飯豊町(山形県西置賜郡)におけるクマの出没・対策について
1.生息しているか・出没状況
- 飯豊町には確実にクマ(主に ツキノワグマ)が生息・出没しています。町域にある山林・稜線・登山道でクマの糞や足跡、登山者目撃報告が複数出ています。例えば、登山情報サイトでは「2025年9月16日 御手洗ノ池手前でクマ糞を確認」等の報告があります。
- また、最近(2025年10月13日)には町内の住宅敷地内で女性がクマに襲われるという人的被害も報告されています。
- 県の生息調査資料でも、飯豊町は「カメラトラップ・捕獲調査対象市町村」に含まれており、複数年にわたり記録があることが示されています。
このように、「飯豊町=クマが全くいない地域」というわけではなく、クマの活動圏・里近くへの下り・人との接点がある地域と理解しておく必要があります。
2.多い時期・出没が増える傾向
- 県の注意喚起では、山形県内では 「夏から秋(特に暑さが和らぎ、餌を求める時期)」および「秋から晩秋(冬眠前に人里・農地近くまで下りる時期)」 に出没が増える傾向があるとされています。飯豊町の登山・目撃情報でも、8月〜9月に「登山道でクマ糞・クマそのものを見た」という報告が多くなっており、残雪期を過ぎ、餌を探す行動が活発になる時期と言えます。
- また、10月中旬に住宅敷地内で襲撃事件が発生していることからも、秋が深まる時期(10月ごろ)に人里近くでの出没・遭遇のリスクが高まると考えられます。
つまり、飯豊町においては「山中だけでなく里・農地・住宅近く」にクマが近づきやすい時期があり、**夏〜秋(特に8〜11月)**は警戒を強めるべきです。
3.危険性について
- 危険性は 十分に“ある” と認識すべきです。実際、飯豊町内で住宅敷地内にクマが出入りして人を襲った事案が報告されています。
- クマは野生動物であり、人と遭遇した際に驚いたり、子連れだったり、餌を探して人里・農地近くに来ていたりする場合には、攻撃の可能性が高まります。
- 住宅・農地・畜舎(牛舎・飼料置き場)近くでの被害事例では、クマが餌(飼料や農作物)を狙って人の活動圏へ侵入・遭遇するという典型的なパターンがあります。飯豊町事案も「牛の飼料準備中」に背後からクマが現れたというものです。
- ただし、「必ず襲われる」「全てのクマが人を襲う」というわけではなく、遭遇状況・クマの状態(空腹、驚かれている、追い詰められている等)・人の行動によってリスクの度合いが大きく変わります。
結論として、飯豊町では “クマに遭遇・被害を受ける可能性が現実にある地域” として扱い、予防策を講じるべきです。
4.駆除すべきかどうか
- 駆除(捕獲・個体数調整)は、環境保護・野生動物管理・地域住民の安全確保という観点から慎重に扱われるべきです。無差別な駆除は、生態系への影響・法制度(特定鳥獣保護管理計画等)などの面から問題があります。
- 飯豊町の「鳥獣被害防止計画」には、クマ(ツキノワグマ)について「被害状況に応じた捕獲を行う」と明記されており、駆除可能性も適用範囲内にありますが、それは「被害が継続・重大・人・農作物被害が大きい」など 一定条件を満たした場合 に限定されているようです。
- 県の生息・捕獲状況資料では、飯豊町も「春季捕獲」「有害捕獲(農作物・人被害を伴う)」の対象市町村として数値が示されています。 (山形県公式サイト)
- つまり、個人で勝手に駆除をするのではなく、自治体・県の管理のもとで 適切に判断・実施されるべきものです。住民としてできるのは「駆除を自ら行う」ではなく「出没を減らすための対策を実施し、被害を防ぐ」こととなります。
5.対策(個人・地域)
以下、飯豊町で有効な対策を整理します。
個人・家庭レベル
- 家/倉庫/畜舎/飼料置き場の鍵・施錠を徹底。夜間・早朝は特にクマが動きやすいため、飼料・生ごみを外に放置しない。飯豊町事案でも飼料の袋が破られた形跡があります。
- 果実・野菜・山菜・キノコ・養蜂箱・生ゴミなど、クマを引き付ける“餌”になるものを人里近くに出しっぱなしにしない。県の注意事項でも「取り残しの果実や野菜、生ゴミ等を放置しない」ことが挙げられています。
- 山林・山菜採り・キノコ採取などで山に入る際は、複数人で行動、鈴やラジオなど音を出す、視界の悪い時間(夜明け前・夕方)を避ける。
- 万一クマに出会ったら、背を向けず、ゆっくりと距離をとってその場を離れる。慌てて走る・小道へ逃げ込むと追われる可能性が出るため、県のガイドラインに従うことが重要です。
地域・自治体レベル
- 飯豊町も「鳥獣被害防止計画」を策定しており、クマ出没マップ・目撃情報の共有・農地・山林境界の刈払い・電気柵等を進めるとしています。
- 農家・果樹園・養蜂事業者などに対し、電気柵・ネット・出没警報システムの導入支援・補助制度を活用すること。例えば、クマが畑・果樹園に侵入する事例も多く、これらの設備が有効との報告があります。
- 目撃情報・被害情報を町・県・猟友会等が速やかに収集・公開して住民に注意を呼び掛ける。実際、飯豊町でも目撃サイト・登山者情報で「クマ出没情報」が定期更新されています。
- 学校・子ども・高齢者・地域住民に対して「クマ出没地域である」という認識を周知し、登下校や散策の際の注意を促す。
6.飯豊町に暮らす/活動する方へのアドバイス
- 登山・ハイキング・山菜/キノコ採取で山林へ出かける方は、8〜11月を特に要注意時期と捉えてください。
- 住宅地・畑・飼料置き場などでは「クマはいる可能性がある」という前提で、夜間・早朝・薄暗い時間帯の作業や不要な外出をできるだけ避け、もし作業するなら音を出す・できれば複数人で行う・周囲をよく見ておくなど。
- クマと遭遇してしまった時の行動について、家族・近隣で事前に話し合っておくとよいです(逃げ道を確保する・慌てず行動する・速やかに通報できるようにしておく等)。
- 駆除に関しては、個人で判断して罠を仕掛ける・ハンターを呼んで勝手に捕獲するなどの行動は避け、町・県の対応・情報を待ってください。地域の被害状況・個体数・環境状況を踏まえた上で、適切な管理がなされるものです。
- 町の発表・目撃情報・県の「クマに関する情報」サイトを定期的に確認し、状況の変化(目撃増加・警報延長等)に注意を払うことをおすすめします。


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