】政府・社会レベルの対策
▶ 熱波対策法制度の整備
- 韓国政府は2018年から**「熱波(폭염)」を災害に指定**しており、国家主導で対策を強化。
- 2025年は「国家熱中症対策総合プラン」を見直し、次の対策を推進:
- 高齢者宅への訪問支援制度の拡充
- 建物の遮熱化支援制度(冷房助成金など)
- 暑さでの農作物・漁業への被害に対する補償制度
▶ 電力・エネルギー対策
- 夏季のピーク電力消費を見越し、予備電力の確保や分散電源の利用
- 一部地域ではスマート電力制御で節電協力要請
【4】特に暑さが厳しい都市の特徴と対策ポイント
都市 | 特徴 | 対策 |
---|---|---|
ソウル | ヒートアイランドが顕著。夜間も高温 | クールシェルター、ビルの遮熱改修、夜間冷房 |
大邱(テグ) | 韓国で最も暑い都市。「熱の盆地」 | 公共冷房施設の開放、屋外作業規制強化 |
釜山 | 海風で緩和されるが湿度が高い | 除湿対策と日射遮蔽、通気性衣類の使用 |
全羅南道・済州島 | 強い日射と高湿度 | 冷房の早期利用と外出制限 |
■ 韓国の長期的な方向性
- 韓国気象庁(기상청)は2025年の猛暑について「気候変動による“ニューノーマル”であり、年々深刻化する可能性が高い」と発表。
- 今後も毎年のように猛暑が常態化する中で、
- 「気象防災教育」
- 「都市再設計(그린 인프라)」
- 「脆弱層への災害支援制度」
がさらに強化される見込みです。
■ まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
主な原因 | 太平洋・チベット高気圧、温暖化、都市化、偏西風の蛇行 |
特に暑い都市 | 大邱、ソウル、釜山、光州など |
重要な対策 | クールシェルター、水分補給、遮熱、外出時間の工夫 |
政策面 | 熱波=災害指定、助成制度、公共施設の開放 |
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