厚生年金と国民年金は、日本の公的年金制度の2本柱であり、働き方や職業によって加入する制度が異なります。以下では、違いを「しくみ」「保険料」「受け取れる金額」「保障内容」などの視点から、分かりやすく詳しく解説します。
🔷 まず全体像:日本の年金制度は2階建て構造
日本の公的年金制度は、以下のような**「2階建て構造」**になっています。
- 1階部分:国民年金(基礎年金)
→ 全ての国民が加入する「最低限の年金」 - 2階部分:厚生年金(上乗せ年金)
→ 主に会社員・公務員が対象。収入に応じて支払う&もらえる
✅ 1. 加入対象の違い
制度名 | 加入対象 | 具体的な職業例 |
---|---|---|
国民年金 | 自営業・フリーランス・学生・無職など(第1号被保険者) | 自営業、アルバイト、学生、主婦(※一部)など |
厚生年金 | 会社員・公務員(第2号被保険者) | 正社員、契約社員、一定条件を満たすパート・公務員 |
※ 扶養されている専業主婦(配偶者が厚生年金加入)などは「第3号被保険者」として国民年金に無料で加入
✅ 2. 保険料の違い(いくら払うのか)
● 国民年金の保険料
- 定額制:月額16,980円(令和6年度)(年によって若干変動)
- 所得が少なくても高くても一律
● 厚生年金の保険料
- 収入に応じた割合制(報酬比例)
- 給与の約18.3%(※2025年時点、労使折半で会社と本人が半分ずつ)
例)月収30万円の会社員なら、本人負担は約2.75万円前後
➡ 会社が同額負担するため、実質的に月5.5万円分の保険料が積み立てられている
✅ 3. 将来もらえる金額の違い
● 国民年金だけの場合(自営業など)
- 40年間満額払った場合でも:
→ 年金額は月約6.6万円(年約79万円)※2025年時点
● 厚生年金加入者の場合(国民年金+厚生年金)
- 報酬比例+国民年金で、
→ 平均で月14万〜18万円(年170〜220万円)程度
※ 年収や勤続年数により大きく差がある
✅ 4. 給付内容の違い(もらえる種類)
給付の種類 | 国民年金 | 厚生年金 |
---|---|---|
老齢年金 | ○ | ○(報酬比例が加算) |
障害年金 | ○(障害基礎年金) | ○(障害厚生年金が上乗せ) |
遺族年金 | ○(遺族基礎年金) | ○(遺族厚生年金も支給) |
つまり、厚生年金の方が受け取れる年金の金額も保障の範囲も広いという特徴があります。
✅ 5. その他の違い
● 保険料負担の仕組み
比較項目 | 国民年金 | 厚生年金 |
---|---|---|
自分で納付 | 必要(自分で払う) | 不要(会社が天引き・半額負担) |
滞納リスク | あり(未納は将来減額) | 基本なし(自動的に納付される) |
✅ 6. 加入義務の違い
- 日本では20歳以上60歳未満のすべての人がいずれかの年金に加入する義務があります。
- 勤務形態・収入により、どちらの年金制度に属するかが決まります。
✅ 7. まとめ:厚生年金と国民年金の違い
項目 | 国民年金 | 厚生年金 |
---|---|---|
対象 | 自営業・学生・フリーランスなど | 会社員・公務員 |
保険料 | 一律定額(月16,980円) | 収入に比例(約18.3%)※会社と折半 |
年金額 | 月約6.6万円(満額) | 月14万〜18万円(平均) |
保障範囲 | 基本的な年金・障害年金・遺族年金 | 上乗せ分の障害年金・遺族年金あり |
支払方法 | 自分で納付 | 給与天引き(半額は会社負担) |
🔄 どちらが得か?というより「働き方に応じた制度」
- フリーランスや自営業なら国民年金一択だが、自分で「上乗せ対策(iDeCoなど)」が必要
- 会社員は自動的に厚生年金に加入しているが、将来に備えてNISAや投資を併用するのが◎
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