栃木県の 上三川町(かみのかわまち) におけるクマ(主にツキノワグマ)リスクについて、公開されている公的情報や生態・管理方針から整理・解説します。
上三川町にクマはいるか?(存在・出没可能性)
- 県管理計画の対象範囲外
– 栃木県が策定している「ツキノワグマ管理計画(第5期)」の対象市町を示した計画概要を見ると、上三川町は対象市町に含まれていない。
– つまり、県としてはクマを定常的に「管理強化すべき重点市町」には上三川町は今のところ位置づけられていない。 - 出没記録に明確な件数は少ない
– 栃木県が公表しているクマの出没(目撃)報告データ(令和7年度)では、町別の細かい市町ごとの「目撃件数リスト」には上三川町は特に目立って記載されていない。
– また、上三川町の有害鳥獣対策ページを見ても、クマを「特定して被害対策/駆除」の対象に明記している記載はない。 上三川町は「有害鳥獣駆除」を行っているが、対象種としてカラス・カルガモが主となっている。 - モニタリング報告の示唆
– 栃木県のモニタリング報告(令和5年度)によれば、「平地に近い周縁部」にもクマが捕獲される例がある、との記録がある。
– ただし、捕獲分布マップを見ると主に山間部やクマ生息の既知地域に偏っており、上三川町全域が高密度のクマ定着地であるとは言い切れない。
結論(存在可能性)
- 上三川町にはクマが「全くいない」と断言する根拠は弱くないが、現時点では定常的多数がいるという確かな証拠も少ない。
- 出没リスクは非常に限定的、または極めて低い可能性が高い。
多く出没しやすい時期(仮に出る場合を想定)
- 栃木県全体の出没データから、**夏(7~8月)および春(5月)**あたりにクマ目撃が多くなる傾向がある。
- ツキノワグマは冬眠明け(春)に餌を求めて活発化しやすく、その後夏~秋にかけて移動範囲を広げる個体が出る可能性がある。
- 薄暗い時間帯(早朝・夕方)は遭遇リスクが相対的に高くなる可能性がある。
危険性
- 遭遇リスク:かなり低め。上三川町は市街・里山が混在する地域で、深い山林とは異なる地形が多いため、頻繁にクマと出会うリスクは高くないと想定される。
- 潜在的リスク:それでもツキノワグマは大型の動物であり、驚かせたり子連れグマに近づいたりすれば危険性はあり得る。
- 被害の可能性:県のモニタリング報告では、農林被害の抑制や誘引源対策が必要であるとされており、環境整備が重要。
- 県対応:県がクマ管理を強化しており、捕獲上限の引き上げなどを検討。
駆除すべきか(捕獲・管理の是非)
- 強力な無差別駆除は現状では必要性が低い:出没頻度・定着の裏付けが弱いため、大量捕獲を前提とする戦略は合理的とは言えない。
- 管理と共存のアプローチが現実的:誘引源管理、環境整備、住民への啓発などを重視する方向が県の計画にも合致している。
- 将来的な対応強化は条件付き:もし上三川町周辺で目撃や被害が増加すれば、市・県・猟関係者で捕獲や対策強化を協議する必要がある。
対策(上三川町および住民レベルでできること)
- 情報収集・通報体制
- 自治会・町内でクマ目撃・痕跡の情報を共有する仕組みを作る。
- もしクマを見かけたら、町の農政課や県自然環境課、警察などに通報できるよう、住民に連絡先を周知。
- 餌源(誘引物)の管理
- 家庭のゴミ・生ごみは密閉容器で管理し、外に放置しない。
- 果樹(庭木など)があれば、落ちた実を回収し、人里へのクマ誘引を減らす。
- 農作物近くや山際では、電気柵やネットなどを活用してクマの侵入を抑える。
- 里山・山道の利用時の注意
- 散歩・ハイキング・山菜採りなどの際には熊鈴やラジオで“人の存在”を知らせる。
- 単独行動を避け、特に早朝・夕方など警戒すべき時間帯には複数人で行動。
- 林縁付近では音を出しながら移動する。
- 遭遇時の行動
- クマを見たら、慌てず落ち着いて距離を取り、ゆっくり後退。
- 背を向けず、急に走らないようにする。
- 威嚇されたら両腕で頭などを守る防御姿勢を取る。
- 安全な範囲で写真・動画を撮って、通報時に情報提供。
- 自治体(町・県)による取り組み
- 定期モニタリング(カメラトラップ、痕跡調査)を通じて、出没状況やクマ分布を把握する。
- 住民向け「クマ共存ガイド」を作成し、注意を呼びかける。
- 学校・地域イベントでクマとの共存・安全対策をテーマにした啓発教育を行う。
結論(上三川町におけるクマリスクと対応)
- リスク評価:上三川町ではクマ出没の可能性は低~非常に限定的と見られ、常時多数が定着しているという確実な証拠は乏しい。
- 備えは意味がある:遭遇リスクは小さいが、基本的な安全対策や通報体制を整えておくことが有効。
- 駆除より共存を重視すべき:無差別な大量捕獲よりも、地域でのモニタリング、誘引源管理、住民啓発が現実的で持続可能なアプローチ。
- 地域協力が鍵:町・県・住民が協力して情報共有と安全策を進めることで、クマと共存しながら被害リスクを抑えることが可能。


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