「フェミニスト(feminist)」という言葉は現代でも非常に多義的で、時代や文脈によってニュアンスが変わります。以下で、語源・本来の意味・思想的背景・現代での使われ方などを、誤解を避けつつ丁寧に解説します。
🔹1.基本の意味
**フェミニスト(feminist)**とは、
「男女の平等(ジェンダー平等)を求め、女性が差別されず自由に生きられる社会を目指す人」
を意味します。
つまり、フェミニストは 女性だけを優遇しようとする人ではなく、性別による不平等をなくそうとする人 のことです。
🔹2.語源
英語 | 意味 |
---|---|
feminism | フェミニズム(女性解放思想) |
feminist | フェミニズムを支持する人 |
語源はラテン語の femina(=女性)から来ており、
「女性に関する」→「女性の地位向上を願う」→「性平等を求める」
という流れで意味が発展しました。
🔹3.フェミニズムの基本理念
フェミニズム(女性解放思想)は、以下のような主張を中心にしています。
- 性別によって権利・待遇が差別されるべきでない
→ 教育・仕事・政治・家庭などで平等を求める。 - 女性の自由と尊厳を尊重すべき
→ 結婚・出産・服装・働き方などを、本人の意志で選べるようにする。 - 性役割の固定観念をなくす
→ 「男はこう」「女はこう」といった社会的押しつけを批判する。 - 性暴力・ハラスメントに反対する
→ すべての人が安心して生きられる環境を作る。
🔹4.歴史的な流れ(世界と日本)
◾ 世界のフェミニズムの3つの波
フェミニズムはおおまかに3つの時代的「波」に分けられます。
時期 | 主な特徴 | キーワード |
---|---|---|
第1波(19〜20世紀初頭) | 女性の参政権・法的平等を求める運動 | 「選挙権運動」 |
第2波(1960〜80年代) | 家庭・職場・性の自由など社会的平等を追求 | 「ウーマン・リブ」 |
第3波(1990年代以降) | **多様性(ダイバーシティ)**を重視、ジェンダー概念の拡張 | 「LGBTQ+との連携」「インターセクショナリティ」 |
◾ 日本のフェミニズムの展開
- 明治〜大正期:平塚らいてう、与謝野晶子らが女性解放を訴える。
- 戦後:男女平等が憲法に明記(日本国憲法第14条・第24条)。
- 1970年代:女性解放運動「ウーマンリブ運動」広がる。
- 現代:職場・政治・家庭・SNSなどでのジェンダー平等議論が進展。
🔹5.現代におけるフェミニストの立場
現代では、「フェミニスト」は単なる政治思想ではなく、
「性別によって制限されずに生きたいと考える立場」
を意味することが多くなっています。
男女問わず、以下のような考え方を持つ人が「フェミニスト」です。
- 女性が昇進・進学で不利になるのはおかしい
- 男性が育児・家事をしても偏見を持たれるべきでない
- 性暴力・セクハラを許さない社会にすべき
- 性別によるファッション・職業の自由を尊重すべき
🔹6.フェミニストに対する誤解と現実
よくある誤解 | 実際の意味 |
---|---|
「男が嫌いな人」 | 男女問わず平等を求める思想。男性フェミニストも多い。 |
「女性だけを優遇したい」 | 差別をなくすのが目的であり、優遇ではない。 |
「過激な活動家」 | 穏やかな社会運動・教育・啓発に取り組む人も多い。 |
「古い運動」 | 現代でも職場や家庭の不平等、ネット差別などに関係。 |
🔹7.現代日本でのトピック例
- 職場での男女の賃金格差問題
- セクハラ・痴漢・性暴力の被害告発(#MeToo運動)
- 「ジェンダー教育」「性教育」のあり方
- 政治家・企業の女性リーダー比率
- SNSでの女性差別・容姿差別への批判
- 家事・育児の負担の偏り(「名もなき家事」問題)
これらの問題意識を持って活動する人は、広い意味でフェミニストと言えます。
🔹8.まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
語源 | ラテン語 femina(女性) |
意味 | 性別による差別をなくし、男女平等を求める人 |
主張 | 法的・社会的・文化的な平等、性役割の撤廃 |
性別 | 男女を問わない |
現代的テーマ | ダイバーシティ、LGBTQ+、ハラスメント防止 |
誤解 | 「男性嫌い」ではなく「差別反対」の思想 |
コメント