年金保険料を払わないでいるとどうなるのか?
これは、単なる「損」では済まない深刻な問題につながる可能性があります。
ここでは、国民年金・厚生年金に未加入または未納のままでいることの影響を、罰則・リスク・将来の損失などを含めて詳しく解説します。
✅ 1. 国民年金と厚生年金の違いをまず整理
- 国民年金(基礎年金):自営業、学生、フリーランス、無職の人などが加入(第1号被保険者)
- 厚生年金:会社員、公務員などが勤務先を通じて加入(第2号被保険者)
→ 厚生年金には「国民年金の分」も含まれており、保険料は会社と折半で自動的に払われます。
未納の問題が起きやすいのは主に 国民年金(第1号) です。
❗ 2. 年金を払わないとどうなるのか?
▶ ① 年金が受け取れなくなる
- 原則として、10年以上保険料を納めないと老齢基礎年金はもらえません。
- 10年未満だと「ゼロ円」です(以前は25年必要でしたが、2017年に10年へ短縮)。
つまり:
未納のまま年を取ると、老後に「無年金・収入ゼロの状態」になります。
▶ ② 障害年金・遺族年金も受け取れない
障害年金(事故や病気で障害が残ったときに支給)
- 初診日の前日に納付要件を満たしていないと、障害年金は支給されません。
- 原則として、過去の3分の2以上の期間、保険料を納付していなければならない(免除期間含む)
遺族年金(加入者が亡くなったときに遺族がもらう年金)
- 亡くなった人が未納だと、残された家族に遺族年金が支給されない。
👉 払っていないと、老後どころか病気や不慮の事故への備えすらなくなるのです。
▶ ③ 滞納が続くと最終的に強制徴収・財産差し押さえも
日本年金機構は、保険料の未納者に対して以下のステップを踏みます。
- 催告状の送付(払ってください、という通知)
- 特別催告状(少し厳しめな文面)
- 最終催告状・督促状(無視するとペナルティあり)
- 財産調査(銀行口座・不動産・給与をチェック)
- 差し押さえ(預金・給料など)
▶ 対象者:
- 年収300万円以上、資産が一定以上ある人
- 滞納が1年半~2年以上の人
- 特に悪質なケース
👉 強制徴収されると、延滞金(最大14.6%)も加算されてしまいます。
🔄 3. 「免除」や「猶予」を申請すれば合法的に払わずに済む場合もある
▶ 経済的に厳しいなら「払わない」ではなく「申請して免除・猶予」に
制度 | 対象者 | 内容 |
---|---|---|
免除制度 | 収入が低い・失業中 | 全額〜一部の免除(0円〜4,940円/月) |
学生納付特例 | 学生 | 卒業後に追納も可能 |
納付猶予制度 | 20歳以上50歳未満の低所得者 | 一時的に納付を先延ばしできる |
👉 これらは**「未納」ではなく「免除・猶予」扱いになり、将来の年金受給資格にもカウントされます。**
💸 4. 実際いくら損をする?
たとえば、30歳~60歳までの30年間、年金を一切払わなかった場合:
- 老齢基礎年金:満額なら月6.8万円ほど(2024年度)
- 30年分未納 → 年額:約82万円 × 受給年数(仮に20年で1,640万円)
- つまり、1,000万円以上を受け取れなくなる可能性
加えて、障害・遺族年金の保障もゼロ。これを考慮すると、「自己責任では済まない」レベルの損失です。
🧭 5. 対応策まとめ
状況 | やるべきこと |
---|---|
払えない | 「免除」や「猶予」を申請する |
未納がある | 2年以内なら「追納」して取り戻せる |
長期未納 | 年金事務所に相談すれば分割納付も可 |
将来が不安 | iDeCoやNISAで自分年金づくりも併用する |
✅ 結論:年金を払わないと「老後・障害・家族の保障」が全部なくなる
- 年金は老後だけでなく「保険」としての役割もある
- 「未納」はリスクが非常に高く、差し押さえや受給不可の可能性がある
- 経済的に厳しいなら「払わず放置」ではなく、「制度を使って守る」ことが大切
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