ヘビが電線でショートを引き起こし、その結果として新幹線が停電する仕組みは、電気の流れと遮断の性質に深く関係しています。ここでは、技術的な背景をできるだけわかりやすく、段階的に説明します。
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1. 新幹線はどのように電力を得ているか?
新幹線は、自前の専用送電線と変電所を持っており、そこから架線(かせん)を通じて電力(およそ25,000ボルト)を受け取っています。車両のパンタグラフがこの架線に接触して、電気を取り込んでモーターを動かす仕組みです。
その電力を安定供給するために、一定の距離ごとに変電所があり、電柱・電線・スイッチ類(開閉器)などを通して架線に電気が送られています。
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2. ショートとは何か?
ショート(短絡)とは、本来なら電気が流れないはずの経路に急に大電流が流れることを指します。たとえば、電線と金属製の支柱の間に何か(ここではヘビ)が入り、電気が一気にその間を流れてしまうと、ショートが起こります。
ショートは非常に危険な現象で、過剰な電流が発生し、機器の故障や火災につながる恐れがあるため、これを感知するとすぐに電力供給が自動でストップします。
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3. ヘビがショートを起こすメカニズム
ステップ1:ヘビが電柱に登る
ヘビは運動能力が高く、変電所や電柱に登ってくることがあります。特に夜間、温かい設備に引き寄せられて侵入することがよくあります。
ステップ2:異なる電位に触れる
たとえば、高電圧の電線と、金属の支持構造や地面につながる接地部分の両方に、ヘビの体が同時に触れるとします。
ステップ3:ヘビの体が電気の通り道になる
ヘビの体は水分や塩分を含んでいるため、ある程度電気を通します。このとき、電気は本来のルート(電線)を通らず、ヘビの体を通って一気に流れ込むため、ショート状態が発生します。
ステップ4:安全装置が作動
ショートによって大電流が流れると、変電所や電源側に設けられた遮断器やリレー装置が反応し、送電を自動で遮断します。これにより、回路全体が強制的に停電状態になります。
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4. 新幹線への影響
新幹線は、電力を常に受け続けている必要があります。
一部の変電所やブロックが止まると、その区間を走っていた列車が即座に停止します。
復旧までには、ヘビのシ骸の撤去、安全確認、再起動などが必要で、数十分以上の遅れになることもあります。
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5. なぜこんなことで全体が止まるのか?
新幹線は高い安全性と電力効率を保つために、広域な電力システムが連携して動いています。そのため、ひとつの地点で不具合(今回のようなショート)が起きると、システム全体に負荷がかかることを防ぐため、周囲の回路も自動的に止める仕組みがあるのです。
これは言い換えれば、一箇所のトラブルで大事故にならないように設計されているということでもあります。
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結論
ヘビが電線や変電設備で2つの異なる電位(例:高電圧線と接地部)に触れることでショートが起きる。すると安全装置が作動して送電が止まり、その結果として新幹線が停電し、走行不能になるというのが一連の流れです。
自然界の一見小さな存在でも、高電圧の電力システムに対しては重大なトラブルを引き起こす可能性があるのです。
ヘビで新幹線が停電する仕組み・原因を解説

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