最近、海鮮丼の価格が以前に比べて明らかに上がっていると感じる人が多いのは、単なる気のせいではありません。実際に多くの要因が複雑に絡み合って、原材料コストの上昇と、外食産業全体の構造変化が海鮮丼の価格を押し上げています。以下にその理由を詳しく解説します。
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■ 1. 魚介類の仕入れ価格が高騰している
国内漁獲量の減少
日本近海での魚の漁獲量は年々減少しています。気候変動や海水温の上昇、過剰漁獲の影響もあって、特にマグロ、ウニ、サーモンなど人気のネタは希少性が増し、価格が上がっています。
輸入魚の価格上昇
輸入に頼っているネタ(例えばノルウェー産のサーモンやカナダ産のホタテなど)は、円安の影響で価格が2~3割以上上がっていることが珍しくありません。加えて、海外でも同じく海産物の需要が高まっており、世界的な「取り合い」状態になっています。
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■ 2. 物流とエネルギーコストの増加
生ものを扱う海鮮丼では、冷蔵・冷凍・配送の質とスピードが非常に重要です。そのため、エネルギー(ガソリン・電気)価格の上昇や人件費の増加がダイレクトに反映されます。
さらに、コロナ禍やその後の混乱によるサプライチェーンの不安定さも残っており、安定供給が難しくなっていることも一因です。
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■ 3. 人件費の上昇と人手不足
飲食業界全体で深刻な人手不足が続いており、調理スタッフ、ホールスタッフの確保が困難になっています。人件費の上昇に加え、労働環境の改善に取り組む店も増えているため、それらのコストが商品価格に転嫁されるようになっています。
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■ 4. 観光地やインバウンド対応での価格設定の変化
最近は、観光客向けに高価格帯の商品を用意する店が増加しています。特に東京、北海道、大阪、京都などインバウンド需要が高い地域では、「見た目豪華」「写真映え」を重視した“プレミアム海鮮丼”が増え、1杯3000~5000円が当たり前という店もあります。
観光客が多くお金を出してくれるなら、地元民向けに安価で提供する理由が弱くなり、全体的な価格帯が押し上げられています。
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■ 5. 原価率のジレンマと利益確保の必要性
海鮮丼は、他の丼もの(牛丼や親子丼など)に比べて、原価率が非常に高い商品です。新鮮なネタを複数種類使うため、1杯売ってもそれほど利益が出にくい構造です。
そのため、仕入れ価格が少しでも上がるとすぐに利益が圧迫され、価格を上げざるを得ないという事情があります。
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■ まとめ:価格上昇は一過性ではなく構造的
「高すぎる」と感じるのも無理はありませんが、その背景には
原材料費の高騰(漁獲量・為替・世界的需要)
エネルギー・物流コスト
人手不足と人件費上昇
観光地価格の影響
薄利多売モデルの限界
など、避けられない要素がいくつも重なっています。今後、海鮮丼が以前のように1000円前後で提供される機会は、限られた特定の店舗やチェーン店以外では少なくなる可能性が高いです。
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