厨房(キッチン)が「かなり暑い」と感じられるのは、火や蒸気を使う作業環境の構造的な性質と、換気・冷房が効きづらい物理的な理由が重なっているためです。
特に夏場の厨房では室温が35~40℃を超えることも珍しくなく、熱中症リスクが非常に高い環境になります。
以下に、厨房が暑くなる主な原因と、効果的な対策を詳しく解説します。
■ 厨房がかなり暑い主な原因
1. 🔥【火を使う作業(加熱調理)が中心】
- ガスコンロ、オーブン、フライヤー、鉄板焼き台などから絶えず熱が放出される。
- 調理中は複数の機器が同時に稼働し、厨房全体の熱量が高まる。
- IH調理器でも周囲の空気は加熱されやすく、「火を使わないから涼しい」とは限らない。
2. 💨【熱と蒸気がこもりやすい構造】
- 換気扇や排気フードがあっても、高温の空気を完全には排出しきれない。
- 湯気・油煙・湯沸かしの蒸気などで空気が重く湿度が高くなる。
- 排気量が強すぎると逆にエアコンの冷気も引き抜いてしまい、冷房が効かなくなる。
3. 🧱【厨房機器自体が発熱する】
- 冷蔵庫・冷凍庫・食洗機なども、稼働中に裏面や側面から熱を放出。
- 24時間稼働する機器も多く、常に熱源が存在している状態。
4. 🚶♂️【人と動作の多さ】
- 厨房内は狭くても複数人が動き回るため、人間の体温と動作の熱も加わる。
- 作業着や衛生上の帽子・マスクも通気性を悪化させ、体感温度が上昇。
■ 厨房の暑さ対策(実践的・現場向け)
1. ❄️【空調と換気のバランスを改善する】
対策 | 内容 |
---|---|
業務用エアコンと換気扇を同時に使う | エアコンだけでは熱が逃げず、換気だけでは冷気が逃げる。両者のバランス調整がカギ。 |
吹き出し口を人の動線に合わせて配置 | 冷風が作業者に直接届くように調整すると効果が高まる。 |
強力なレンジフードの導入・清掃 | 油・煙で目詰まりすると排熱効率が落ちるため、定期清掃が必須。 |
2. 🌬️【送風・循環で体感温度を下げる】
対策 | 内容 |
---|---|
スポットクーラーや送風機の導入 | 背後や足元から風を送ると熱がこもりにくくなる。冷風扇でも◎。 |
首かけ扇風機やファン付き作業着 | 作業の邪魔にならない小型の冷却機器を個人ごとに装着可能。 |
天井扇(シーリングファン)で対流を作る | 熱がこもらないよう、室内の空気を常に動かす。 |
3. 💦【作業者の体調管理】
対策 | 内容 |
---|---|
こまめな水分と塩分補給 | スポーツドリンクや経口補水液を定期的に摂取。 |
冷感タオル・保冷ベストの着用 | 熱中症予防に大きな効果あり。夏場は支給する飲食店も増加中。 |
休憩を強制的に取らせる体制づくり | 長時間の連続作業を避ける。15~20分ごとに短い水分休憩を。 |
4. 🧱【厨房構造・設備の見直し】
対策 | 内容 |
---|---|
断熱材入りの厨房機器を導入 | 熱の放出を抑える冷蔵庫やオーブンを選定。 |
IH調理器やスチームコンベクションへの切り替え | 火を使わない調理器具により発熱源を減らす。 |
窓を活用した自然換気(可能な場合) | 給排気を補助する通気口やルーバーを追加設置。 |
■ 厨房が暑いことによるリスクとその重要性
リスク | 説明 |
---|---|
熱中症・脱水症状 | 35℃以上の厨房では10分〜30分で軽度症状が出ることも。 |
パフォーマンスの低下 | 暑さで集中力が落ち、ミスやケガ・衛生ミスの原因に。 |
食材や調理品質への悪影響 | 食材が傷みやすく、冷却や保存にも不利。 |
人材不足・離職リスク | 劣悪な厨房環境は、調理スタッフの定着率にも直結する。 |
■ まとめ:厨房が暑い原因と対策早見表
原因 | 説明 | 対策例 |
---|---|---|
加熱機器の稼働 | ガス・オーブン・フライヤーなど | IH化、保冷ベスト、エアコン強化 |
換気と冷房のバランス不足 | 冷気が排気で逃げる | ゾーン冷房+風の向き調整 |
湿気と蒸気 | ゆで・煮込み作業、洗浄 | 湿気の排出強化、扇風機導入 |
人の動きと装備 | 作業人数・防衛服装の密閉性 | 服装の工夫、首かけファン活用 |
厨房構造 | 窓が少ない・断熱性が低い | 遮熱対策、スポット冷却の導入 |
✅ 最後にひと言
厨房は暑くて当たり前の環境ではありますが、「我慢するもの」ではなく「改善できるもの」です。
最近は、飲食業界でも厨房の環境改善が労働環境・衛生管理・スタッフ定着の面から重要視されています。
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