将来、年金をより多くもらうための方法は、日本の公的年金制度の仕組みを正しく理解し、それに基づいて「加入期間」「保険料」「受給開始時期」「その他の加算制度」などを戦略的に活用することがポイントです。
以下で、詳しく解説します。
1. 年金の基本的な仕組みを理解する
まず、日本の年金制度は2階建て構造です:
- 1階部分(国民年金):
日本国内に住む20歳~60歳のすべての人が対象。
満額で年間約80万円程度(月約6万6000円)。 - 2階部分(厚生年金):
会社員や公務員などが対象。報酬に比例して支給額が増える。
公的年金を「増やす」には、主に以下の4つの方法があります。
2. 方法①:受給開始年齢を遅らせる(繰り下げ受給)
▶ 内容
65歳が基本の受給開始年齢ですが、最大75歳まで繰り下げ可能。
1か月遅らせるごとに 0.7%の増額。
最大で 42%増し(65歳→75歳で120か月×0.7%)。
▶ メリット
- 長生きすればするほどお得。
- 年間の支給額が大きくなるので、生活が安定しやすい。
▶ 注意点
- 早く亡くなった場合は元が取れない。
- 他の収入(仕事や資産運用)がある人向け。
3. 方法②:保険料を納める期間を最大化する
▶ 内容
年金額は、納付期間や加入期間に比例します。
国民年金の加入期間は、40年間(480か月)で満額になります。
▶ 具体的にやること
- 未納期間をゼロにする(未納は将来の年金にマイナス)
- 任意加入制度を活用する(60歳以降も条件を満たせば加入可)
- 過去の未納分を追納する(過去2年以内の未納は原則追納可能)
▶ 特に重要な制度:任意加入
- 60歳~65歳まで、国民年金に未加入の月がある人は「任意加入」が可能。
- これで満額を目指せる。
4. 方法③:付加年金を活用する(自営業・国民年金加入者向け)
▶ 内容
国民年金だけの人が、月400円追加で払うことで、将来の年金が増える制度。
- 400円×加入月数×2円 が毎年の年金に上乗せされる。
- 例:10年(120か月)加入すると → 400円×120×2 = 年間9,600円増額
▶ メリット
- コストパフォーマンスが非常に高い
- 2年で元が取れる(長生きする人ほどお得)
- 付加年金とiDeCoは併用できる
5. 方法④:厚生年金の加入期間を延ばす(会社員・パートの人向け)
▶ 内容
厚生年金は「給与×保険料率」に比例して年金額が増えます。
長く働き続けることで、報酬比例部分が積み上がります。
▶ 特に有利なケース:
- 定年後も継続雇用される人(60歳以降も厚生年金加入できる)
- パート・アルバイトでも条件を満たせば厚生年金に加入できる(週20時間以上・月収8.8万円以上など)
▶ メリット
- 厚生年金の加入月数が多いと、将来の受給額に大きな差がつく。
- 企業が保険料の半分を負担するため、実質的な積立効率が良い。
6. 方法⑤:年金生活者支援給付金や加算制度を確認する
▶ 内容
低所得の高齢者などを対象にした**「年金生活者支援給付金」などの制度があります。
また、配偶者や子どもがいると加給年金(家族手当のようなもの)**がつくことも。
- 一定の所得以下で老齢基礎年金を受給 → 年数千円~月数千円の給付が追加
- 配偶者が65歳未満、子が18歳未満なら加給年金(年間約39万円)対象になる場合も
7. 方法⑥:iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する(年金の上乗せ制度)
▶ 内容
国が用意した年金の私的上乗せ制度。節税効果もあります。
- 毎月一定額を自分で積立 → 老後に「年金」として受け取れる
- 掛金は全額所得控除 → 節税+老後資金形成が同時にできる
▶ 特にメリットがある人:
- 自営業(国民年金しかない人)
- 会社に企業年金がない人
- フリーランス・パートなど厚生年金が薄い人
まとめ:将来年金を多くもらうためにやるべきこと
- 65歳以降も働けるなら繰り下げ受給で増額(最大42%)
- 保険料を納めきる・未納を追納・任意加入で満額狙う
- 国民年金なら付加年金(月400円)でお得に増額
- 厚生年金はできるだけ長く加入する(60代以降も可能)
- 低所得者向けの加算制度も忘れず申請する
- iDeCoで「自分年金」を作る+節税する
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