ボーナス(賞与)を廃止して、その分を月給などの定期給与に分配する制度変更には、企業や従業員の立場から見たさまざまなメリットとデメリットがあります。以下に、それぞれ詳しく解説します。
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【メリット】
1. 収入の安定性が高まる
ボーナスは基本的に年2回や1回など不定期に支払われるもので、業績に左右されやすいのが特徴です。これを月給に組み込むことで、毎月の収入が安定し、家計管理やローン返済の見通しが立てやすくなります。特に生活費がボーナスに依存していた場合、リスクが軽減されます。
2. 給与制度の透明性が増す
ボーナスの算定基準は企業ごとに曖昧なことがあり、不公平感が生まれやすい面があります。これに比べて固定給に一本化すると、評価制度がより明確に反映されやすく、給与決定の透明性が向上します。
3. 企業側のキャッシュフロー管理が容易になる
企業にとってボーナスは大きな一括支出です。これを月々の給与に分散させることで、毎月の支出が均等になり、資金繰りが安定します。突発的な業績不振や外部環境の変化にも対応しやすくなります。
4. 人材採用・定着に有利に働く可能性
求職者の中には「ボーナスが出るか分からないより、毎月しっかりもらえる方が安心」という層もいます。安定した給与体系は特に若年層や家庭持ちの社員の定着につながることがあります。
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【デメリット】
1. 従業員のモチベーションが下がる可能性
ボーナスは「成果への報酬」や「ご褒美」としての側面が強く、目標達成のインセンティブとして機能します。それがなくなると、頑張っても成果が給与に反映されにくいと感じる社員が出てきて、士気低下につながるリスクがあります。
2. 短期的な支出増加のリスク
従業員側が収入の増加と感じて消費を増やしてしまい、結果的に年単位での支出管理がしにくくなる可能性があります。また、貯蓄の習慣がある人にとっては、まとまった金額が年に一度入るボーナスの方が貯蓄しやすいという考えもあります。
3. 企業にとって柔軟なコスト調整がしにくくなる
ボーナスは業績に応じて調整が可能ですが、月給は一度上げると簡単には下げられません。したがって、経営環境が悪化した際に人件費を柔軟に調整する手段が減ってしまいます。固定費化することのリスクは大きいです。
4. 社会保険料や税金の負担増
月給に上乗せすると、給与総額が増える分、従業員・企業の双方が支払う社会保険料や税金も上がります。これは手取りの減少や企業負担増につながり、想定以上にコストがかかることがあります。
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総合的な判断
この制度変更は、企業の財務状況や経営方針、従業員の働き方・意識などによって向き不向きがあります。「安定を重視するか」「成果主義を維持するか」といった組織文化や戦略と深く関係するため、変更の際には慎重な検討と社内の理解促進が必要です。
ボーナス廃止(給与化)のメリットとデメリット

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