ヘビが電線でショートすることで新幹線が停電する可能性は十分にあります。これは実際に起こり得る現象で、過去に日本でも類似の事例が報告されています。以下に、その仕組みや影響について詳しく解説します。
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1. そもそも「ショート」とは?
電気回路においてショート(短絡)とは、本来通るべきでない経路に電気が流れることです。これにより、大電流が流れて機器が壊れたり、電源が自動で遮断されたりします。
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2. ヘビがなぜショートの原因になるのか?
■ 生き物も「電気を通す」
ヘビの体内には水分やミネラルが含まれており、電気をある程度通す導体として働くことがあります。
■ 電線にまたがることで「通電経路」になる
電線には電圧差(例えば高圧線と接地面)があります。ヘビがその2点に触れてしまうと、電流がヘビの体を通って一気に流れることになり、ショートが発生します。
たとえば以下のような場面です:
電柱の上にある変圧器や開閉器に登ったヘビが、電線と金属の支持構造物(接地されている)をまたぐ
地面にいるヘビが登って、異なる電位の部位に触れる
変電所や信号設備に侵入し、基板や配線に跨ってしまう
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3. 新幹線の電力供給と停電へのつながり
新幹線は専用の架線(かせん=上空の電線)から高圧電力(例:25,000V)を取り入れ、走行しています。これは変電所を介して送電されており、複数のブロックで管理されています。
もしヘビが変電所や送電設備でショートを引き起こした場合、以下のような連鎖反応が起こります:
1. ショートにより過電流が発生
2. 安全装置(遮断器)が作動して送電を停止
3. そのブロック内の電車が停電し、停止
4. 復旧には確認・点検・再起動が必要なため、遅延や運休が発生
つまり、ヘビ1匹の侵入でも新幹線のシステム全体に影響を及ぼす可能性があるのです。
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4. 実際の事例
過去には以下のような例があります:
2017年:山陽新幹線の停電事故
岡山県の変電所にヘビが侵入し、ショートが発生。新幹線が一時停電し、運行に影響。
その他、JR在来線や私鉄でも
同様に、電柱や変電設備に登ったヘビや鳥がショートを引き起こし、停電や信号トラブルの原因になったことがあります。
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5. 対策はどうなっている?
鉄道会社や電力会社では、こうした事象を防ぐために次のような対策を講じています:
変電所や機器に動物侵入防止用のカバーやネットを設置
**電柱の根元や中間部に障害物(ガード)**を付けて登りにくくする
ショート発生時に即座にブロック切り替えを行う冗長化設計
それでも完全には防ぎきれず、自然との共存ゆえの突発トラブルとして、定期的に発生しています。
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結論
ヘビが電線や変電設備に触れることでショートが起き、それが新幹線の停電や遅延につながることは十分にあり得る現実のリスクです。自然界の小さな存在でも、精密で広域な電力システムに対しては大きな影響を及ぼすことがあるのです。
こうした事象に備えた安全設計が進んでいますが、完全な防止は難しく、「思わぬ生き物が原因で電車が止まる」ことは今後も起こり得ます。
ヘビで新幹線が停電するなんてあり得るの?

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